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がん治療中の辛い症状は漢方薬でも改善できる!<第3回>「倦怠感」には、足りないものを「補」う「補剤」を

公開日:2016.02.05
カテゴリー:がん治療と漢方

 がん患者さんがもっとも多く経験する症状が「疲労」や「倦怠感」です。この疲労、倦怠感は貧血や栄養不良、腎臓や肝臓の障害、むくみ、発熱などの身体的要因に加え、不安なうつ的状態など、精神的な原因でも起こります。

 このような疲労や倦怠感は、直接的な原因がわかりにくいので、症状を改善する努力を諦めてしまいがち。そんなときに、「補剤」と呼ばれる漢方薬が活躍します。補剤とは、文字通り、体の中で足りないものを「補」う働きがある漢方薬のこと。補中益気湯(ほちゅうえっきとう)や十全大補湯(じゅうぜんたいほとう)、人参養栄湯(にんじんようえいとう)、六君子湯(りっくんしとう)などがあります。

補中益気湯(ほちゅうえっきとう)

 補中益気湯は、滋養強壮作用のある人参(にんじん)や黄耆(おうぎ)、水分循環をよくする蒼朮(そうじゅつ)、血行をよくする当帰(とうき)など10種類の生薬で構成されています。補中益気湯の「中」は胃腸機能のこと指し、抗がん剤の投与後や手術のあとのだるさ、倦怠感に対して、胃腸の働きを活発にして、体力を補い、回復させる効果があるとされています。

十全大補湯(じゅうぜんたいほとう)

 十全大補湯は、当帰(とうき)や川きゅう(せんきゅう)、芍薬(しゃくやく)、地黄(じおう)などの生薬で構成されている漢方薬で、疲労や倦怠感の改善に加えて、骨髄の造血機能の回復にも有効であるという臨床報告があります。特に血小板の減少を防いでくれるので、貧血の改善にも有効です。

人参養栄湯(にんじんようえいとう)、六君子湯(りっくんしとう)

 人参養栄湯はその名前の通り、十全大補湯に似た処方で、せきを改善する生薬が含まれており、体力の衰えが激しく、せきや息切れなどの症状を伴うときに体力と気力を補う漢方薬です。さらに、だるさに加えて、食欲不振など胃腸の症状がある場合には、六君子湯が用いられます。食欲を回復するのに加え、全身の倦怠感も改善する効果があります。

 このように「補剤」は、一人ひとりの体質や症状、病態に対応して使い分けられますので、自分の症状などに合わせて服用していくことが大切です。

上園保仁先生
国立がん研究センター研究所 がん患者病態生理研究分野 分野長

1989年産業医科大学大学院 修了、医学博士 取得、1991年米国カリフォルニア工科大学生物学部門 ポスドクとして留学、1992年産業医科大学薬理学講座 助手、2004年長崎大学大学院医歯薬学総合研究科・内臓薬理学講座 助教授、2010年独立行政法人国立がん研究センター研究所がん患者病態生理研究分野 分野長。
日本薬理学会編集委員会委員、北米神経科学会 会員、日本緩和医療薬学会 監事、日本緩和医療学会 がん性疼痛ガイドライン作業部会委員、補完代替医療ガイドライン改定WPG員、日本癌学会 会員。

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