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がん治療中の辛い症状は漢方薬でも改善できる!<第2回>「牛車腎気丸」が「手足のしびれや痛み」をやわらげる

[がん治療と漢方] 2016/02/03

 抗がん剤が原因で末梢神経が障害され、手足などのしびれや痛みが起こることがあります。末梢神経には、運動神経、感覚神経、自律神経があり、それぞれで症状が異なります。「だる重い」「力が入らない」ということもあれば、「ピリピリする」「チクチクする」「じんじんする」などという場合もあります。

 そんな多岐にわたる症状がある中で、しびれや痛みに効果があるのが牛車腎気丸(ごしゃじんきがん) です。牛車腎気丸は、下肢痛、腰痛、しびれ、頻尿や排尿困難などの排尿異常などに有効とされている漢方薬です。地黄(じおう)、山薬(さんやく)、山茱萸(さんしゅゆ)、茯苓(ぶくりょう)、沢瀉(たくしゃ)、牡丹皮(ぼたんぴ)、桂皮(けいひ)、附子(ぶし)、牛膝(ごしつ)、車前子(しゃぜんし)の10種の生薬から構成されています。特に注目したい生薬が「附子」です。

強い鎮痛作用を持つ附子

 附子はトリカブトの根を乾燥させたもので、毒のある植物として知られています。漢方では、この根を乾燥させ、高圧蒸気処理することで無害化したものを用います。成分を解析した結果、附子には強い鎮痛作用を持つ複数の成分が含まれていることがわかりました。牛車腎気丸には神経を保護する因子も含まれています。抗がん剤の使用前にこの牛車腎気丸を服用することで、神経を保護され、加えて痛みを抑えるのではと考えられています。

 抗がん剤を投与された大腸がんの患者さんを対象とした、しびれや痛みに対する臨床試験では、効果あり、また効果なしという結果も報告されています。神経保護因子が含まれているので、抗がん剤投与に先んじて服用することが重要なのかもしれません。また、しびれ、痛みがひどい場合は、牛車腎気丸に加えて、附子を上乗せしてみるのも効果的であろうと考えられています。実際、経験上も牛車腎気丸を用いた臨床現場で附子を順次増量していく方法がよく用いられています。がん患者さんで手足のしびれや痛みがなかなか取れない場合、主治医と相談してみることをおすすめします。

上園保仁先生 国立がん研究センター研究所 がん患者病態生理研究分野 分野長

上園保仁先生

1989年産業医科大学大学院 修了、医学博士 取得、1991年米国カリフォルニア工科大学生物学部門 ポスドクとして留学、1992年産業医科大学薬理学講座 助手、2004年長崎大学大学院医歯薬学総合研究科・内臓薬理学講座 助教授、2010年独立行政法人国立がん研究センター研究所がん患者病態生理研究分野 分野長。
日本薬理学会編集委員会委員、北米神経科学会 会員、日本緩和医療薬学会 監事、日本緩和医療学会 がん性疼痛ガイドライン作業部会委員、補完代替医療ガイドライン改定WPG員、日本癌学会 会員。

参考リンク:国立がん研究センター研究所 がん患者病態生理研究分野
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