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<在宅介護と漢方薬 編集後記>認知症になる前からできること

公開日:2022.03.31
カテゴリー:病気と漢方

1人暮らしの高齢者が増える日本

人口の約3人に1人が65歳を占める日本。
高齢化は今後もますます進み、令和3年版高齢社会白書によると、2065年には約2.6人に1人が65歳以上で、約3.9人に1人が75歳以上になると考えられています1)
さらに、65歳以上の1人暮らし世帯が男女共に増加傾向にあり、今後も増えることが予測されています。祖父母と両親、子どもといった三世代同居が多かったのはひと昔前のこと。現在、世帯数で見ると3世代同居は9.4%と、全体の10%もありません。

同白書では、アメリカやドイツ、スウェーデンの高齢者と生活や意識の調査を比較したものがあります。その中で日本人は、家族以外の人で相談し合ったり、世話をし合ったりする親しい友人が「いない」と回答した割合がもっとも高く、地域から孤立してしまう高齢者が増えてしまうことが懸念されています。

今のうちから健康管理に漢方薬を

在宅介護と漢方薬」では2回にわたって、自宅での介護のために、介護を受ける側、する側のどちらもが活用できる漢方薬を紹介しました。

認知症の有病率は、2012年には462万人と、65歳以上の約7人に1人でしたが、2025年には約5人に1人になるという推計があります2)。また、介護が必要になった原因として、認知症は高い割合を占めています1)
認知症は誰でもかかりうる疾患です。さらに、将来的に認知症になったときに、家族や親戚などの身近な人で手助けできる人がいない可能性もあります。そうなったときのために、今からできることを今後もお伝えしていきたいと思います。

秋葉先生がvol.1でおっしゃっていたように、1人暮らしでなくても、在宅療養の場合は服薬の管理が難しくなることが少なくありません。西洋薬だけの場合でも、降圧剤や脂質異常の薬など、1日にさまざまな薬を服用しなければならないことがよくあります。元気な人でも、病気をしたときに1日に何度もいくつもの薬を飲まなければならないのを「大変だ」と思ったことがあるのではないでしょうか。疾患が増えるごとに薬の数も増えていきますし、高齢になるとそれが毎日のことになるのです。

漢方薬は、1つの薬の中に2つ以上の生薬、つまり複数の成分が含まれています。
そのため、1つの薬でいくつもの症状を改善する効果を持っています。これは西洋薬と異なる点です。そのため、多数の西洋薬を飲んでいる場合、漢方薬を服用することで薬の量を減らすことができる可能性があります。もし、現在服用している薬が多くてつらい、家族の薬の数が増えてきて管理が難しいという場合は、漢方薬がその代わりとならないか、専門医に相談をしてみるのもひとつの方法です。

また、秋葉先生が記事内で「認知症があまり進行していない時期から、習慣的に漢方薬を服用する状況を整えておくこと」というお話をされていました。実際に、認知症になる前あるいは若い頃から漢方薬を服用する習慣がある場合は、服用の継続も比較的楽で、健康状態もよかったといいます。

漢方薬は、疲れやだるさ、不安感やうつ、イライラなど、病気に行くほどではないけれどなんとなく不快だと感じるような症状、いわゆる「未病」の治療を得意としています。さらに服用することで免疫機能が整えられ、感染症にかかりにくくなるなどの副次的なメリットもあります。漢方薬は効果を感じられると「おいしい」と思うことがあります。おいしいと思えれば、続けることも難しくありません。ぜひ将来のためにも、今のうちから漢方薬を健康維持の手助けにしてほしいと思います。(大場真代)

参考
  1. 内閣府│令和3年版高齢社会白書(全体版)(PDF版)<2022年3月25日閲覧>
  2. 内閣府│平成29年版高齢社会白書(全体版)(PDF版)<2022年3月25日閲覧>

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