海外でも注目される「kampo」

[漢方の歴史と今] 2021/03/22
監修:秋葉哲生先生(あきば伝統医学クリニック院長)

 西洋薬では限界がある症状を治療・緩和したり、一剤で複数の病気を改善したりなど、さまざまな魅力を持つ漢方薬は「kampo」として近年、海外でも注目を集めています。

 特に消化器分野での注目度は高く、消化器病学の最高峰とされる国際学会「米国消化器病週間(DDW:Digestive Disease Week)」では、漢方薬に関する研究成果が多数報告されています。また、術後イレウス(POI:Post-operative Ileus)の治療薬として、大建中湯(だいけんちゅうとう) は現在、アメリカでも臨床試験が行われています。海外の専門医師からも漢方薬への注目が集まっており、将来、アメリカでも医療用医薬品として、漢方薬が活躍できる日が期待されています。

 大建中湯は腸管の蠕動(ぜんどう)運動を亢進する作用がある漢方薬で、主に腹部の膨満感や比較的強い腹痛を認める人に用いられます。日本ではすでに、開腹手術後の合併症であるイレウスの治療や予防、再発防止のほか、小児科や精神科領域での便秘の改善など、消化器外科の領域で広く使われています。

 このように漢方薬に注目が集まるようになった背景には、漢方薬の品質が高い水準で維持されるようになったことが、大きく関係していると考えられます。
 もともと自然界にある植物や鉱物などの生薬から作られた漢方薬には、品質の均一化が難しいという問題がありました。しかし現在の日本の漢方製剤は、規格が定められ、残留農薬・重金属・微生物・放射能汚染などについても厳しく管理されるなど、均質性が担保されたエキス剤が中心となっています。こうしたことから、漢方医学は伝統医学でありながら現代医学的評価をすることも可能となっているのです。

 このような漢方製剤の進化は、伝統医学である漢方医学の国際的地位を向上させ、海外でも漢方薬への注目がさらに高まると考えられます。これからも「kampo」から目が離せませんね。

※イレウスとは、腸が一時的に正常な収縮運動をしなくなり、内容物が排泄されなくなることで、腸閉塞と呼ばれることもあります。主に腹部の手術や腸の運動を阻害する薬などが原因となって発症し、腹部膨満、嘔吐、便秘、けいれん性の腹痛、食欲不振といった症状が生じます。

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