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田中宏明・内科胃腸科クリニック 田中宏明院長

公開日:2015.12.09
カテゴリー:外来訪問

~漢方薬の新時代診療風景~
 漢方薬は、一般に知られる処方薬(西洋医学)では対処が難しい症状や疾患に対して、西洋医学を補完する使われ方も多く、今後の医療でもますます重要な役割を果たすと考えられます。
 近年、漢方薬の特性については科学的な解明が進んだこともあって、エビデンス重視の治療方針を取る医師の間でも漢方薬が使用されることが増えています。
 漢方薬を正しく理解して正しく使うことで、治療に、患者さんに役立てたい。日々勉強を重ねる、身近な病院の身近なドクターに、漢方活用の様子を直接伺いました。ドクターの人となりも見えてきます。

子供時代から親しんできた懐かしの”味”

 祖母が漢方薬局を営んでいましたので、生薬棚に囲まれて育ちました。ですから漢方薬に対する抵抗は一切ありませんでした。それに、昔の北九州市は公害がひどく、私は気管支炎を患っていたので、祖母が一生懸命漢方薬を煎じて飲ませてくれていたんです。医師になってからですが、そのとき飲んでいた薬は小青竜湯だったとわかりました。私は漢方薬を出すとき必ず味見をするようにしており、あるとき味見した薬で、「あっ、これだ」とわかったんです。子供時代の懐かしい味はいくつになっても覚えているものなんですね。

独自の診療でテーラーメイドの診療を

 漢方薬を使い始めたのは、九州大学病院にいた1983年くらいからですね。当時から漢方診療の「病名ではなくその人自身を診る」という概念が非常に気に入っていました。また、その人に合わせたテーラーメイドの処方ができるのも漢方診療の興味深さであり、醍醐味です。東洋医学的な教科書に載せられている診断方法はいろいろありますが、私の場合、主に四診、つまり望診・聞診・問診・切診に基づいて行っています。また、大腸の検査をすることが多いので、内視鏡やレントゲンの所見をプラスした診療と舌診も組み入れています。舌の裏には舌下静脈があるのですが、その膨れ方で腸の状態や咀嚼(そしゃく)がうまくできているかどうかなど見当がつくことが多いのです。他にも、足の指が反りかえって浮いていないか、食習慣はどうかといったことも知るように努めています。

多彩な組み合わせで患者さんにあった処方を工夫

 漢方薬はエキス剤を使っていますが、患者さんの都合を考え1日朝夕の2回で収まるようにしたり、1日1種類を3包ではなく、2種類を組み合わせ1日2回ずつにするなど工夫します。
 西洋薬と一緒にも使うこともあります。また、風邪の治療には柴葛湯や柴苓湯など何種類ものバリエーションがありまずが、治療していると「風邪には漢方薬でないと」と思うくらい出番が多いですね。特に風邪と便秘の治療には、漢方薬の処方が患者さんに喜ばれることが多いです。

まだ手の付けられていない治療にも広げたい

 今後は、漢方診療ももっと増やしていきたいと思います。なかなか難しいことですが、患者さんに理解していただければ、高血圧の治療なども漢方薬を使っていけたらいいなと思います。それに、まだ漢方薬の良さをご存知ない患者さんに、その人に合わせた処方ができる漢方薬の良さを啓蒙できればいいなと思っています。いくつもの症状を1つの合剤で解決できたりするので、飲む薬を減らすことにもつながりますから。そのためには私自身、その人その人に合わせた処方にたどり着けるように、ブラッシュアップしないといけません。
 また、顆粒状の薬がダメという患者さんも多いので、例えばゼリー状のものなど、その辺を上手にクリアするような剤型の開発が進むことを期待したいです。
 漢方診療を受けたいと思っている方には、自分の毎日の生活についてお医者さんにしっかり伝えられるよう、準備しておいてもらいたいですね。例えば、朝起きて目覚めがどうか、口の中が苦くないか、起きてすぐ便意があるかなど、自分の体の状態を上手に表現し伝えるようにしていただきたいのです。自分の体についての”正解”は自分にしかわからないわけですから。

田中宏明・内科胃腸科クリニック

医院ホームページ:http://hiroaki-clinic.jp/

福岡市地下鉄七隈線「七隈駅」より徒歩15分、西鉄バス「片江小学校前」より 徒歩1分。福大通りから一本入った閑静な場所にあるクリニック。高い天井の待合室は広々としており、処置室はプライバシーにも配慮されています。
詳しい道案内は医院ホームページから。

診療科目

内科、胃腸科

田中宏明(たなか・ひろあき)院長略歴
1981年 九州大学医学部卒業、第二内科消化器研究室
1984年 九州大学生体防御医学研究所、九州中央病院内科医長、江頭病院内科部長
1994年 田中宏明・内科胃腸科クリニック開業

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