漢方ドックへ行ってきました〜北里大学東洋医学総合研究所 漢方鍼灸治療センター 漢方ドック体験記〜

[漢方ニュース] 2020/06/02

 みなさんは「漢方ドック」を知っていますか?

 人間ドックはご存じのとおり、自覚症状のない病気を早期発見するための検査ですが、漢方ドックは、漢方特有の診察方法を用いて、自身の体質や不調の原因を調べる検査のことです。「睡眠はとっているはずなのに疲れが抜けない」「手足が冷える」といった、病院へ行くほどではない不調、また、病院では異常なしといわれるような頭痛やめまい、胃腸のトラブルなど、原因がわからない不調が続いているときこそ漢方ドックがおすすめです。

 実際に漢方ドックではどんな検査を行うのか、北里大学東洋医学総合研究所 漢方鍼灸治療センターの漢方ドックを、QLife漢方編集長の大場が体験してきました。

4つの診察方法で総合的に診断

 漢方医学では、一般的な現代医学での検査で異常が見つからないのに不調を感じている状態を「未病」と呼んでいます。未病とは、健康と病気の間の状態のこと。漢方ドックでは、この未病の状態かどうかを、「虚実」「寒熱」「気血水」という漢方の概念をものさしにして総合的に診断します。

 まず行うのは、ipadを用いた問診です。

ipadを用いた問診

 50以上ある質問の中から、自分が当てはまると思うものにチェックをしていきます。

 私自身、もともと自覚症状として、片頭痛やめまい、むくみやすさや疲れやすさはありましたが、それ以外にも「肌が乾燥している」「肌が荒れやすい、くすみが目立つ」「トイレが近い」「アレルギーがある」「のぼせやすい」「爪がもろい」「生理痛がある」「天気が悪い日などに具合が悪くなる」などのほか、自分自身でも気づいていなかった「アザができやすい」などの項目にも当てはまりました。

 次に行うのは、脈診と舌診、腹診です。

 診察を行ってくれたのは、同研究所所長の小田口浩先生。

小田口浩先生

 両手の手首にそれぞれ3本の指を当て、脈を診ていきます。

 「指に伝わる脈の深さや強さなどから、その方の体調を判断するのが脈診です」(小田口先生)

脈診の様子

 その次は、舌診を行います。

 「舌を診ることで、その方の持つ体調を知ることができます。形や色、苔の状態を観察します。赤いのか白いのか、歯型がついていたり、形が腫れぼったい、白い苔がついているなど、その方の体調によって舌の様子も変わってきます」(小田口先生)

 ちなみに、私の舌は縁に歯型があり、腫れぼったく、色は薄めの状態でした。

 そして最後に行うのが、腹診です。

腹診の様子

 「痛みがあるところはもちろんのこと、緊張して硬く張っているところや、逆に力が弱まっているところ、また水が溜まっているようなところがあるかなどを診ていきます」(小田口先生)

漢方独自のものさしで健康状態を評価

 こうして検査によって示された結果は以下のとおりです。

結果報告書

 虚実とは、ふだんの病気に対する抵抗力や反応力を示すもの。私は「中間証」で、バランスが整っている状態でした。実証の場合は、体力があって体格もよく、皮膚に光沢があって食欲もあり、胃腸が丈夫ですが、一方で虚証の場合は、皮膚が乾燥していて、痩せ型あるいは水太りの傾向があり、胃腸が弱く疲れやすいなどの特徴があります。

 寒熱は、冷えと熱のバランスの状態を示すものです。

 私は「寒熱錯雑(かんねつさくざつ)」という状態でした。

 これは、寒証と熱証が同時に出現していることで、「顔はのぼせるのに足は冷えるというような冷えのぼせの状態や、体の表面は汗をかいているのに下痢をしている」などの状態を指すといいます。

 そして、気血水のバランスでは、なんと7つ中5つがC判定の「異常あり」、残り2つもBの「軽度の異常あり」という結果に……。

 漢方の概念では、心身の健康状態を維持するのに欠かせない3つのバランスのことを「気血水」といいます。気は「元気」や「気力」などといった言葉で表されるように、体を充実させたものにする重要なエネルギーのことを指し、血は、各組織に必要な栄養などを運ぶ体液や血液のこと、水は、血以外の体液や分泌物など、体の水分のことを指します。

 「大場さんの場合、気逆、気滞、血虚、瘀血、水滞、津液不足が認められ、また軽度の気虚と気滞が認められました」(小田口先生)

 気は通常、頭から下半身へ、あるいは体の中心から末梢へ向かいますが、気逆とはこれが逆流した状態のことで、のぼせや動悸、不眠、イライラなどの症状が見られます。血虚とは、血の量が不足している状態のこと。貧血傾向で、皮膚が乾燥していたり、髪が抜けやすいなどの特徴があります。そして瘀血(おけつ)とは、血の流れが滞っている状態のこと。

 「水滞は、水の流れが滞って部分的、または全身に水分過多が生じている状態です。めまいや立ちくらみ、鼻水が出る、乗り物酔いをしやすい、頭痛、下痢、低気圧で体調が悪くなるなどの症状が見られます。また、津液不足は、水を作る力が不足していたり、消耗が激しかったり、また流れが滞って潤いが不足している状態です。皮膚などの乾燥、手足のほてり、口の渇きなどの症状が見られます」(小田口先生)

「未病」の状態のうちにぜひ漢方でのケアを

 「漢方ドックを受けられる方にはBの人が多いのですが、大場さんのようにCが多く出る方も少なくありません。しかし健康診断などで異常がなければ、Cが多くてもまだ“未病”の状態ということ。未病は健康と病気の間の状態を指しますので、未病の状態のうちにケアをすれば健康な状態に戻ることができますが、そのまま放置していると病気になる可能性もあるという病気予備軍ともいえます。漢方ドックでは、この検査結果を伝えた後に、その方に合った漢方薬や鍼灸治療、生活習慣の見直しの提案をしています。例えば大場さんが漢方薬を服用するのであれば、桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん) 五苓散(ごれいさん) などがよいかもしれません。漢方薬などで病気の予防をすることで、今ある不調を改善し、元気な毎日を過ごせるようになっていきます」(小田口先生)

 在宅ワークなどで運動不足になり、ストレスも溜まりがちな毎日が続き、不調が出ている方も多いのではないでしょうか。今回の漢方ドックではC判定が多かった私ですが、漢方薬の服用をすることで健康を維持できています。みなさんも健康維持に、漢方薬を役立ててみてはいかがでしょう。

北里大学東洋医学総合研究所 漢方鍼灸治療センター

アクセス
〒108-8642 東京都港区白金5丁目9番1号
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Webサイト
https://www.kitasato-u.ac.jp/toui-ken/center/

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予約受付 03-5791-6169
月~金曜日 9:00~11:00、12:00~16:00
土曜日 8:30~11:00
所要時間 約60分(結果報告含む)
受診日当日に結果をわかりやすくご説明します。
※15時30分以降に受付をされた場合は翌日以降に結果報告となる場合がありますのでご了承ください
費用 4,400円(税込)
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