即効性のある漢方薬

[漢方薬の使い方] 2021/01/21

 漢方薬と聞くと「長い間飲み続けているうちに、ゆっくりと効いていくもの」というイメージを持つ人が少なくないでしょう。たしかにそうした漢方薬もありますが、決してそれだけではありません。中には即効性があり、内服後、数分で効果が現れるものもあります。

 即効性のある漢方薬としてよく知られるのは、こむら返りの治療薬として使われる芍薬甘草湯(しゃくやくかんぞうとう) です。芍薬甘草湯は、芍薬と甘草が1対1の割合で含まれている漢方薬です。芍薬に含まれるペオニフロリンが、筋肉組織の細胞へカルシウムイオンが入るのを防ぐとともに、甘草に含まれるグリチルリチン酸が、細胞からのカリウムの排出を促します。これらの作用により、こむら返りのような筋肉の痙攣にともなう収縮や痛みを和らげてくれるのです。
芍薬甘草湯には内服してから数分で、こむら返りの症状を緩和する効果があるほか、運動前にあらかじめ服用しておくことで、こむら返りになりにくくなる予防効果もあります。

 また、しゃっくりの治療に使われる呉茱萸湯(ごしゅゆとう) にも即効性があることが知られています。呉茱萸湯は片頭痛の治療薬として使われる漢方薬ですが、とくに手足が冷えている方のしゃっくりや吐き気の改善にも有効です。これも服用してから数分で効果を発揮します。

 そのほか風邪に有効とされる麻黄湯(まおうとう) 葛根湯(かっこんとう) も即効性のある急性疾患薬です。この2つの漢方薬はともに麻黄を含んでいます。麻黄は有効成分として気管を拡張させて咳をしずめるエフェドリンを含み、麻黄と桂枝の組み合わせは強い発汗作用をもたらします。ただし体力の低下した人、胃腸虚弱の人には向きません。また、エフェドリンはドーピングの禁止成分のひとつとなっているため、スポーツ選手の内服にも向きません。

 このように、漢方薬には即効性のあるものも実は多数存在します。ただし、症状・証(しょう)に合った処方であることが大前提ですので、医師や薬剤師に相談のうえ使用するようにしましょう。

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