漢方=中国ではない!? 日本の伝統医学「kampo」

[漢方の歴史と今] 2021/01/25
監修:秋葉哲生先生(あきば伝統医学クリニック院長)

 漢方と聞くと、「中国のもの」と考える人が多いのではないでしょうか。しかし、実は漢方医学は日本で発達した、日本の伝統医学なのです。

 日本の伝統医学が「漢方」と呼ばれるようになったのは、江戸時代中期の頃からだといわれています。この頃に日本へ伝来したオランダの医学「rampo(蘭方)」と区別するために、日本の伝統医学を「kampo(漢方)」と呼ぶようになったそうです。

 しかし日本の伝統医学といっても、その「おおもと」となる理論は、中国から伝わってきたものです。大陸から古代中国の伝統医学が伝わってきたのは、いまから1,500年ほど前の5~6世紀頃。それを日本の医師や薬剤師などが、長年にわたり日本人の体質や気候、風土に合うように改良を重ね、漢方医学は発展を遂げました。特に大きく発展し体系化されたのが、江戸時代にあたる17世紀頃で、それが現在の日本の漢方医学にも継承されているといわれています。

 このように漢方医学と、中国の伝統医学である「中医学」は、異なる体系で発展を遂げてきました。ただし、ルーツを同じくしているがゆえ、考え方や理論に類似点が多々あります。それらが混同されて漢方医学=中国というイメージがあるのかもしれません。

 その後、江戸時代に大きな発展を遂げた漢方医学は、明治時代に入り、西洋医学中心の新しい教育制度が整えられたことにより一時、衰退・断絶の危機に瀕します。しかし一部の医師や薬剤師などの尽力により、民間レベルで存続し続けました。漢方医学に再び注目が集まるようになってきたのは、昭和に入ってからです。1950年に日本東洋医学会が設立され、1960年には日本薬局方収載生薬6品目、1976年には医療用漢方製剤42処方が薬価基準に収載されました。現在ではエキス剤147処方、軟膏1の計148処方が保険収載されています。

 2001年には医学・薬学教育のコアカリキュラムに漢方医学が採録され、2006年には日本専門医認定機構により日本東洋医学会専門医が認定されました。近年では海外の学術誌に漢方薬の論文が掲載されるなど、漢方医学の評価は高まっています。

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