補中益気湯(ほちゅうえっきとう)

[外来でよく使われる漢方薬] 2021/03/30
監修:井齋偉矢先生(日高徳洲会病院院長/サイエンス漢方処方研究会理事長)

構成生薬

  • 黄耆(おうぎ)
  • 蒼朮(そうじゅつ)
  • 人参(にんじん)
  • 当帰(とうき)
  • 柴胡(さいこ)
  • 大棗(たいそう)
  • 陳皮(ちんぴ)
  • 甘草(かんぞう)
  • 升麻(しょうま)
  • 生姜(しょうきょう)

作用の特徴

栄養ドリンクを飲みたいほど疲れたときや、病気の影響などで体力が一時的に落ちたときに有用

対象となる症状

  • 病中病後の体力増強
  • 食欲不振

解説

 補中益気湯(ほちゅうえっきとう) は「中(おなか)を補い、気(元気)を益す(増強する)」という意味を持つ漢方薬です。その名の通り、消化管機能が衰え、著しい倦怠感があるときに用いられます。「医王湯(いおうとう)」という別名で呼ばれることもあります。

 代表的な使用例としては、体力が低下した人の倦怠感や食欲不振があげられます。それらの症状は、西洋薬では治療が難しいケースが少なくありません。そんなときに補中益気湯を活用することで、症状の改善につながることがあると考えられています。

 特に、インフルエンザなどのウイルス感染症にかかり、解熱後、消化管機能が低下している際に補中益気湯を服用することで、病後の回復が早まると考えられています。
手術や抗がん剤投与後の体力回復にも使うことができますが、十分な基礎体力がない場合にはかえって消耗することもあるため、注意が必要です。

 補中益気湯は、年齢や病気の影響で倦怠感が生じているときだけでなく、慢性的な疲れに対する栄養補給を目的として用いられることも多々あります。補中益気湯を服用すると、通常より落ちた免疫機能や消化管機能を元の状態に戻す作用がはたらきます。夏バテのような、暑さによる倦怠感や食欲不振を感じている場合にも有効です。

 1回1包を1日3回、1週間ほど服用すると効果が現れてくるといわれています。年齢が若いほど、効果が出るのが早い傾向があるようです。

エビデンス情報

食欲不振

 補中益気湯が虚弱高齢者のQOLを改善させ、免疫の状態を活性化させたという報告があります。
 感染症や血管障害がなく、悪性疾患もない60歳以上90歳未満の患者(ただし補中益気湯に対し反応がある場合に限る)に対しプラセボによるN of 1トライアルを併用した二重盲検ランダム化比較試験を行ったところ、補中益気湯投与群で有意にQOLの改善を認めたほか、免疫をつかさどるリンパ球表面抗原が有意に増加しました1)

免疫機能の向上

 補中益気湯の投与により、免疫機能に影響するリンパ球数が有意に増加したという報告があります。
 倦怠感を主訴として受診した30名に準ランダム化比較試験を行ったところ、補中益気湯投与群において、NK活性の上昇やリンパ球(特に大顆粒リンパ球)数の増加が見られました2)

参考

  • 1) Sato N, et al. Phytomedicine 2005; 12(8): 549-554
  • 2) 大野修嗣ほか. 漢方と免疫・アレルギー 1995; 9: 78-86
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