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<漢方にまつわる気になる本を紹介> 『西洋医学の名医が教える 新型コロナと速効!漢方』青春新書[著]井齋偉矢

公開日:2021.12.10
カテゴリー:漢方ニュース

新型コロナウイルス感染拡大への「切り札」になりうる漢方薬

新型コロナ感染症の感染拡大から、はや2年が経とうとしています。
令和3年12月5日現在、日本国内では172万人余りの人が感染、約18,350人もの人が新型コロナウイルス感染症によって命を落としています1)。日本国内での感染の広がりも下火になりつつあるかに見えましたが、新たな変異株「オミクロン株」が南アフリカなどで確認され、従来の変異株に比べてワクチンが効きにくい可能性や、感染拡大のスピードが速いのではないかとの指摘がなされています2)

いまだ予断を許さない状況ですが、今をさかのぼること3か月前、2021年9月に日高徳洲会病院院長でサイエンス漢方処方研究会理事長の井齋偉矢先生による『西洋医学の名医が教える 新型コロナと速効!漢方』(青春新書刊)が発刊されました。
井齋先生は、当サイト「外来でよく使われる漢方薬」の監修も手がけてくださっています。著書では漢方薬を「新型コロナウイルス感染症の感染拡大に終止符を打つための『最後の切り札』だと断言できます」として、漢方薬が新型コロナウイルスに対して予防から治療、後遺症に至るまで効果を発揮するということを、わかりやすく、また具体例を用いて解説されています。

1,800年前に感染症を抑える薬として生み出された漢方薬

漢方薬に、「長く飲み続けてこそ」というイメージを持たれている方も多いかと思います。実際に漢方薬を服用されている方の中には、長期間にわたって服用しているという方も多くおられることでしょう。
しかし、この著書の中で井齋先生は「漢方薬は、1,800年前に感染症のパンデミックを抑え込む薬として生み出されたもの。急性期の感染症にも対応できるようすぐに効果が得られるものも多くある」と説きます。
実際にわかりやすい例として挙げられているのが、いわゆるこむらがえりを改善する漢方薬として知られる芍薬甘草湯(しゃくやくかんぞうとう) です。
症状が出たときに服用すると、5分程度ですっと症状が消えると紹介されています。

漢方医学は、もともと中国の伝統医学をもとに、日本で独自に発展してきました。
その中国で1,800年前に「感染症の脅威を目の当たりにした医師・張仲景(ちょう・ちゅうけい)らが、漢方薬の初めての“感染症治療マニュアル”を編纂」しました。それが『傷寒論』です。
著書を引用してみます。

 『傷寒論』は、約1800年も前に作られたものですが、現在の漢方でも、急性症に対する漢方処方のバイブルとして重用されています。
 張仲景の時代は、現代のかぜ症候群といわれる普通の風邪でも、一両日中に快方に向かわなければ、あっという間にこじれて肺炎に至り、短期間で死に至ることも珍しくなかったと考えられます。
 そのため、『傷寒論』には、風邪をできるだけ初期の段階で治すために、いろいろな病態に応じた多彩な漢方薬の処方が用意されています。

西洋医学の名医が教える 新型コロナと速効!漢方 p42~43より

漢方薬と西洋薬の“二刀流”で対策を

『傷寒論』によると、新型コロナウイルス感染症の諸症状に効果が期待できる漢方薬はなんと30種類もあるというから驚きです。
漢方薬は、複数の生薬でできている薬です。その点が、おおよそ1種類でできている西洋薬と大きく異なります。そのため、「微量の化学物質が、体内のそれぞれの特有の数千か所の作用点を軽くサッと刺激し、身体の変調を正す」変化をもたらしてくれるといいます。つまり、自分自身に備わっている力を引き出してくれるのが漢方薬、というわけです。
「西洋薬と漢方薬の“二刀流”こそが、新型コロナウイルスのパンデミックでは断然有利になる」と井齋先生。

著書の中では、PCR検査で陽性反応が出たときに、自宅療養で使える漢方薬が、症状と合わせて具体的に紹介されているほか、重症化リスクのある基礎疾患を抱えている人に向けて免疫力を高めるための漢方薬、また、ワクチンの副反応や後遺症の際に役立つ漢方薬も紹介されています。

まだまだ収束の気配が見えない新型コロナウイルスとの戦いですが、感染対策のひとつとして、この本を手元に備えてみてはいかがでしょうか。

西洋医学の名医が教える 新型コロナと速効!漢方

病院にも薬にも頼らないカラダをつくる『未病』図鑑
著者:井齋偉矢
出版社:青春出版社
http://www.seishun.co.jp/book/23076/

参考
  1. 新型コロナウイルス感染症について > 国内の発生状況など│厚生労働省<2021年12月5日閲覧>
  2. SARS-CoV-2の変異株B.1.1.529系統(オミクロン株)について(第2報)│NIID国立感染症研究所<2021年12月5日閲覧>

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