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たまがわクリニック 玉川葉子副院長

公開日:2016.07.15
カテゴリー:外来訪問

~漢方薬の新時代診療風景~
 漢方薬は、一般に知られる処方薬(西洋医学)では対処が難しい症状や疾患に対して、西洋医学を補完する使われ方も多く、今後の医療でもますます重要な役割を果たすと考えられます。
 近年、漢方薬の特性については科学的な解明が進んだこともあって、エビデンス重視の治療方針を取る医師の間でも漢方薬が使用されることが増えています。
 漢方薬を正しく理解して正しく使うことで、治療に、患者さんに役立てたい。日々勉強を重ねる、身近な病院の身近なドクターに、漢方活用の様子を直接伺いました。ドクターの人となりも見えてきます。

神経内科の専門診療と漢方診療を2つの軸に開院

 神経内科医である主人がもともと「いつかは地域に根付いた医療を行いたい」と考えていたのもあり、自宅からも近いこのエリアで2014年に開院しました。地域の皆さまのかかりつけ医として風邪や高血圧、高脂血症などの診療を行うとともに、主人の専門である神経内科疾患の診療にも力を入れています。神経内科は、頭痛、しびれなどの他に、パーキンソン病やてんかん、ALS(筋萎縮性側索硬化症)といった難病も対象です。
 漢方内科では、頭痛や腹痛などの内科的な症状からPMS(月経前症候群)や更年期障害などの婦人科系の問題、ニキビやアトピーなどの皮膚症状の方など、さまざまな症状の方が受診されます。私がもともと心療内科を専門にしていたため、心の不調のご相談も多いです。開院前は近くにお住まいの女性の方が中心になるかと思っていたのですが、男性や高齢者の方など幅広い層の患者さんがおいでくださっています。神経内科の患者さんの付き添いで来院されたご家族が「実は以前から漢方を試してみたくて」と受診されるケースもあります。
 院長の神経内科と私の守備範囲には意外と重なる部分もあり、頭痛で神経内科を受診された方などでも、月経との関係が強い女性患者のケースや、ストレスの関与が強いケースでは、漢方薬治療を並行して行うこともあります。お互いの専門性を生かし、連携しながら患者さまの利益に供することができればと考えています。

漢方薬のメリットを生かして、より健康な生活を支援

 漢方薬の良いところはたくさんありますが、最もすばらしいことは全身のバランスを整えてくれることだと思っています。西洋医学では高血圧には降圧剤、胃痛には胃薬と各々の症状に対して薬を出していくので、どうしてもお薬の量が増えてしまったり、副作用が記になることがあります。漢方治療では、どこをどのように治療すればうまくバランスがとれるのかを考えながら処方しますので、同じ症状でもその人によって処方される薬が異なることがあります。そこが漢方治療の難しいところでもありますが、きちんと見極めて治療することにより、「冷え症の治療に来たのにイライラもよくなったわ」などという、うれしい現象も起こり得るのです。

所見を通じてセルフケアのアドバイスも

 漢方の診療は、患者さまの状態をしっかり把握することが基本です。お通じの状態や冷えの有無、睡眠状態、皮膚や爪の様子、ストレスの有無など、一見すると主訴に関係ないような多岐にわたる項目について、一つひとつ確認することから始めます。
 問診のほかにも、見て、聞いて、触って患者さんの状態を把握し、治療薬を決めていきます。例えば、頭痛が主訴で受診されても、お腹を診察したりするので、驚かれる方もいらっしゃると思います。
 また、前回の診察所見との違いにも注意して診療しています。例えば、舌の様子から「最近また胃の調子が悪いですか?」と質問すると、「そうそう、ちょっと宴会が続いちゃって……」などとお答えいただくこともあります。このように、自分の身体の変化に目を向けることは、体調をセルフコントロールするうえで非常に大切です。
 漢方は”養生”を大切にする医学です。私が漢方の師匠から最初に教えていただいたのも、貝原益軒の”養生訓”についてでした。「胃腸が冷える人は冷たいものや身体を冷やすものを食べない」「疲れやすい人は無理をしない」など、当たり前のことのように感じますが、忙しく、また物が豊かな時代を生きる私たちにとって忘れがちなことです。”薬だけ飲んでいればいい”のではなく、できることをちょっとでも気をつけていくためのアドバイスを織り交ぜていきたいと思っています。

初診はもちろん、2度目の診察を大切に

 漢方医としては、私はまだまだ初心者の域を抜け出せない若輩者です。そのため初診はもちろん、2度目の診察を特に大切にするように心がけています。
 その際、お薬お効果を実感されている場合は良いのですが、そうでない場合、患者さまも言いづらいかもしれません。そのような思いをしていただかないような問診を心がけています。また、「漢方薬は長く飲まないと効かないから」と、十分な効果がないのに我慢して長期間飲んでいたというお話もしばしば耳にします。漢方薬は飲み始めて2週間で効果が分かるものもあれば、効果を実感するまでに4~8週間ほどかかるものもあります。受診の都度、内服したことによる変化を気軽にお伝えいただき、疑問に思うことを質問していただいて、より良い治療につなげていきたいと思っています。
 これまで西洋薬を飲み続けても一向に良くならなかった症状が漢方で良くなったと聞くと、心からうれしく思います。先日開院から2年を迎えましたが、一家で当院にかかってくださったり、お友達を紹介してくださることも多くなってきました。今後も「ちょっと”たまがわクリニック”に相談してみよう」と思っていただけるようなクリニックを目指し、努力していきたいと思います。

たまがわクリニック

医院ホームページ:http://tamagawa-clinic.com/

横浜市旭区中沢1丁目、相鉄線「二俣川」駅から徒歩7分。神経内科専門医である玉川聡院長と、漢方専門医である玉川葉子副院長が夫婦で運営している。木のぬくもりを生かしたゆとりある明るいクリニック。
詳しい道案内は医院ホームページから。

診療科目

内科、神経内科、漢方内科

玉川葉子(たまがわ・ようこ)副院長略歴
2000年  産業医科大学医学科卒業、同大学神経内科(心療内科学分野)に入局
2006年  日本東洋心身医学研究会 研究奨励賞受賞
2006年~ 複数の企業において産業医として勤務
2010年~ ベイサイドクリニック勤務、小尾龍右医師に漢方医学を師事
2014年  たまがわクリニック副院長
■所属・資格他

日本東洋医学会 漢方専門医、日本内科学会 認定内科医、日本心身医学会 心身医療「内科」専門医、日本心療内科学会 心療内科専門医、日本医師会 認定産業医、労働衛生コンサルタント等

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