漢方薬はいつ飲む?前後にお茶やコーヒーを飲んでもいい?
漢方薬は西洋薬とは飲み方が異なるので、最初は戸惑ってしまうかもしれません。また「漢方薬は苦いから…」と、処方されたのにもかかわらずなかなか飲めない人も多いのではないでしょうか。ここでは、漢方薬を飲むタイミングや飲む際の注意点、漢方薬を飲みやすくする方法など、よくある疑問にお答えします。
食前または食間に飲むのが基本
多くの漢方薬は「食前または食間」に飲むように指示されます。「食前」は食事をする30分前、「食間」は食後2時間が目安です。ただし、これはあくまで目安であり、大切なのは「空腹時に飲む」ことです。
その理由は、漢方薬に含まれる有効成分は食物繊維に吸着されるため、消化管内に食物がある状態で漢方薬を服用すると、漢方薬の効果が弱まってしまうからです。漢方薬は胃に食物が入っていない状態で内服するのが最も効果的なので、食前または食間と記載されているのです。
目安として、1日3回(朝・昼・夜)服用の漢方薬ならば、「朝、起きてすぐ」「昼ごはんと夜ごはんの中間」「その他に空腹を感じた時」に飲むようにするとよいでしょう。
漢方薬は、空腹時に飲んでも、すぐに食事をとってしまうと、胃の中で食事と一緒になってしまいます。これでは食後に飲むのとほとんど変わりませんので、この点に配慮して服用することが大切です。
寝る前に漢方薬を飲んでもいい?
先述したように漢方薬は胃に食物が入っていない空腹の状態で内服すると最も効果が期待できます。胃が空っぽであれば、寝る前に漢方薬を飲んでもかまいません。
夕食と寝るまでの時間が短く、食後2時間経っていないのであれば、胃にまだ食べた物が入っていて薬効が弱まる可能性があり、好ましいタイミングとはいえません。しかし、効果が多少減じても服薬するほうがよいので、服薬は飛ばさないようにしましょう。
漢方薬の服用に関するよくある質問
漢方薬をお茶やコーヒー、ジュースなどで服薬してもいい?
通常、漢方薬は水または白湯での服用が推奨されています。お茶やコーヒー、牛乳、ジュースでの服用は、薬の働きに影響を与える可能性があるためです。
しかし、漢方薬の味が苦手で飲みにくい場合、継続的な服用が困難になることがあります。そのようなときは、漢方薬をコーヒー、ココア、抹茶などの苦みがあるものに混ぜると、味と香りが相殺され、飲みやすくなることがあります。コーヒーなどと漢方薬を大さじ1杯程度の水やお湯に混ぜて飲むのがおすすめです。水以外の成分が混じることで漢方薬の有効成分の吸収率が低下する可能性がありますが、飲まないよりは飲み続けることの方が重要です。医師や薬剤師と相談しながら、自分に合った継続可能な服用方法を見つけることをお勧めします。
エキス剤の漢方薬を飲みやすくするには?
エキス剤の漢方薬を飲むときは、先に水または白湯を口に含んでから、漢方薬を口の中に入れて飲む方法が一般的です。しかし、この方法では漢方薬の苦さを感じてしまい、なかなか飲めない人も多いかもしれません。ここでは漢方薬を飲みやすくするコツをいくつかご紹介します。
飲みやすくする工夫① 形と温度を変える
コップの中に大さじ1杯程度のお湯と漢方薬を入れ、よくかき混ぜてください。お湯は、80度以上が良いでしょう。漢方薬が程よく溶けたところで氷を入れて飲むと、匂いや味が抑えられます。
飲みやすくする工夫② オブラートを活用する
デンプンでできているオブラートを用いることで、漢方薬の苦みなどを感じることなく飲むことができます。オブラートは口の中に直接入れると粘膜に付着して破れてしまうことがあるので、程よく溶かしてゼリー状にするのがポイントです。
(1)コップに少量の水を入れてください。目安は指2本分です。これより少ないとゼリー状にならず、これより多いと破れてしまいます。
(2)オブラートに漢方薬を包みコップの中に落としてください。10秒ほどで徐々に溶け始めます。
(3)後は水と一緒に飲みこめば、無理なく服用できます。
飲みやすくする工夫③ 飲み込みやすくする
飲み込みが苦手な人(高齢者など)では、服薬ゼリーを使うことも選択肢になります。漢方薬の味に抵抗がない場合は、少量のお湯で溶いてから服用することもよいでしょう。
飲みやすくする工夫④ ゼリーやヨーグルトに混ぜる
漢方薬が苦手な子どもなどではヨーグルトやゼリーに混ぜて食べさせる方法もあります。ヨーグルトに含まれる酸味や乳脂肪分には、味を感じさせにくくする作用があります。パンに塗るようなチョコレート風味のクリームなども代用できます。
漢方薬を飲み忘れた時はどうすればいい?
飲み忘れに気づいた時点ですぐに1回分を服用してください。飲み忘れたからといって2回分を一度に飲んではいけません。そのうえで、次の服用時間までに2~3時間しかない場合は、次の服用を1回お休みしてください。
芝大門いまづクリニック院長