「高齢者の安全な薬物療法ガイドライン2015」に有用性が示唆されるとして5つの漢方薬が掲載
公開日:2016.07.04
カテゴリー:漢方ニュース
抑肝散、半夏厚朴湯、大建中湯、補中益気湯、麻子仁丸の5つ
高齢者医療の抱える問題の1つに、いくつもの病気が重なることを背景とした多剤併用(ポリファーマシー)があります。そうしたなか、なるべく少ない薬剤での治療をするための解決策として漢方薬が選択されるケースが増えています。2015年末、日本老年医学会が「高齢者の安全な薬物療法ガイドライン」2015年版を発行しました。同ガイドラインでは「高齢者に有用性が示唆されるわが国の医療用漢方製剤」として、抑肝散(よくかんさん)、半夏厚朴湯(はんげこうぼくとう)、大建中湯(だいけんちゅうとう)、補中益気湯(ほちゅうえっきとう)、麻子仁丸(ましにんがん)の5つが掲載されました。
抑肝散
認知症に伴う行動・心理症状のうち、易怒、興奮、、幻覚などの陽性症状に有効
半夏厚朴湯
脳卒中あるいはパーキンソン病患者において、誤嚥性肺炎の既往があるか、そのおそれがある場合に、嚥下反射や咳反射を改善させ、肺炎発症の抑制に有効
大建中湯
腹部術後早期の腸管蠕動運動促進もしくは脳卒中後遺症における機能性便秘に有効
補中益気湯
慢性閉塞性肺疾患(COPD)における自他覚症状、炎症指標および栄養状態の改善に有効
麻子仁丸
高齢者の便秘や排便困難全般に有効
一方、同ガイドラインでは注意を払うべき含有生薬として、附子(ブシ)、甘草(カンゾウ)、麻黄(マオウ)、黄ごん(オウゴン)、山梔子(サンシシ)の5つの生薬を挙げています。