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古原医院 古原雅樹院長

[外来訪問] 2015/02/25

~漢方薬の新時代診療風景~
 漢方薬は、一般に知られる処方薬(西洋医学)では対処が難しい症状や疾患に対して、西洋医学を補完する使われ方も多く、今後の医療でもますます重要な役割を果たすと考えられます。
 近年、漢方薬の特性については科学的な解明が進んだこともあって、エビデンス重視の治療方針を取る医師の間でも漢方薬が使用されることが増えています。
 漢方薬を正しく理解して正しく使うことで、治療に、患者さんに役立てたい。日々勉強を重ねる、身近な病院の身近なドクターに、漢方活用の様子を直接伺いました。ドクターの人となりも見えてきます。

きっかけは5歳の子供の咳喘息

 漢方を取り入れようと思ったきっかけは、まだそれほど漢方の知識がなかったときに出会った咳喘息の5歳の女の子を診たことです。いろんな病院に行っても治らないということで当院に飛び込んできまして、そのときに、五虎湯という咳喘息の薬をたまたま出してみたんです。そうしたら翌日来た時にはすっかり治っていたんですよ。最初に来たときは苦しさで歪んでいた顔がスッキリと可愛らしくなっていたのを見て「すごいな」と思って、それが漢方を勉強し始めたきっかけです。

診断で大切なのは熱の有無

 漢方薬を使うには漢方の方法で診断をしないといけません。その診断で一番大事なのは体に熱があるかどうか。これは体温計で測ってわかる熱ではありません。熱があるというのは舌に黄色っぽいものが付いているとか、おしっこなどの排泄物が黄色っぽく匂いが強くなる、量が少なくなるといったことが起きてきます。逆に冷えがあるときは、排泄物は薄く水のようになってきます。匂いもなくなり、量が多くなるという傾向がありますね。その見分けをする必要があります。熱を抑える薬か身体を温める薬かで、薬の調合が180度違ってきます。

漢方薬と鍼を駆使することでさまざまな症状に対処

 使う薬は基本的にエキス剤が主体ですが、私は使っている範囲が多いのではないかと思います。ホットフラッシュ・イライラ・不眠などの婦人病の場合には加味逍遥散を使います。神秘湯は、喘息の患者さんで夜中によく電話がかかってきていた方によく効きました。50歳くらいの女性で肝斑という大きなシミのある方に桂枝茯苓丸を処方しましたら、きれいに消えてとても喜ばれました。当帰芍薬散はめまいや動悸などの?血を解消するのによく効きますよね。透析患者さんで動悸をずっと訴える人がいましたけど、当帰芍薬散を飲み始めると、そういう訴えがまったくなくなりました。
 また、透析患者さんにはかゆみを訴える人がよくいますが、そういう人に当帰飲子をよく使います。別の皮膚病で飛び火とかかゆみがあって皮膚が醜くなるようなものがありますが、そういう人には十味敗毒湯がよく効きます。
 ちなみに滋陰至宝湯という薬、これを使っているのは福岡市内で僕が一番多いのではないかと思います。老人などで少し脱水気味で風邪をひきやすかったり高熱がよく出るような人、透析患者さんにもよく使います。
 それから、透析患者さんで夜中に痛みがあって眠れないのでずっとモルヒネを使っていた人がいたのですが、うちに来られて疎経活血湯という?血を解消する薬を出しましたらまったくモルヒネがいらなくなりました。同じような症状でも熱がないなら治打撲一方という薬を出します。これも?血に伴う痛みには有効でしたね。疎経活血湯では帯状疱疹後の神経痛もよくなりました。
 揮発性のものが入っているような薬の場合、時間がたつと有効成分が揮発してしまいますから効果があまり強くない場合があります。どうしても効果が薄いなと思われる場合には煎じ薬を出す場合もあります。
 鍼治療に関してはこんな話がありました。何年か前、別の病院に入院している方で、歩けず寝たきり状態になったから診てほしいということで往診しました。一人でトイレにも行けない状態でしたが、鍼をしたら歩いて行けるようになったのです。奥様に大変驚かれると同時に、とても喜んでいただいたのを憶えています。

歴史ある漢方薬にもっと理解を

 中国医学勉強会を始めてからもう20年以上になります。今は漢方の勉強しかしてない、というくらい漢方を中心に取り組んでいます。今後は生薬の成分などももっと十分に理解して、自分で自由に使えるようにしたいなと思います。漢方でも医師の評価をする基準がありますが、その一番上にならないといけないな、と。自分では今は中の上くらいまではいっていると思います。
 「漢方薬は嫌いだ」という人もいるのですが、漢方薬はあるケースでは本当によく効きます。抗生物質を飲まずに済むことも結構あります。特に、膠原病などの慢性疾患では自覚している症状をとるのに有効だという経験があります。症状がとれるというのは、治ると同じようにその人が病気から解放されるわけですから、すごいことです。漢方薬が苦手な方にもそういうことを知ってもらって、もう少し視野を広げて飲んでもらえたらいいなと思います。なにしろ西洋医学に比べたら歴史もずっと古いですし、昔はずっとそれで治療してきたわけですから。

古原医院

医院ホームページ:http://www.kohara-clinic.com

透析患者さんに限って送迎サービスを行なっている。病院に隣接したコインパーキングも利用可能。
空港や博多駅にも近いので旅行の際にも利用できる。
詳しくは医院ホームページから。

診療科目

内科、循環器科、小児科、アレルギー科

古原雅樹院長略歴
昭和54年 福岡大学医学部卒業
昭和60年 福岡大学大学院卒業、福岡大学第二内科助手
昭和61年 開業


■所属・資格他

認定内科医、漢方専門医
日本内科学会、日本臨床内科学会、日本透析医学会、日本東洋医学会

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