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宮の森スキンケア診療室 上林淑人院長

[外来訪問] 2015/06/17

~漢方薬の新時代診療風景~
 漢方薬は、一般に知られる処方薬(西洋医学)では対処が難しい症状や疾患に対して、西洋医学を補完する使われ方も多く、今後の医療でもますます重要な役割を果たすと考えられます。
 近年、漢方薬の特性については科学的な解明が進んだこともあって、エビデンス重視の治療方針を取る医師の間でも漢方薬が使用されることが増えています。
 漢方薬を正しく理解して正しく使うことで、治療に、患者さんに役立てたい。日々勉強を重ねる、身近な病院の身近なドクターに、漢方活用の様子を直接伺いました。ドクターの人となりも見えてきます。

漢方は治療に使う”武器”のひとつ

 漢方薬は、治療に有効な”武器”の1つと私は捉えています。うちは皮膚科と形成外科が専門でレーザー治療や手術も行っていますが、漢方を処方するようになったのは患者さんを治す、または良くするための武器の幅を広げたいと思ってのことでした。
 特に、にきびの治療で漢方が非常に効果を上げています。診察では、はじめに舌診や脈診を行い、その患者さんがどんな体質かを知るための質問をします。なかなか治りにくい頑固なにきびを持つ方は、ほかにも何らかのトラブルを体に抱えていることが多いものです。例えば生理不順や、胃腸が悪い、便秘で困っている、冷えやほてりなどです。そういった体のバランスが崩れている1つの症状として、にきびも出てきます。
 患者さんの体質によって、十味敗毒湯、当帰芍薬散、桂枝茯苓丸、加味逍遥散、荊芥連翹湯、清上防風湯、半夏瀉心湯など、処方する漢方薬は多岐にわたります。いずれも体のバランスを取ってより正常な状態に近づけていく効能があります。つまり、にきびそのものを治すというよりは、にきびのできにくい体に改善していくのです。
 服用しているうちに、何年も悩んでいたにきびが良くなったという患者がたくさんいらっしゃいます。体質そのものが改善するので、「生理が順調になった」「お通じが良くなった」という声もお聞きします。

体のバランスを取って不快な症状を軽減

 原因不明のかゆみやじんましんに困って来院される患者さんもいらっしゃいます。そのような場合にも身体バランスの崩れが考えられますから、患者さんに「使ってみますか?」とお聞きしてから漢方薬も処方しています。
 体質が大きく関わるアトピー性皮膚炎の治療は、とても難しいところです。「塗り薬も要らない状態まで根本的に治したい」という気持ちの患者さんもいらっしゃいます。軟膏や西洋薬を完全に断ち切ることは難しいかもしれませんが、漢方を併用していけばそれらの量を減らしたり、穏やかなものに替えたりすることができます。実際に当院では補中益気湯、黄連解毒湯、柴胡清肝湯などを処方しています。ただし、体質は一朝一夕に変わるものではありませんので、根気強く服用を続けることが大切です。
 また、既にたくさんの薬をのんでいる方や高齢者の方などには、西洋薬の代わりとして漢方薬を使うこともあります。

肌は自分の体調を映すバロメーター

 皮膚は全身の鏡であり、今の健康状態を表すものです。体調の悪い方が、お肌だけハリやツヤがあって元気だということはありません。乾燥してカサカサしているなど、何らかの不調のサインが現れているはずです。
 スキンケアといえば、顔をマッサージしたり何かを塗ったりする美容的なことと思われがちです。しかし、本来は「お肌の状態を日々観察して健康な皮膚を保つようにすること」がスキンケアであると私は考えています。もし、お肌に不調が見られるようなことがあれば、まずは生活を見直してみる。そうやって毎日こまめにお肌をチェックしていくことで体の健康を保てますし、病気の予防にもつながります。
 その意味でも、内側から体質を改善していく漢方薬はかなり有効だと考えています。ですので、軟膏だけを希望されても症状がぶり返してしまう方には、ご本人の体質に合った漢方薬をお勧めしています。

外側と内側の両面からのアプローチで

 私が札幌医大に勤務していた時代は、皮膚科の高橋誠教授、そして形成外科の阿部清秀先生の下で、さまざまな皮膚疾患、全身熱傷や悪性腫瘍、先天奇形などの患者さんの治療を行ってきました。1990年、サハリンから3歳のコンスタンチン君が全身やけどで緊急搬送されてきた時には、阿部先生の陣頭指揮で皮膚の移植手術にも参加しました。運ばれてきたときは生命の危険が高い状態でしたが、何度にもおよぶ手術の末に完治して笑顔で帰って行ったときはやはりうれしかった。そうした経験を積み重ねて、この道へのやりがいを感じてきました。
 今まで25年間、医師として数多くの患者さんを診てきました。お肌は見た目も重要なので、病気そのものを治すだけでなく、なるべくその跡が残らないように細心の注意を払っています。患部がきれいになって喜んでくださる様子を見ると、私もうれしいですね。加えて、”内側から治す”漢方も勉強を続けながら、より治療を洗練させていきたいと思っています。

宮の森スキンケア診療室

医院ホームページ:http://www.m-skin.com/

札幌市営地下鉄東西線西28丁目1番出口の隣、メディック28ビル3階。西28丁目バスターミナルからも交差点をわたってすぐの場所にある。
詳しい道案内は医院ホームページから。

診療科目

形成外科、皮膚科、レーザー外来

上林淑人(かみばやし・よしひと)院長略歴
1990年 札幌医科大学卒業、皮膚科入局
1992年 形成外科入局
1994年 医学博士号取得
旭川赤十字病院、室蘭市立病院形成外科医長の後、
1998年 宮の森スキンケア診療室開設


■所属・資格他

日本形成外科学会、日本皮膚科学会、日本臨床皮膚科医会、日本癌学会、日本熱傷学会、日本形成外科専門医、皮膚腫瘍外科指導専門医

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