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漢方緑川クリニック 緑川沢樹院長

[外来訪問] 2015/02/12

~漢方薬の新時代診療風景~
 漢方薬は、一般に知られる処方薬(西洋医学)では対処が難しい症状や疾患に対して、西洋医学を補完する使われ方も多く、今後の医療でもますます重要な役割を果たすと考えられます。
 近年、漢方薬の特性については科学的な解明が進んだこともあって、エビデンス重視の治療方針を取る医師の間でも漢方薬が使用されることが増えています。
 漢方薬を正しく理解して正しく使うことで、治療に、患者さんに役立てたい。日々勉強を重ねる、身近な病院の身近なドクターに、漢方活用の様子を直接伺いました。ドクターの人となりも見えてきます。

オーダーメイド な処方の重要さを実感

 漢方薬の処方は、非常に多数の種類の生薬を、それぞれの用量という要素も含めた無数の組み合わせのパターンの中から選択できる可能性を持っています。一般的に漢方薬と耳にされると、「○○湯」や「●●散」といった名称の複数の生薬が配合されワンセットになっている方剤(ほうざい)を想像されることが多いのではないでしょうか?ある意味定石となっている、こういった処方の内容は過去の医学書の中に著されたもので、多くの治療経験の蓄積を背景としているだけに非常に有用です。こういった既存の処方によるレディメイドの治療で十分にカバーできる患者様は健康保険の範囲内の漢方薬治療の守備範囲といえます。
 ところが実際には完全に教科書的な体調不良の方ばかりではなく、最適な方向性で治療を進めるためには、より詳細な体質の把握と配合をダイナミック、かつきめ細やかに調整することが必要になります。
 東洋医学的な診察情報である「証」を基にその背景に隠れている問題を推測し、治療法を見出していくことを「弁証論治」といいます。ときには、よく似た症状の患者さん同士でも処方される薬が違ってくることもあります。定石通りに「血(けつ)」が不足している場合は「血」を補う薬、「湿邪」が身体の機能を邪魔している場合は「湿邪」を処理する薬を用いるという治療は、定番の方剤を使った治療で十分に対処できます。しかし根本的な生命力が虚弱だったり、背景にある複雑な病態を解きほぐしていくために、新しいアイデアと治療の進行状況に合わせた調整が必要となる場合には、生薬単位での調整を行えるせんじ薬の出番となります。当院では品質にこだわり厳選した生薬を使って、こういったオーダーメイドな処方を丁寧に行っております。これにより、それまで見逃されていた体質の問題点をとらえることができるからです。

治療のゴールは、漢方がいらなくなること

 アトピーの患者さんは皮膚科で外用薬を処方されることが多いのですが、多くの方は適切な投与量を用いればしっかりとアレルギーによる炎症を鎮静化させ、外用薬を終了、もしくは頻度・用量を限定した治療でコントロール可能な状態に落ち着きます。
 ところが、ある患者さんが外用薬を長期間中止できないままになり、徐々に強い薬が必要になってしまい、最後に当院を受診されるというケースがありました。しかし、漢方薬を飲み始めても、すぐに体質が改善し皮膚が丈夫になったり免疫状態が安定するわけではありません。
 治療開始当初、かゆみがどうしても酷く体力の消耗につながる場合には、最低限度の用量の塗り薬と併用して漢方を処方しますが、体質の改善に伴い塗り薬は徐々にゼロに近づけていくようにします。さらに体質が十分に改善されてエネルギーと栄養を自給自足できる状態になり、漢方も不要になり卒業できることが最終的なゴールです。そのためには体を守るバリアの機能・必要な栄養を取り込む機能・老廃物を安定して処理する機能・体のバランスをとる司令塔の機能など、体質を構成する各要素が連携して安定した状態を維持していけるようなからだづくりが必要です。大きな城の石垣が地震でも崩れない安定度をもっているように、土台からつくりあげた体質は、多少の負担は跳ね返す力を獲得できます。そのために漢方薬をどう組み合わせるかが、漢方医としての腕の見せ所なのです。

昨日より今日、今日より明日の健康な体のために

 私は日々、患者さんと信頼関係を築くことを心がけています。信頼していただくことで、ご自身の症状を話しやすくなり、こういう体調の時にこんな症状が出る、こういう季節・気候で症状が出やすいなど、患者さんの話の中にあるヒントをいただけるからです。これらの情報は、治療に役立てることができるだけではなく、患者さんがこれから健康な体を手に入れて健やかに過ごしていかれるためにも有用であると考えています。
 私は日々の業務の中で得た知識や経験をふまえ、今後も現状に満足することなく研鑽を積み、治療に役立つ知識の引き出しを一つでも増やしていきたいと思っています。きっと、これからも私の前には多くの病気や症状に悩む患者さんが訪れるでしょう。中には原因がはっきり分からない症状に苦しむ患者さんもいらっしゃるかもしれません。そんな患者さんにも、きっとどこかに病状を改善する糸口があるはずです。それを見つけ治療につなげるために、昨日よりも少しでも切れ味のある処方が組めるようになることが私の目標であり、喜びの声を聞かせていただくことが日々の楽しみです。「昨日より今日、今日より明日」を実現できれば、明日はもっと難しい疾患の治療もできるようになるはず。そのための努力は惜しまず、日々成長できるよう励みたいと思っています。

漢方緑川クリニック

医院ホームページ:http://www.midorikawa.net/

地下鉄梅田駅・JR大阪駅・阪急梅田駅から徒歩約10分、地下鉄西梅田駅・JR北新地駅からは徒歩約5分以内の大阪駅前第一ビル2階、東側エスカレーターを上ってすぐ右側にあります。
完全予約診療で、ひとりひとりじっくりお話をうかがっています。詳しくは医院ホームページから。

診療科目

漢方内科、漢方アレルギー科、漢方外来

緑川沢樹(みどりかわ・さわき)院長略歴
1998年 奈良県立医科大学付属病院
1998年 松原市立病院 内科
2000年 国立西奈良病院(現:奈良医療センター) 内科・東洋医学外来
2002年 中国上海中医薬大学留学(附属病院での臨床実習含む)
2003年 木津川厚生会 加賀屋病院(東洋医学外来)
2003年12月1日 漢方緑川クリニック開院


■所属・資格他

日本医師会、日本内科学会、日本東洋医学会、日本臨床漢方医会、日本中医学会

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