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ひろクリニック 賀来宏維院長

[外来訪問] 2015/05/27

~漢方薬の新時代診療風景~
 漢方薬は、一般に知られる処方薬(西洋医学)では対処が難しい症状や疾患に対して、西洋医学を補完する使われ方も多く、今後の医療でもますます重要な役割を果たすと考えられます。
 近年、漢方薬の特性については科学的な解明が進んだこともあって、エビデンス重視の治療方針を取る医師の間でも漢方薬が使用されることが増えています。
 漢方薬を正しく理解して正しく使うことで、治療に、患者さんに役立てたい。日々勉強を重ねる、身近な病院の身近なドクターに、漢方活用の様子を直接伺いました。ドクターの人となりも見えてきます。

漢方の効果を目の当たりにして勉強を開始

 父の後を引き継ぐ形で産婦人科医としてクリニックを開業しましたが、もともとは神経内科が専門でした。患者さんを見て、その体に触れることで隠れている病気を探り、診断することに惹かれて専門にしたのですが、今にして思うと、その診療方法は漢方医学と通じるものがあると感じています。
 私が大学生だったころは、まだ漢方の授業はなく専門的に学ぶことはありませんでした。研修医になってから、アルバイト先(今はできませんが、当時は許されていたのです)の病院で慢性的な膀胱炎のおばあさんを診ていて、抗生剤などの西洋薬をたくさん投与しても治らないときに、たまたま八味地黄丸という腎虚を補う作用のある漢方薬を使ったら、スパッとよくなったのです。また、肝機能障害の状態が長く続いていた患者さんに小柴胡湯を使ったら、こちらもスッとよくなった。その経験が、自分にとってはとてもインパクトが大きく、その後、文献を読んだり、東洋医学会の研修会や学会などに参加したり、論文を書いたりしながら漢方を学びました。

漢方薬で身体の状態を整えることで改善することも

 現在、クリニックにいらっしゃる患者さんの8割は女性で、10代から90代まで幅広い年齢層の方が来院されます。出産は扱っていませんが、30週ぐらいまでの妊婦健診をおこなっていて、里帰り出産の方が多くいらっしゃいます。ほかにも産婦人科領域では、月経痛や月経不順、月経前症候群、更年期障害、不妊症なども多く診ています。内科や神経内科の領域では、風邪や生活習慣病、片頭痛、パーキンソン病、アルツハイマー型認知症などの患者さんがいらっしゃいます。
 クリニックでは、西洋医学と東洋医学を併用した治療をおこなっています。例えば高血圧でも、自律神経の乱れや更年期、不眠など、女性ならではの不調が原因と考えられる場合には、それに合う漢方薬を使うと血圧がスッと下がったり、片頭痛で長年痛み止めを使い続けてきた人が、漢方薬を使うことで痛み止めを使う頻度が低くなることもあります。
 不妊症の方も多くいらっしゃいます。東洋医学の考え方の1つである「気・血・水」のバランスが乱れて卵巣機能が低下したり、排卵しにくくなったりすることもあるため、そういった場合は漢方薬で体調を整える治療をおこないます。ほかにも、妊娠中の風邪や頭痛、つわりなどに漢方薬を使うことで、症状が和らぐことがあります。

一人ひとりの患者さんに合う治療法を選ぶ

 患者さん一人ひとりで、体の状態も考え方も異なるので、患者さんの希望もうかがった上で、その患者さんに合う治療法を選択しています。西洋薬の場合は、頭痛なら痛み止め、胃痛なら胃薬、下痢なら下痢止めと、症状に合わせた薬を使いますが、漢方は症状だけでなく、その人全体を診て、漢方特有のものさしである「証」に合わせて薬を選びます。ですから、例えば西洋医学では3種類の薬を飲まなければならない頭痛と胃痛、下痢の薬を1種類にまとめることも可能なのです。薬の量が減れば患者さんの負担も減りますし、医療経済的にもいいことだと思いますね。
 ただ、薬ですから副作用もある。「漢方だからなんでも安全」とは言えません。もちろん、副作用が出ないように慎重に処方し、こまめに経過も観察するので多くの場合は問題なく症状が改善されますが、まれに起こることもあるので、患者さんには必ず副作用の説明もおこないます。

知識と経験に基づく「直観」も大事

 漢方薬を使うときは、患者さんの状態をトータルに知る必要があるため、普段以上に話をじっくり聞きます。また、舌を診たり、おなかを触ったりと、西洋医学の診療とは、少し方法が異なります。診察をしながら、体力があるか、虚弱体質か、熱を持っているか、冷えているか、血の巡りがいいか、水がたまっていないかなど、その人の体質を診ます。これらの組み合わせにはある程度パターンがあり、それによって使う薬が決まります。患者さんをじっくり診た上で、最後は経験による「直観」で決めることもありますね。
 こうした診察のしかたは勉強と経験により身に付くものであり、漢方医学は、言ってみれば「経験医学」のようなものだと思います。書籍にも重要なことはたくさん書いてありますが、それだけではダメ。実際に患者さんを見て、触れることで体得していかなければならないものだと思います。患者さんの数だけ治療法があると言えるほど、患者さん一人ひとりで異なるので、奥が深いし、勉強し続けることが必要です。でも、例えばずっと不妊症だった人が妊娠できたときや、つらかった症状が改善されたときはとてもうれしい。そういった患者さんの姿を見ると、この仕事していてよかったと思いますし、やりがいを感じますね。

ひろクリニック

医院ホームページ:http://hiroi-c.com

西武池袋線「ひばりヶ丘」駅より徒歩3分。明るく、木のぬくもりを感じられるクリニックです。
詳しい道案内は医院ホームページから。

診療科目

産婦人科、内科、神経内科、漢方内科

賀来宏維(かく・ひろい)院長略歴
1997年 東京医科大学卒業、同大学内科研修医
1999年 都立荏原病院神経内科勤務医
2000年 西投稿中央総合病院内科勤務医
2001年 東京医科大学第3内科臨床研究医
2006年 岩手医科大学産婦人科助教
2009年 ひばりが丘医院勤務医
2013年 ひろクリニック院長就任


■所属・資格他

日本産婦人科学会専門医、日本神経学会専門医、日本東洋医学会認定漢方専門医、日本抗加齢学会専門医、日本医師会認定産業医、母体保護法指定医

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