<外来でよく使われる漢方薬 編集後記> もとは急性期に使われていた!「人間の身体防御システムを正常化する」漢方薬

[病気と漢方] 2021/03/30

 医療機関へ行ってお薬を処方されると、その中に漢方薬が含まれていることが増えてきました。実際に、漢方薬を処方している医師は89%にも上る1)といわれており、漢方薬での治療は専門外来に行かなくても受けられるようになってきています。

 このように漢方薬が、広く普及してきたことは喜ばしいことではありますが、その一方で、10年ほど前には、防風通聖散(ぼうふうつうしょうさん) が配合されたダイエット薬による副作用の問題2)が話題となったこともありました。
 漢方薬は、「西洋薬と比較して効き目が穏やか」「副作用が少ない」といったイメージがありますが、医薬品のひとつですので、飲み方などを誤ると副作用が出ることもあります。

 そこで、「外来で処方されることの多い漢方薬」ならびに「漢方薬と聞いてまずイメージするような漢方薬」について、日高徳洲会病院の井齋偉矢先生に監修いただき、「外来でよく使われる漢方薬」というコーナーを立ち上げました。

 井齋偉矢先生は、サイエンス漢方処方研究会の理事長も務めていらっしゃいます。
 サイエンス漢方処方とは、現代医学の枠組みの中で、漢方薬の効果を科学的にとらえることで、西洋薬と変わらない感覚で漢方薬を使いこなそうというものです。

 「サイエンス漢方処方では、『免疫』『循環』『水の調整『からだの熱』の4つを柱として、人の身体の制御システムに漢方薬が刺激を与えることで、その正常化を図るという考え方をとります」(井齋先生)

 その4つの柱は下記のように説明されます。

免疫

人は身体の中に免疫システムを持っており、ウイルスなどの外敵を見つけるとそれを攻撃する。その結果起きるものとして炎症があるが、通常は過剰防衛にならないようプログラムされている。漢方薬はこの一連のしくみが正常に機能し、炎症が適切なタイミングでおさまるように働きかける作用を持つ。

循環

心臓から送り出された血液は、全身を巡って再び心臓へ戻る。漢方薬はこの過程で、毛細血管の筋肉を緩める物質を発生させることで、末梢の血液循環の促進を図る。末梢であることが西洋薬と異なる。

水の調整

細胞内への水の取り込み口であるアクアポリンを、漢方薬の働きによって開放したり、閉じたりすることで、細胞内の水分量を調節する。

からだの熱

人間の身体は深部体温を37度に保たれることで、さまざまな機能が正常に働く。この熱は褐色脂肪細胞が作っているといわれるが、この熱産生を活性化するホルモンの産生を、一部の漢方薬が増やすと考えられている。

 漢方薬は、慢性的な長引く症状に用いる薬というイメージがありますが、井齋先生は「漢方薬が現在のような形になったのは1,800年ほど前ですが、当時漢方薬が対象にしていたのは急性疾患です。疾患や症状の原因を攻撃するのではなく、人間の身体を健全に動かすシステムを正常化するような刺激を漢方薬が身体に与えることで、低下した機能を『持ち上げる』手助けをしています。疾患や症状を直接攻撃する西洋薬とは、身体への作用が異なるのです。そのため、西洋薬との使い分けや併用で、速やかな症状の改善が期待できるのです」と解説します。さらに、自分自身が持つ身体の防御システムを正常化することで病気を治す、というのが、西洋薬と異なる漢方薬の働きだと指摘します。

 ご自身が現在処方されている漢方薬について、理解を深める手助けとして、「外来でよく使われる漢方薬」コーナーを活用してみてください。

参考

記事下_漢方処方を相談できる病院検索
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