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柴胡加竜骨牡蛎湯(さいこかりゅうこつぼれいとう)

公開日:2022.12.28
カテゴリー:外来でよく使われる漢方薬 監修:井齋偉矢先生(日高徳洲会病院院長/サイエンス漢方処方研究会理事長)

構成生薬

作用の特徴

精神安定、血管の抗炎症という2つの異なる作用がある

対象となる症状

ストレス性の動悸、イライラ、高血圧、動脈硬化など

解説

柴胡加竜骨牡蛎湯(さいこかりゅうこつぼれいとう) は、中国・後漢時代に医師である張仲景(ちょうちゅうけい)によって記された『傷寒論』が出典です。
体力がある人の精神不安やイライラ、不眠などに処方されます。
柴胡加竜骨牡蛎湯は、精神を安定させること、血管の炎症を抑えることという2つの異なる使い方があります。
イライラなどストレスから来る興奮状態を鎮め、それに起因する心臓のドキドキを抑えたり、少しのことで驚いてしまう人にも使われます。また、精神の鎮静作用に加えて、血管の炎症も収まるので、血圧が正常値に近づくことがあり、高血圧のある人のストレスや緊張の緩和にも用いられることがあります。
精神症状の安定を目的として服用する場合は、1回1包を1日3回、7日試してみます。

エビデンス情報

柴胡加竜骨牡蛎湯が心悸亢進に及ぼす効果について

心悸充進を訴える外来患者19例に柴胡加竜骨牡蛎湯を8~12週間投与し、自覚症状に対する効果を調べたところ、半数近くに改善を認めました1)。有効群と無効群を比較したところ、治療前の収縮期血圧には差はありませんでしたが、有効群の拡張期血圧および平均血圧は、無効群に比べ有意に高いことが認められました。また、血漿ノルエピネフリンは有効群では治療前に高値傾向を示し、治療後有意に減少、無効群では増加傾向を示したため、治療後には有効群で無効群より有意に低値を示しました。これらのことから、柴胡加竜骨牡蛎湯の心悸亢進の改善には交感神経系の抑制が関与している可能性が示唆されました。

参考
  1. 日下美穂ほか. 臨と研 1991; 68(12): 3881-3884

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