漢方について相談できる病院検索 漢方について相談できる病院検索

【補中益気湯】新型インフルエンザA感染予防効果/論文の概要

公開日:2010.06.16
カテゴリー:特集・漢方の実力

論文の概要

<論文タイトル>
漢方薬・補中益気湯服用による2009年インフルエンザA/H1N1ウイルス流行の予防
Prevention of 2009 pandemic influenza A/H1N1 virus infection by administration of hochuekkito, a Japanese herbal medicine.
Masanori Niimi. BMJ. 15 December, 2009(オンライン版)
目的
新型インフルエンザA(H1N1)の予防における補中益気湯の有効性と安全性を評価する
研究デザイン
前向き単施設オープン試験
セッティング
東京の1医療機関
対象
医療施設職員358名
介入
対象者を、補中益気湯5.0g/日(分2)を内服しない群(グループ1:179名)と内服する群(179名)の2群に分け、最大8週間投与した。
主な評価項目
新型インフルエンザA感染割合
結果
内服する群のうち、薬の苦み、軽い下痢、倦怠感、顔面のむくみ、下肢の浮腫、頭痛などの軽い違和感で14名が1週間で服薬を中止した(グループ2)。4週間服用した者は103名であった(グループ3)。残り62名が8週間の服用を完了した(グループ4)。
試験期間終了時の8週時点までに、新型インフルエンザAに感染したのは、非内服群(グループ1)で7名(3.9%)、内服群(グループ2、3、4)で1名(0.6%)であり、両群間に統計学的有意差を認めた(p<0.05、Mann-Whitney U test)。なお、内服群1名の感染確定診断は服用4週時だったことからグループ3とした。いずれの群も重篤な有害事象は認められなかった。
軽い違和感が14名に認められたことは、通常の処方と比較して高率である。これは予防投与であったためと思われる。また、その14名はその後も感染していないので、すでに十分に体力のある体であったと考えられる。体力が備わっているものへの補中益気湯の投与は違和感を生じることがある。
結論
補中益気湯の投与は、新型インフルエンザA (H1N1) の発症予防に有効と考えられた。そのメカニズムについては今後の検討が必要である。
表1:試験対象4群の背景

表2:補中益気湯の内服の有無によるインフルエンザA感染割合

記事の見出し、記事内容、およびリンク先の記事内容は株式会社QLifeとしての意見・見解を示すものではありません。
記事内容・画像・リンク先に含まれる情報は、記事公開/更新時点のものです。掲載されている記事や画像等の無断転載を禁じます。

外部サイトへ移動します

リンク先のウェブサイトは株式会社QLifeが運営するものではないこと、医療関係者専用であることをご了承ください。