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三才堂 内山医院 内山晴旦院長

公開日:2015.01.21
カテゴリー:外来訪問

~漢方薬の新時代診療風景~
 漢方薬は、一般に知られる処方薬(西洋医学)では対処が難しい症状や疾患に対して、西洋医学を補完する使われ方も多く、今後の医療でもますます重要な役割を果たすと考えられます。
 近年、漢方薬の特性については科学的な解明が進んだこともあって、エビデンス重視の治療方針を取る医師の間でも漢方薬が使用されることが増えています。
 漢方薬を正しく理解して正しく使うことで、治療に、患者さんに役立てたい。日々勉強を重ねる、身近な病院の身近なドクターに、漢方活用の様子を直接伺いました。ドクターの人となりも見えてきます。

幅広い症状に対応する漢方薬の面白さ

 妻が薬剤師で、漢方の勉強会に出席したりしていて、誘われて自分も参加するようになったのが漢方薬に触れるようになったきっかけでしょうか。
 漢方薬は体質に合わせて処方することが大切です。ですので患者さんの体質を見定めるため、問診をかなり重要視しています。例えば触診。お腹を触って脈をみて、顔色や、太っている、痩せているといった体型も診ます。それから、舌診。シワがあるとか、白いものが付いていたり、歯形が付いていることもあります。舌が浮腫むので、ぐっと圧迫されて歯形が付くんです。科学的じゃないという人もいますが、漢方では経験的な積み重ねで得られている知見も活用します。舌は内臓の一部でもありますから、100%ピタリではないけど、大体の方向性を決める手立てにはなります。
 こういった、いろいろな方向から診て体質を確定していく過程、そこに奥深さというか面白みを感じています。単純に型通りの診察をして「風邪ですね」と言うよりも、根掘り葉掘り聞いてコミュニケーションを深くしていくわけですからね。
 この問診時、漢方だけにこだわっているわけでもありません。間口を広くして見落としのないようにと考えていますので、診察が長くなることもあります。

漢方薬処方を視野に入れると、病気の概念すらも変わる

 患者さんの訴えで多いのは、頭痛や冷え、胃腸の調子が悪いなど。胃腸の調子が悪いというと漠然としていますけど、もたれやゲップ、あとはしゃっくりもありますね。
 原因となるものが幅広く考えられるという意味では片頭痛もそうです。片頭痛は単純には血管が拡張してしまって痛くなるという生理的なものですが、その背景には多くの要素があります。ホルモンのバランスが悪いとか、あとは天気の影響でおきることもあります。西洋薬ではトリプタンという血管に作用する画期的な片頭痛の薬がありますが、最終段階で使うようにしています。西洋医学でもいい点はあるけれど、考え方というか選択の幅として、行き詰まりがあると感じています。
 それこそ、しゃっくりは西洋的にいうと病気ではないかもしれないけれど、漢方的にいうとそれなりの考えがある。要するに、東洋医学的にいうと「バランスの崩れた状態」が病気になるので、何かのバランスが崩れた結果、そういった症状が起きる。しゃっくりを止める薬というと、西洋薬ではなかなか効果的なものが無いかもしれませんが、漢方薬ではいくつかあります。例えば柿のへた。煎じて飲むことで、しゃっくりが止まることもあるのです。

地域に根差したプライマリケアの役割を担うには

 西洋医学と東洋医学は対立するものではなく、両方を上手く使っていくべきだと思います。ミリ単位で決めなければいけないケースでは西洋医学、体全体でのつながりという考え方が必要な時は、東洋医学。そんな使い分けをしています。
 うちは地域のプライマリケアとしての役割を担っているので、幅広く受け入れて、患者さんの状態に応じて、治療するなり、適切なところへ割り振るなりしていきます。体調が悪かったり、怪我をしたら、まず差し当たって診てもらおうというところなんですね。それが本来のかかりつけ医だと思います。
 また、CTスキャンを置いていますから、必要であれば撮って、患者さんの状態をある程度断定して他の病院に送ることも出来ます。こういう疑いがあるとか、データも持たせることが出来る。その点は強みです。

東洋医学の知識を活かした包括支援を目指す~

 本当はリハビリにおいても、鍼灸のツボなどの東洋医学も取り入れたい。薬だけではなく、鍼と両方を使うのが本来ですから、習いたいと思っています。経絡というのがあって、西洋的にいう神経の経路とは考え方がまったく違うのですが、鍼で麻酔が出来てしまったりしてパラダイムシフトがあるのです。
 最終的には本場の中国で勉強してみたい気持ちはあります。日本でも勉強できるところはありますが、医師が鍼灸を勉強する環境というと、なかなか難しいです。
 これからは包括支援といって、リハビリも病院で長い時間を費やすのではなく、在宅の介護の中で行なう流れが加速します。その中に、役割を見つけていけたらいいなと思っています。デイサービスだと民間でもできますけど、デイケアは医師がいないといけないので。
 もっと深く勉強して、いつか東洋医学的な漢方薬や針灸の知識を活かせるようなリハビリ施設を作りたいです。

三才堂 内山医院

医院ホームページ:https://uchiyamaiin.com/

豊鉄バス「上平井」より徒歩1分、またはJR飯田線「東新町駅」より徒歩5分。
採光のいい大きな窓がある待合室はリラックスできます。50台駐車できるパーキングを完備。
詳しくは医院ホームページから。

診療科目

内科、外科、脳神経外科、リハビリテーション科

内山晴旦(うちやま・はるあき)院長略歴
昭和56年 浜松医科大学卒業 医師免許取得
昭和62年 日本脳神経外科学会専門医取得
平成元年浜松医大付属病院脳神経外科、浜松赤十字病院脳神経外科、新城市民病院脳神経外科の勤務を経て、内山医院を開業
■資格・役職

医学博士、日本脳神経外科学会会員、日本東洋医学会会員

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