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ひどい悪阻(つわり)に苦しんでいた妊婦

[外科医が使って知った漢方薬の魅力「意外と効くもんだ」] 2011/06/07

ひどい悪阻(つわり)に苦しんでいた妊婦

 27歳の女性、3回目の妊娠である。過去2回の出産では妊娠悪阻(つわり)が1~2か月間続き、辛い思いをしたと言うことであった。今回は妊娠8週目ころよりつわりが始まった。今回のつわりも「嘔気(おうけ)」と「嘔吐」がひどく、体重が3㎏ 減少したという。この症例は私の恩人の奥様であり、小半夏加茯苓湯(しょうはんげかぶくりょうとう) というつわりのときに使う漢方薬があることを話すと、試してみたいと申し出てくれた。
 そこでエキス剤の小半夏加茯苓湯3パック(7.5g)を500 cc程度のお湯に溶かし冷蔵庫で冷やす。それを適当に何回かに分けて1日で内服してもらった。1日3回と言うと嘔気・嘔吐のために十分内服できない可能性があるため、1日量を適当に分けて内服するように指導した。
 内服しはじめて最初の2日間は効果を実感できなかったが、味や臭いが嫌で飲めないということはなかったそうである。内服3日目からは効果を実感できるようになったという。嘔気が少なくなり嘔吐しなくなった。少し気持ち悪くなってきたら内服するという飲み方で継続していたが、夜内服するのを忘れて寝ると明け方には嘔気に襲われ目が覚める。夜内服して寝れば途中で目覚めることはないとのことであった。
 1か月ほど内服したころ「最近薬を飲むと、逆に気持ちが悪くなる」というので、小半夏加茯苓湯の内服を中止した。すると嘔気・嘔吐は起こらない。そのまま薬を飲まずにいたら、結局つわりの症状が再び出ることはなかった。無事に安定期に入ったことで「以前経験した2回のつわりはひどかったが、今回のつわりは楽だった」と感謝された。
 小半夏加茯苓湯はつわりのみでなく、色々な嘔気に用いられることのある漢方薬である。しかし本症例では途中から逆に薬で嘔気を感じるように変わった。これについては、最初は小半夏加茯苓湯が必要なものであったが、つわりが治まるとともに必要ではないものとなったために起こったことであると考えている。よく“漢方薬は口に合うかどうかが勝負である”というが、まさにこの症例の様なことであろう。

堀口定昭(ほりぐち さだあき) 愛世会愛誠病院・下肢静脈瘤センター

2002年帝京大学医学部卒業、2008年より愛誠病院にて血管外科医として勤務しながら整形外科と漢方を学ぶ。
血管外科の外来で漢方薬を使うようになってから、本格的に漢方を学ぶようになり、2010年より血管外科と漢方内科を兼務。
日本外科学会専門医、日本脈管学会専門医。
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