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成田記念病院 麻酔科・ペインクリニック内科 大沼哲朗部長

[外来訪問] 2014/12/17

~漢方薬の新時代診療風景~
 漢方薬は、一般に知られる処方薬(西洋医学)では対処が難しい症状や疾患に対して、西洋医学を補完する使われ方も多く、今後の医療でもますます重要な役割を果たすと考えられます。
 近年、漢方薬の特性については科学的な解明が進んだこともあって、エビデンス重視の治療方針を取る医師の間でも漢方薬が使用されることが増えています。
 漢方薬を正しく理解して正しく使うことで、治療に、患者さんに役立てたい。日々勉強を重ねる、身近な病院の身近なドクターに、漢方活用の様子を直接伺いました。ドクターの人となりも見えてきます。

東洋医学を活かした痛みのケアを

 麻酔科に併設しているペインクリニックで漢方薬を使っています。
 痛みが取れればいいのですが、ペインクリニック内科に来る患者さんの大半は、痛みが結構やっかいなことになっていて、痛みに付随していろいろな症状が出ています。眠れないとか、食欲がなくなるとか、気分が落ち込むとかです。漢方薬はそうした付随する症状に対して使います。
 また、痛みを取るための西洋薬には便秘などの副作用があってそういった症状の改善に使います。特に痛みが強い人たちに使う、麻薬系やオピオイド系の鎮痛剤はかなり副作用があります。
 ペインクリニックで処方する漢方薬は、痛みの原因がはっきりしているけれども治せない、西洋医学的にはやりようがないという場合です。例えば脊柱管狭窄症のように、原因がはっきりしていても手術するのが大変な人や、あるいは手術したけど良くならない人です。西洋医学的にはこれ以上やりようがなく、だけど痛みはあるという状態です。
 もう1つは原因がわからない場合で、これが結構いっぱいあります。画像診断でも血液検査でも原因がわからない。それが半分以上あります。わからないから不安になってあちこちで調べて、いろんな病院へ行って、大丈夫だよと言われる。だけど症状はある。もちろん逆に、大丈夫と言われると安心して痛みが取れる人も中にはいます。

不安の悪循環が痛みの症状を生む

 やはり不安がすごく影響を与えています。例えば筋肉性の痛みは写真に写りません。骨折しているわけでもなく、怪我もなく、いつの間にかどんどん痛くなってきて、という場合は、筋肉が原因ではないかと疑うのですが、画像上ではわかりません。
 そういう時、脳は不安に思うんです。また、筋肉の痛みは痛み止めが効きにくいものが多くあります。しかし痛みが続くことで不安が生じて、また痛み止めが効かないことでよけい不安になってしまいます。他に何か病気があるのではないかと思って、いろいろな病院へ行って検査をしてもわからない・・・そして、さらに不安になってしまいます。
 不安というのは、脳で痛みを抑える力を弱めることがわかってきています。だから不安が続くことで、痛みにより敏感になってしまうのです。
 「大丈夫ですよ」と言われて安心できる人ならばいいんですが、まだ痛みが残っているからと、安心しきれない人はいます。そうすると、自分でより不安を強くしていってしまう。そんな状態が長引くと慢性疼痛になります。抑うつや不眠、食欲不振、便秘などそういった症状に繋がっていきます。
 うちのクリニックに来る時は、痛んでいる期間が長い人が多くいます。

患者さん一人ひとりに合わせたアプローチ

 患者さんが来られたら、最初は痛みの原因を探るところから入ります。大体問診で9割くらいは見当がつきます。あとは心理的な影響がすごく大きいかどうか。どれくらいの割合で、痛みの原因がどこにあるかをまず把握します。
 食欲があるとか、便秘があるとか漢方の問診票にはいろんな項目があります。それを渡してチェックがいっぱい付くような人は、漢方薬の出番という感じです。
 しかし、例えば神経痛だったらよく効く西洋薬があるので、まずはこれから行きます。いきなり漢方薬からとはいきません。西洋薬を試してみてそれでも効かない場合、あるいはうちに来る前にすでにそういう薬を使っていて、効かないから来たという人で漢方薬も使った事がない場合に、じゃあ西洋薬を使いながら漢方薬を使っていきましょうとなります。
 効果については2週間単位くらいで見ています。2週間単位で効かないと次の薬へ変えていきます。漠然と4週間飲んでまったく変わらないという人に、もう2ヶ月続けましょうとは言いません。
 長引けば長引くほど、どんどん不安や付随する症状が増えてきますからなるべく早く目途は付けたいですね。やっぱり不安というのはすごく大きいです。不安が強いのに、漢方薬はいいと漢方薬を使っても負けてしまいます。不安を軽減させながら漢方薬を使うと、漢方薬の本来の味が出てきます。
 一方、漢方薬で不安も軽減するくらい劇的に良くなることもあるから面白いです。最初に東洋医学的なアプローチ、そこに時間をかけます。患者さんからいろいろ話を聞いて、身体の状態や痛みの原因についてなどある程度の目安をお話しすると、その安心感と薬が噛み合って、かなり効果が上がります。
 上手く患者さんの不安を軽減させることが出来たかなと思った時は、痛みも軽減できたと感じたりします。

80歳で名医になることを目標に毎日を積み重ねていく

 ペインクリニックをやり始めた時に、漢方をやっている先生がいて、その先生の時に一番患者さんが多かったんです。それで勉強させて下さいと横に付いたことがありましたが、その時はもうチンプンカンプンで、いろいろ難しい言葉が出てきて全然わかりませんでした。しばらく時間がたち、その後やっぱり治らない人がたくさんいて、もう一回頑張ってやってみようと思い、漢方をやり出しました。使えば使うほど、いいなと思うようになってきて、それで取り入れてきたという感じです。今は8割以上の患者さんに使っています。
 もっと勉強して技術を身につけて、80歳になった時に漢方の名人になるというか、名医になっていたいです。漢方はそれくらい奥が深い。漢方医で専門でもいいですし、その時に開業したいなと。普通は50歳でも開業するのは遅いくらいですが、利益は全く考えずにやりたいと考えています。
 そのためには、一生懸命1日1日を積み重ねていかないと達成できなません。だからこそ今を大事にしています。

成田記念病院

医院ホームページ:http://www.meiyokai.or.jp/narita/sp/20subject-2

診療科目

麻酔科、ペインクリニック内科

大沼哲朗(おおぬま・てつろう)麻酔科部長略歴
昭和63年浜松医科大学卒、平成6年浜松医科大学大学院卒業
医学博士、日本麻酔科学会指導医・専門医
日本東洋医学会認定医、AHA BLS インストラクター


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