<機能性ディスペプシアの漢方治療 編集後記>胃にまつわる豊富な漢方薬を味方につけて根本的な改善を

[病気と漢方] 2022/03/30

胃下垂、胃アトニー、神経性胃炎などと呼ばれてきた「機能性ディスペプシア」

「機能性ディスペプシアの漢方治療」(1)(2)では、大野クリニック院長の大野修嗣先生に、機能性ディスペプシア(FD)とはどのような疾患なのか、また漢方薬での治療法について教えていただきました。
「ディスペプシア」とは、ギリシャ語に由来しており、dys(bad=悪い)+ peptein(digestion=消化)、つまり、言葉としては消化不良を指しますが、さまざまな症状に対してあいまいに用いられてきました。
「機能性ディスペプシア」という言葉にはあまりなじみがないけれど、「胃下垂」「胃アトニー」「胃けいれん」「胃酸過多」「神経性胃炎」という言葉ならピンとくる、という人もいらっしゃるのではないでしょうか。

「食べた後に胃もたれをしてしまう」
「少し食べただけでお腹がいっぱいになる」
「みぞおちのあたりがいつも痛む」
「胸焼けがする」
「胃がつかえた感じやむかつく感じがする」

こんな症状があるのに、胃カメラなどで調べても、炎症や潰瘍、ピロリ菌などはっきりとわかる病気が見つからない場合に診断されるのがFDです。

原因はひとつだけでなく複数の場合も

これまで、炎症がないにもかかわらず「慢性胃炎」として治療されてきた人も、現在はFDという病名がつけられ、違うものとして扱われるようになっています。
FDを引き起こす原因はさまざまあり、下記のことが主な原因として考えられていますが、実際はこれらが複雑に組み合わさり、影響し合ったものになっています1)

FDを引き起こす主な原因

  1. 胃・十二指腸運動が障害された場合
  2. 胃・十二指腸の知覚過敏が生じている場合
  3. 心理的要因(とくに不安や虐待歴)がある場合
  4. 胃酸が原因となる場合
  5. ヘリコバクター・ピロリ感染が原因となる場合
  6. 遺伝的要因
  7. サルモネラ感染など感染性胃腸炎にかかった人
  8. アルコール、喫煙、不眠などの生活習慣の乱れ
  9. 胃の形態

胃の機能低下といえば、「年齢のせいで脂っこいものやたくさんの量が食べられなくなった」と感じる人も多いと思います。実際に私も年齢を重ねるごとに、脂っこいものを受けつけなくなり、食べる量も減ってきています。それ以外にも、急いで食べると胃が痛んだり、胃もたれや胸焼けなどもあり、胃が弱くなったなと感じます。
しかし、現状ではFDの発症に明確な年齢差は認められておらず、一定の見解はないとされています2)

胃腸が弱いと、常に胃腸薬が手放せなかったり、食事の内容ひとつひとつにも気を配らなければならなかったりすることも少なくありません。こうした生活がずっと続くことに諦めの気持ちを持ってしまいがちですが、「機能性ディスペプシアの漢方治療」(2)の中で、大野先生は「漢方薬は胃の根本的な機能の改善が可能です」と話しておられます。

記事で紹介したように、胃にまつわる漢方薬は数多くの種類があります。
昔は今ほど衛生状態もよくなかったと考えられますから、胃の不調に悩む人も多かったのでしょう。それが時を超えて、現代のストレス社会で起こる胃の不調にも役立つとはとても面白いと思いませんか? 

さらに、六君子湯の食欲増進作用など、漢方薬の効果は科学的にも証明され始めています。なんとなくいつも同じ薬を服用しているなら、ぜひ自分の症状や体質に合った漢方薬で、根本的な改善を目指してみませんか?(大場真代)

参考

  • 1) 日本消化病学会│患者さんとご家族のためのガイド 機能性ディスペプシア(FD)ガイドQ&A
記事下_漢方処方を相談できる病院検索
記事の見出し、記事内容、およびリンク先の記事内容は株式会社QLifeの法人としての意見・見解を示すものではありません。掲載されている記事や写真などの無断転載を禁じます。

外部サイトへ移動します。

リンク先のウェブサイトは株式会社QLifeが運営するものではないこと、医療関係者専用であることをご了承ください。