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三宅漢方医院 三宅和久院長

[外来訪問] 2016/03/09

~漢方薬の新時代診療風景~
 漢方薬は、一般に知られる処方薬(西洋医学)では対処が難しい症状や疾患に対して、西洋医学を補完する使われ方も多く、今後の医療でもますます重要な役割を果たすと考えられます。
 近年、漢方薬の特性については科学的な解明が進んだこともあって、エビデンス重視の治療方針を取る医師の間でも漢方薬が使用されることが増えています。
 漢方薬を正しく理解して正しく使うことで、治療に、患者さんに役立てたい。日々勉強を重ねる、身近な病院の身近なドクターに、漢方活用の様子を直接伺いました。ドクターの人となりも見えてきます。

抑えるのではなく、根治させたいと思ったのがきっかけ

 実は、漢方には最初あまり関心がありませんでした。でもあるとき、「通常の処方では、治る人もいれば治らない人もいるし、治ったと思っても何回も再発する人もいる。場合によっては、これは治しているのではなく抑えているだけなのでは」と考えたんです。そうしたケースの場合、漢方など他の考え方を駆使していかないと治らないんじゃないかと思っていたとき、宇治徳洲会病院の小児科の先生に漢方の勉強会に誘われて、参加するようになりました。
 その後、出身の岡山大学系ではなく、AMDAの拠点になっている岡山のクリニックに移りました。すると、そこはお年寄りばかりで子供がいない。それまでは小児科にいましたから、今までやってきたことがそのまま使えなくて焦りました。でも、同じ病院に北京中医薬大学の大学院出身で、漢方と針を両方できる先生が勤めていらしたので、その先生に指導を仰ぐことができたのです。おかげで、さらに勉強できるようになりました。その後、鍼灸に関してもっと学びたいと思い、一年間休職して南京中医学大学に留学しました。

※AMDA(アムダ)…相互扶助の精神に基づき、災害や紛争発生時、医療・保健衛生分野を中心に緊急人道支援活動を展開。世界30か国にある支部のネットワークを活かし、多国籍医師団を結成して実施している

徹底した生活指導で結果を出す

 当院には漢方治療を求めて来院する方がほとんどで、また、慢性疾患の方が多いです。ですから、基本的に患者さんには漢方理論でどうして病気になったかをきちんと説明し、睡眠や食事の取り方も徹底的に指導します。こうした指導は完全にボランティアなのですが、生活スタイルを指導しないと治療効果が上がりません。
 以前、「こういうふうにしてね」と話し、患者さんが「やってます」と言われるのですが、結果に出てこないことがありました。おかしいなと思って、ある時食事の写真をデジカメで撮ってきてもらいました。そうしたら、全然言っていることと、やっていることが違ったんですよ(笑)。それじゃ薬も効くわけがないと、その頃から、薬の効果がなかなか上がらない人には、食事の写真を一週間分撮ってきてもらい、チェックしています。
 見立ては同じで合っているはずなのに、なぜ薬が効く人と効かない人が出てくるかというと、生活スタイルが原因です。生活スタイルが悪いままだと、当然薬も効きません。その辺がわかってきてからは、薬の説明以上に、生活面で「ここを押さえておかないと治るものも治らないよ」とよく言っています。
 漢方診療をある程度すると視野が広くなります。現代医学から診てもわからないけど漢方から診たらわかることもあり、そこも漢方の面白いところです。臨床医であるからには、現代医学のいいところを使いながら足りない部分を漢方で補って、しっかり治療結果を出していけたらと思います。

がん治療のサポートや、不妊症患者にも知見を活かす

 最近は、がん患者さんも来院されます。あるがん患者さんは、抗がん剤の副作用で白血球の数値が下がり過ぎて、次の抗がん剤を使うのにままならないとのことで相談に来られたのですが、だいたい2週間で白血球数を元に戻すことができています。かなりの量の漢方薬を処方しますが、当院に来られるようになって3~4年経った今でも治療を継続できていますし、検査データ自体も良くなっています。今のところ再発もしていない状況です。このように、抗がん剤の副作用のフォローにも漢方薬が役立っています。
 私はもともとアトピーを中心に皮膚科の患者さんを診ることが多かったのですが、最近は不妊症の患者さんも増えています。婦人科疾患で来る人の半分くらいが不妊症ですね。難しい治療はしないのですが、薬の処方だけでなく、基本的な生活面スタイルの指導をきちんとすると、あっさり妊娠されるケースもありますね。

現代医学と漢方を別々にしたくない

 今後の目標は、漢方でがんを治せるくらいになることです。それと、福岡では若手で漢方診療をしている先生が少ないので、早く後輩を育てていかないといけないと思っています。若い先生に漢方診療に興味を持ってもらい、治療手段の一つとして漢方薬がこれだけ効くということを理解してもらいたいですね。
 最後に、西洋薬も漢方薬も所詮は薬です。私たち医師は西洋薬と漢方薬の両方を使います。ですから、漢方診療をお考えの方には、現代医学と漢方医学をあまり別々に考えないことをおすすめしたいです。

三宅漢方医院

医院ホームページ:http://www.miyakekanpou.com/

福岡市地下鉄空港線「天神駅」から徒歩5分。アジアンテイストで、落ち着いた雰囲気の院内。赤い特徴的なロゴが目印になっています。詳しい道案内は医院ホームページから。

診療科目

内科、小児科、皮膚科、婦人科

三宅和久(みやけ・かずひさ)院長略歴
1989年 岡山大学医学部卒業。医局に入らず、宇治徳洲会病院にて各科ローテーション研修後、同院小児科に入局。この頃から漢方勉強会に参加。
1991年 AMDAによるクルド難民救援活動に参加。その縁でアスカ国際クリニック(岡山)に移り、北京中医薬大学出身の医師から漢方と鍼灸を学ぶ。
10年間日本の地域医療に従事する一方で、インド・マハラシュトラ州大地震、ルワンダ難民、チェチェン難民、サハリン地震、アフガニスタン北東部地震、コソボ難民、台湾中部大地震などの世界各国の災害内戦地での緊急救援に参加。
1997年 10か月間、南京中医薬大学に留学。楊進教授やその師、老中医・孟?江先生より教えを受ける。
2003年 1年間ミャンマーに滞在。廉価医療普及のため鍼灸、吸い玉療法を伝授。
2004年 福岡輝栄会病院に勤務。
2005年 正信会水戸病院内科に勤務。
2008年 三宅漢方医院開業。


■著書

「護鬼の里」(吉備人出版)、「AMDA緊急救援出動せよ!」(吉備人出版)、「ルワンダからの証言―難民救援医療活動」レポート(AMDA/分担執筆)、「臓腑経絡・三焦の弁証と処方」衷中会 (たにぐち書店/分担執筆)、「医学衷中参西録」張 錫純 (著)衷中会(たにぐち書店/分担執筆)

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