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磯村クリニック 磯村知子院長

[外来訪問] 2014/10/22

~漢方薬の新時代診療風景~
 漢方薬は、一般に知られる処方薬(西洋医学)では対処が難しい症状や疾患に対して、西洋医学を補完する使われ方も多く、今後の医療でもますます重要な役割を果たすと考えられます。
 近年、漢方薬の特性については科学的な解明が進んだこともあって、エビデンス重視の治療方針を取る医師の間でも漢方薬が使用されることが増えています。
 漢方薬を正しく理解して正しく使うことで、治療に、患者さんに役立てたい。日々勉強を重ねる、身近な病院の身近なドクターに、漢方活用の様子を直接伺いました。ドクターの人となりも見えてきます。

患者さんを通して、自分の身を持って体験した漢方の効果

 昭和31年から父がここで産婦人科を開いていたこともあり、私は二代目になります。父は私が産婦人科医になってくれたらと思っていたようでしたが、患者さんをしっかり診て、じっくり考え治療を進められることに魅力を感じ、皮膚科の道を選びました。
 漢方に注力したきっかけは、皮膚科医として患者さんと向き合う中で出会った難しい症例の診療でした。「尋常性乾癬(じんじょうせいかんせん)」といって、かなりの難治性疾患なのですが、ある患者さんの治療の中で桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)を使用したところ、非常に症状が改善されたのです。やはり自分の患者さんがよくなったり、自分の専門科で効果があることを実感すると、関心は高まります。その経験から漢方医学に本格的に取り組もうと思い、私の出身大学である東京女子医科大学の東洋医学研究所クリニックへ見学に行きました。そこでさらに「第二の邂逅」があり、私自身の長年の悩みが晴れたのです。
 私は小さい頃から、朝、急にお腹が痛くなり、下痢になってしまうことがありました。腹痛はとても苦しく冷や汗が出るほどなのですが、全部出しきってしまうとケロッとしてしまう・・・。結局おさまってしまうので、特に病院に行くこともありませんでした。その症状がこの見学のときに起こり、お腹が痛くなってしまったのですが、東洋医学研究所クリニックの先生から当帰四逆加呉茱萸生姜湯(とうきしぎゃくかごしゅゆしょうきょうとう)という漢方薬を教えていただきました。結果、私の症状はその薬が特効薬である疝気症候群A型というもので、西洋医学にはない病気だったのです。疝気症候群A型の特徴は寒冷によって起こる痛み、つまりは冷え性で、お腹が冷えるから痛みが出るというわけです。そしてこの症状は開腹手術をした人に多く見られます。私は3歳のときに腹膜炎を起こし、手術を受けたことがありました。この症状に対して当帰四逆加呉茱萸生姜湯が効果的ということを、身を持って体験したのです。

漢方薬のチカラは体力の弱い人にやさしい


女子医大東洋医学研究所 木村容子先生の著書

 西洋医学は専門科が臓器別になっています。皮膚科や耳鼻科、眼科、消化器科、呼吸器科など。漢方医学の場合はそれとは異なる五臓六腑という概念があり、全身を関連させて考えます。西洋医学では、臓器として重大な問題がない場合は、病気の原因を特定できず、従って治療の方法がありません。しかし漢方には「気・血・水」を整え改善するという考えがあります。「気」はその人が持つエネルギーの総体、「血」は血液や組織、「水」は体の中の水分。このバランスの均衡がとれていないと、いろいろな不調があらわれるという考え方です。漢方医学は、西洋医学のように悪い臓器を直接的に治そうという攻撃型の医療ではなく、いわゆる人間が潜在的に持っている生命力を整え、体力の底上げを図り、体調を改善するという守備型の医療ともいえます。だからこそ漢方医学は、体力的に弱い人にやさしい医療だと、私は考えています。
 漢方医学では「実証」と「虚証」という概念があります。体力がある方は実証、体力のない方は虚証となりますが、西洋人は比較的実証の方が多いと思います。一方日本人、特に女性は虚証の方が多く見られます。漢方薬には虚証の方向けの薬がありますし、虚証の方には投与してはいけない薬があります。例えば虚証の方は消化器系の弱い方が多く、消化器に障るような薬は飲む事ができません。漢方医学で特に重要なのが、この「虚実判定」です。患者さん一人ひとりの体力を見極めて、最適と思う治療を探します。それを怠ると例え漢方薬でも副作用を起こしてしまいます。西洋薬よりは少ないですが、漢方薬にも副作用はありますので注意は必要です。別の不調が出てしまったり、前より症状が悪くなってしまっては、まったく意味のない治療になってしまいますから。

これからの社会、漢方はQOL向上の一翼を担う

 いま私は週に2回、東洋医学研究所クリニックに通っています。その中で漢方医学を学び、外来にも従事していますが、先日、疝気症候群A型の当帰四逆加呉茱萸生姜湯の有効性について学会で発表させていただきました。これまではいかにも華奢で、か弱い女性に冷え性が多く見られると考えられてきましたが、現在では男性の冷え性も少なくありません。見かけは徳川家康のような恰幅のよい男性でも、実は冷え性に悩んでいることがあるのです。
 昭和期の漢方医学の第一人者である大塚敬節先生が、疝気症候群A型を提唱したのが1974年。この時代、大人の女性が日常的にズボンを穿くというのは稀なことでした。だから女性は今より冷えやすかったのだと思います。またそれ以前は着物を着て、しっかり帯を締めていましたから、まだ1974年当時よりはよかったのかもしれません。そういった社会状況の変化によって、病気の数や男女比というのは変化があるのではないかと思います。また、そのような視点で考えられるのは、やはりこれからの高齢化社会による変化です。漢方医学は体力的に弱い方に優しい医療ですから、高齢化社会においてはどんどん需要が増えていくのではないかと思っています。体力の底上げを図ることが、QOL(クオリティ・オブ・ライフ)の向上につながる。そのためにも漢方医学や漢方薬の知識を広め、どんどん正しく使用できるような、そんな風潮が広がってくることを期待しています。

磯村クリニック

医院ホームページ:http://www.is-clinic.com/

東急東横線都立大学駅から徒歩8分、駐車場もあり。皮膚科、婦人科の専門医であり、特に女性にやさしいクリニック。赤ちゃんからシニアの方まで、女性医師ならではのきめ細かいケアで皮膚疾患全般をはじめ、美容皮膚科にも対応しています。
詳しい道案内は、医院ホームページから。

診療科目

皮膚科、婦人科

磯村知子(いそむら・ともこ)院長略歴
1982年、東京女子医科大学卒業、同年同年医師免許取得・厚生省厚生技官後、東京女子医大皮膚科学教室入局を経て、1995年より磯村クリニックにて皮膚科開設
■資格・役職

日本皮膚科学会認定皮膚科専門医、医学博士

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