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吉祥寺中医クリニック 長瀬眞彦院長

[外来訪問] 2014/03/19

~漢方薬の新時代診療風景~
 漢方薬は、一般に知られる処方薬(西洋医学)では対処が難しい症状や疾患に対して、西洋医学を補完する使われ方も多く、今後の医療でもますます重要な役割を果たすと考えられます。
 近年、漢方薬の特性については科学的な解明が進んだこともあって、エビデンス重視の治療方針を取る医師の間でも漢方薬が使用されることが増えています。
 漢方薬を正しく理解して正しく使うことで、治療に、患者さんに役立てたい。日々勉強を重ねる、身近な病院の身近なドクターに、漢方活用の様子を直接伺いました。ドクターの人となりも見えてきます。

中医学ならではのアプローチで患者さんと向き合う

 現在、クリニックでは小さなお子さんからご高齢の方まで、幅広い年齢の患者さんを診ています。対応する疾患も、アレルギーや腰痛、肩こりなど整形外科系の病気、更年期障害や不妊など婦人科系の病気、がん、精神的な病気など多様で、「ほかの病院で診てもらったけど治らない」という患者さんが多いのが特徴。ですから、とにかく「治したい」「よくしたい」という思いで患者さんと向き合っています。
 診察においては、まずは時間をかけて問診をおこないます。問診票はかなり細かいものとなっていて、どんな時につらい症状があらわれるか、冷え症か、汗をかきやすいか、胃腸の具合はどうか、肩こりはあるか、女性の場合は生理の調子や生理前に不調になるかなど、多くのことをうかがいます。中医学では、心と体を分けて考えません。ストレスや悩みなど、心の問題が体の不調につながっていることもあるため、環境や生活背景なども含め、「その人すべて」をよく知ることが必要なのです。
 問診の後には、舌診や脈診をします。病気や悪い部分を局所的に診るのではなく、全身をみて診断し、治療法を決めていきます。
 漢方薬は、植物などの生薬を用いた煎じ薬とエキス顆粒剤があり、患者さんの症状や体質などによって種類や分量を考えて処方します。また、治療には漢方だけでなく鍼灸を併用することもあります。さらに、「五臓六腑で言うところの『肝』が弱っているから、こういうものを食べるといいですよ」「今の季節はこういうものを食べましょう」など、食事や生活のアドバイスをすることもあります。もちろん、西洋医学的な治療が必要な人には、そちらの薬も処方します。患者さんに応じて、西洋医学と中医学をうまくミックスして治療法を選択しています。

臨床経験から西洋医学に疑問を抱くように

 もともとは内科でJR東京総合病院、また放射線科の勤務医として母校の順天堂大学医学部附属病院で働いていました。漢方を学びたいと思ったきっかけのひとつは、研修医のときに針刺し事故で急性C型肝炎になってしまったこと。すぐに入院し治療を受けたのですが、薬の副作用が強くて、髪が抜けたり、体力がなくなったり。発熱も続いて、解熱剤を飲みながら勤務したこともあり、もう少し体に優しい治療法がないかと考えるようになりました。
 また、内科医として病棟に勤務していた時にも、西洋医学的な治療に疑問を持つことがありました。例えば、喘息ひとつとっても、発作が起こる要因は人それぞれ。天気が悪くなることで起こる人、冷たい空気に触れて起こる人、女性なら生理のときに起こる人など、個人差があるのに、治療法はステロイド剤の吸入がスタンダードというように、ガイドラインで標準治療が確立されている。そこに違和感を持ち、漢方を学びたいと考えるようになりました。
 中国流の漢方や鍼灸などの治療を主とする「中医学」で有名な、谷美智士先生の書籍に感銘を受け、谷先生が院長をつとめるタニクリニックで中医学を勉強することに。そこで2年間学ぶうちに、今度は鍼灸の勉強もしたくなり、東洋医学と西洋医学を合わせた治療をおこなっている鉄砲洲診療所に5年間勤務。その後、吉祥寺中医クリニックにお誘いいただき、院長をつとめさせていただくことになりました。

経験や医師としての「感覚」も大事

 漢方を用いた治療のいちばんの良い点は、西洋医学では「原因がわからない」「なかなか治らない」という症状を治せる可能性があることと思っています。今日も、3歳の男の子が受診したのですが、その子は不明熱で、あちこちの病院に通っても原因がわかりませんでした。大学病院に入院して検査をしても、何も引っかからない。でも熱が下がらないという状態が3~4カ月続いていました。
 でも、中医学的にみると問題はあったのです。舌診や脈診をし、脈が弦楽器の弦にふれるように感じられたこと、目の下のクマや乾燥肌、腹診の所見によって血虚(いわゆる貧血とはやや異なり、エネルギー不足のような状態)がみられたことなどから、「肝」が弱っていると診断しました。この場合の肝は、西洋医学で言うところの「自律神経」をあらわします。それを改善するような漢方の処方をおこなったところ、症状が改善しました。やはり、患者さんが元気にニッコリ笑って帰って行くことに勝る喜びはないですね。
 一方で、なかなかよくならない患者さんもいます。そういう場合はもう一度よく患者さんの全体を診て、薬の種類を変えたり、鍼灸を併用したりと別のアプローチを検討します。
 漢方を用いた治療では、患者さんのつらい症状が解消されること、よくなることが最大の成果。痛い、つらいというのは患者さんの主観なので、客観的指標がない、つまり検査の数値など、よくなったことが目に見えてわかる指標が得にくいことが大変なところと言えます。脈診計のようなものを作った先生もいますし、当院でも気や血の通り道である経絡の測定器を使っていたこともありますが、時間もかかるし、それよりは患者さんの症状と自分の手や目で触れ、見たほうが早い。学問的な知識はもちろん、技術や経験、感覚も重要だと考えています。

後輩の育成にも力を入れたい

 今後の展望としては、いつも考えていることですが、もっともっと知識も技術も向上させて、より多くの人を治したい。そのためにも勉強会に参加したり、本を読んだりと勉強は怠らないようにしています。
 クリニックには、がんなど難病の患者さんも来院されます。漢方を用いて、患者さんのつらい症状を改善することに注力したいと考えています。今も、膀胱がんや尿管がんで、漢方を使いながらうまくがんと共存できている患者さんもいるので、だるさや疲れやすさを軽減する、食欲を増す、うつ状態を改善する、睡眠の質をよくするなど、患者さんのQOL(生活の質)の改善、向上を目指していきたいですね。
 また、将来的には、後任を育てたいとも思っています。今も各地で講演をしたり、「吉祥寺漢方研究会」「鍼灸学セミナー」などの勉強会を催したりしているのですが、若い先生方にももっと漢方に興味を持ってもらい、中医学のさらなる普及と向上に貢献していければと考えています。

吉祥寺中医クリニック

医院ホームページ:http://www.h3.dion.ne.jp/~chuui/frame/medical_f.html

「吉祥寺」駅より徒歩3分。駅からすぐなので通いやすく、待合室ではクリニック特製の健康茶のサービスも。
詳しい道案内は、医院ホームページから。

診療科目

内科、小児科、皮膚科、リハビリテーション科

長瀬眞彦(ながせ・まひこ)院長
1994年 順天堂大学医学部卒業 JR東京総合病院にて内科研修
1996年 同大学医学部附属順天堂医院放射線科入局
1999年 タニクリニック
2001年 鉄砲洲診療所
2006年 吉祥寺中医クリニック院長就任
■資格・所属学会他

日本東洋医学会漢方専門医、日本東方医学会中医専門医、日本内科学会、日本胎盤臨床医学会理事長

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