- 漢方のことならQLife漢方トップページ
- 私のカルテ外日誌~漢方処方の実践録~
- オンコロジー(がん)専門医による漢方外来
- 第9回 母親の卵巣がんの手術後、身体症状に神経質になってしまった母娘 後編
第9回 母親の卵巣がんの手術後、身体症状に神経質になってしまった母娘 後編
更新日:2012/01/10[火]
twitterへポスト

オンコロジー(がん)専門医による漢方外来
~連載コラム~
今津嘉宏(いまづ よしひろ) 北里大学薬学部・薬学教育研究センター 社会薬学部門
1988年藤田保健衛生大卒、慶應義塾大学医学部外科学教室入局
東京都済生会中央病院外科、慶應義塾大学医学部漢方医学センターを経て11年4月より現職。外科医の父の戸棚に漢方関係の本が並んでいたのがきっかけで、がん治療に漢方を活用するようになった。
がん治療認定医機構暫定教育医・外科学会指導医・消化器内視鏡学会指導医・東洋医学会指導医など
母親の卵巣がんの手術後、身体症状に神経質になってしまった母娘
鮫島さん(仮名)、40歳代 女性。
再び、外来にて・・・
- わたし
- 「鮫島さん、どうぞ、お入りください」
- 鮫島さん
- 「はい。きょうも娘と一緒なんですけれど」
- わたし
- 「どうぞ、ご一緒に」
- 鮫島さん
- 「ありがとうございます。先日は夜遅くに、呼び出してしまい、本当に申し訳なかったと思います。本当に大した病気でもなかったのに」
- わたし
- 「いえいえ、(お二人にとっては)大変だったですね。その後、夏子さんは体調、大丈夫ですか?」
- 夏子さん
- 「はい、先生に処方していただいた『香蘇散(こうそさん) 』が効いたのか、ドキドキすることもなくなり、夜もぐっすり寝られるようになりました」
- わたし
- 「そうでしたか、それは良かった」
- 鮫島さん
- 「同じ薬を私もいただいて飲んでいるんですけれど、私の方も調子がいいです」
- わたし
- 「それは良かった。お母さんの病気にもいいと思って、お出ししたんですよ。娘さんと一緒の病態でしたからね」
- 鮫島さん
- 「え?腹痛の娘と私が同じ病気だったんですか?」
- わたし
- 「いえいえ、そうじゃなくて、お母さんと娘さん、本当にお互いをよく想い合っておいででしたから、知らないうちに同じような状態になってしまっていたようですよ」
- 鮫島親子
- 「というのは?どういうことでしょう」
- わたし
- 「はい、お二人とも漢方医学での診断は、『気虚』の状態だったんです。症状は、お母さんが『不安』、夏子さんが『腹痛』と全く異なっていましたけれどね。どちらも原因は精神的なストレスだったんじゃないか?と考えて、治療に用いる漢方薬は同じものを選ばせていただきました」
- 夏子さん
- 「なるほど。でも、先生には、本当に感謝しているんですよ」
- わたし
- 「いえいえ、僕の方こそ、お二人には本当に多くのことを学ばせていただきました。心から感謝しているんですよ。夏子さん、今度、お腹が痛くなった時のために、特効薬をお教えしますよ」
- 夏子さん
- 「え!特効薬ですか?」
- わたし
- 「はい。もし、お腹が痛くなりそうになったら、お母さんにギュッと抱きしめてもらってください」
- 鮫島さん
- 「え!私がですか?」
- わたし
- 「はい。だって、こんなに母親想いの娘に、この1年間、鮫島さんは頼り放しだったんでしょ。どうか、娘孝行と思って力一杯抱きしめてあげて下さいよ。それが一番の特効薬です」
診察室に、フワッと和やかな空気が広がるのを感じた。
読者の感想:この記事は参考になりましたか?
| 67% | 28% | 0% | 6% |
記事の見出し、記事内容、およびリンク先の記事内容は株式会社QLifeの法人としての意見・見解を示すものではありません。
掲載されている記事や写真などの無断転載を禁じます。
掲載されている記事や写真などの無断転載を禁じます。
この記事へのフィードバック
この記事のトラックバックURL
トラックバック
トラックバックはまだありません。
コメント(2件)
こんな思いやりのある先生ばかりならみんな安心しますね、人対人ですもんね。
一言感想 | 2012.03.30 11:32:37




大変参考になりました。
一言感想 | 2012.03.19 2:48:20