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コウクリニック 大嶋康院長

公開日:2015.04.08
カテゴリー:外来訪問

~漢方薬の新時代診療風景~
 漢方薬は、一般に知られる処方薬(西洋医学)では対処が難しい症状や疾患に対して、西洋医学を補完する使われ方も多く、今後の医療でもますます重要な役割を果たすと考えられます。
 近年、漢方薬の特性については科学的な解明が進んだこともあって、エビデンス重視の治療方針を取る医師の間でも漢方薬が使用されることが増えています。
 漢方薬を正しく理解して正しく使うことで、治療に、患者さんに役立てたい。日々勉強を重ねる、身近な病院の身近なドクターに、漢方活用の様子を直接伺いました。ドクターの人となりも見えてきます。

五感を働かせる


大嶋院長と院長先生の愛犬で「副院長」のぷーちゃん

 クリニックを開業したのは2001年。漢方治療をベースに、0歳の乳児から最高齢は98歳まで、また、内科に限らず整形外科や皮膚科、婦人科の領域までさまざまな患者さんの治療にあたっています。
 漢方治療の原点は、人間が本来持っている自然治癒力を高めることだと思っています。そのためには、患者さんの中で何が起こっているのかを十分に知り、正しく診断することが大切です。なので、患者さんと最初に会うときには、真っ白な気持ちで向き合うことを心がけています。東洋医学のものの見方の一つに「気・血・水」がありますが、例えば「気」ひとつとっても、診る側の気持ちが不安定だと全く違う受け取り方をしてしまうかもしれない。それによって治療の方向性を誤ってしまうことにつながりかねません。診察ではまず、できる限り平穏な心で患者さんと向き合うことを肝に銘じています。そして、患者さんの情報をしっかりキャッチするために、五感をしっかり働かせて、その人の心身のバランスを整えるための治療法を検討します。

医師になったときから東洋医学の考え方に共感

 医師になったころから東洋医学的な考え方に共感し、将来はこういった医療に取り組むことになるんだろうな、と思っていました。というのも、学んできた西洋医学的診察方法によって得られる所見より、顔色や手の温かさなどといった患者さんとふれあうなかでダイレクトに入ってくるたわいのない情報のほうが、私には大きな意味があるように感じられていたからです。
 研修医時代、カルテに「顔色もよく元気そう」「声も大きく手も温かい」などと患者さんの情報を書いていたら、先輩に「そういった内容はとても大切なことだけど、カルテには書かなくていい」と言われ、それからは頭の中のカルテにそういった患者さんの情報を書き込むようになりました。おもしろいもので、そうするとますますその情報が大切になり、それにのっとって患者さんと向き合うのが自分の診療スタイルになっていきました。
 そして、日々の診療で自分が考えたり、感じたりしたことが、そのまま「心身一如」や「陰陽」といった東洋医学の考え方と共鳴したことから、漢方薬を取り入れた治療を行うようになりました。

患者さんに教わりながら漢方医に

 私にとって、最も優れた漢方の先生は患者さんたちです。漢方の教科書的な本はたくさんあって、しかも、どれもだいたい同じことが書いてあります。読んでいるだけでは意味がさっぱりわからず、眠くなることも多い。実際に患者さんの治療をして、患者さんに変化が起こって初めて「これがあれか!」と教科書に書かれていたことと目の前のことが一致する。患者さんからもらう「アメとムチ」が自分を漢方医として育ててくれました。
 例えば、便秘の薬を出したら、20年苦しんでいたアトピーがキレイに治ってしまった、なんてことがあるとすごく嬉しくて、もっともっと勉強して患者さんを笑顔にしたいとはりきる。一方で、自分なりに考え抜いた処方薬が、効果がでないどころかかえって具合を悪くしてしまい、漢方の難しさを思い知らされる。ということも、漢方治療を始めたころは多々ありました。でも、ムチのつらさよりアメの喜びのほうがはるかに大きくて必死に勉強を続け、かれこれ25年、漢方薬を使った治療を続けています。

東洋医学と西洋医学、両方の目で診ることを忘れない

 西洋医学的な治療は、現在の患者さんの状態、種々の検査結果から病名を診断し、薬を処方します。例えば、インフルエンザなら、抗インフルエンザウイルス薬を使って治療します。一方、漢方の場合は「西洋病名に対する薬」という考え方はありません。今起こっている症状だけでなく、この症状が出るまでの患者さんの体の状態はどうだったのか、なぜこの症状が起こっているのか、体の内側から診ます。そして、その状態を改善し、調子を整えるための薬を処方します。ですから、インフルエンザなのに処方された薬の効能に「おなかの症状に効く」などと書いてあることもあり、患者さんが驚かれることもあります(笑)。
 ただひとつ、忘れないようにしていることは、どんな病気でも漢方だけで解決できるわけではないということ。例えば、狭心症や心筋梗塞、肺炎、高血圧など、病気によっては西洋医学的な診断・治療の方が優れた効果を出せるものもあります。ですから、診断のときは常に西洋医学の目も併せ持ち、どちらの治療が患者さんに最良の結果が出せるか、正しく振り分けるようにしています。せっかく、西洋医学を学んだ上で東洋医学を使える時代に生まれたのですから、両方をうまく使い分けられることが私たちの強みになると思っています。

コウクリニック

医院ホームページ:https://www.koucl.com/

JR「小岩」駅、都営新宿線「瑞江」駅から京成バス「鹿骨1丁目」バス停下車、徒歩3分。運がよければ院長先生の愛犬で「副院長」の「ぷーちゃん」と会えるかもしれません。
詳しい道案内は医院ホームページから。

診療科目

内科、小児科、呼吸器科、アレルギー科、理学診療科、漢方診療科

大嶋康(おおしま・こう)院長略歴
1985年 日本大学医学部卒業、同大学第一内科学教室入局
1986年 新潟県上村病院内科
1987年 横須賀中央病院呼吸器科
1991年 国立がん研究センター中央病院
2001年 コウクリニック開設

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