日本で独自に発達した漢方医学の診断方法

[漢方の歴史と今] 2021/03/22
監修:秋葉哲生先生(あきば伝統医学クリニック院長)

 西洋薬では限界がある症状を治療・緩和したり、1剤で複数の病気を改善したりなど、さまざまな魅力を持つ漢方薬は「kampo」として近年、海外でも注目を集めています。

 漢方医学には、日本で独自に発達した理論や診断方法があります。

 例えば漢方医学で用いられる「気・血・水(き・けつ・すい)」の理論は、その1つです。漢方医学の治療では、病気そのものの症状に加え、その人の体質やタイプも重視されます。この、体質やタイプを診断する基準となるのが、「証(しょう)」の考え方で、「気・血・水」の診断は、その中でも重視されるものの1つです。

 「証」とは、ざっくりいうと、漢方医学の観点からの診断です。そのほか、陰陽(体力)、虚実(基礎代謝)、症状、後述する漢方独自の四診(ししん)と呼ばれる方法を用いて診断します。「気・血・水」とは、その人の不調の原因がどこにあるのかを判別するものです。漢方医学では、症状だけではなく「証」や「気・血・水」を考慮して、その人に合った漢方薬を処方します。同じ病名でも人によって用いる漢方薬が異なるのは、こうしたことが影響しているのです。

 「四診」は医師が五感を使って診断する方法ですが、その1つ、「腹診(ふくしん)」という方法も日本で独自に発達した技術です。腹診とはその名の通り、患者さんのお腹に触って、病気の状態を診る方法です。手でお腹を押したときの反発力(腹力)、腹直筋に強い緊張があるか、体を揺さぶるとポチャポチャと音がするか(振水音)などを確認します。

 腹診は、漢方医学が大きな発展を遂げた江戸時代に広く行われるようになった診断技術ですが、同じように漢方薬を処方する中国や韓国では行われていません。日本の漢方医学の医師が病状を見極めるにあたり、より多くの情報を得ようとした結果の1つが、この腹診だといわれています。

 しかし、日本独自に発達した技術といっても、誰もが取り入れているわけではありません。また、腹診で得た情報だけでは、漢方薬を処方するのに不十分なこともあります。腹診は数ある診断方法の1つとして、診断の精度をより高めるために用いられることが多いようです。

 西洋医学では、患者さんの病状をより詳細に把握するための情報として、検査の数値やCT、レントゲンといった画像診断の結果などを参考にしています。漢方医学では「証」や「気・血・水」、腹診、脈の状態を診る脈診、舌の状態を診る舌診などによって、そうした情報を得て、治療に役立てているのです。

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