男性のストレス
会社や家庭で浴びるストレスシャワー
ストレス病は、仕事の能率を悪くするだけでなく、胃潰瘍や高血圧などの発症・悪化にも関係し、最悪の場合は過労死や自殺という不幸な結果に至る危険性もあります。食欲の変化、不眠、気力の減退、疲れがぬけない、頭が重い、気分が沈みがちだ、めまいがする、息苦しい、自分を責めてしまう、イライラする、わけもなく不安だ、集中力がでない、性欲減退、などはストレス度が高いサインです。
不況が続く日本では、就職の不安、職場での人間関係の悪化、リストラの不安、そして賃金カットによる経済不安など、多くのストレスのもとが社会で活躍する人たちの上にシャワーのように降り注いでいます。さらに家庭でも、妻や子供と会話がなく孤立することが多く、男性が自分の居場所を見つけることが難しくなっています。まさに、「男はつらいよ」、です。
男性に降りかかるストレスシャワー
- テクノストレス
- パソコンを使いこなせないストレスだけでなく、パソコンに没頭しすぎて人間関係がおろそかになる過剰適応もストレスになる。
- リストラストレス
- 終身雇用制の崩壊によって、40歳後半から50歳代はリストラの不安という新たなストレスが生じている。
- 会話のない家庭
- 家庭での人間関係の悪化は、社会的ストレスよりも強いストレスになる。
漢方薬にできることは
原因不明のからだの不調が続いたら、ストレス病をうたがってみます。休養をとり、ストレスの元から距離をおくようにすることが大切ですが、本人が思う以上にストレス病が進行していることもあるので、専門家(精神科や心療内科の医師・カウンセラーなど)に相談することが一番安心できる方法です。
治療が必要となったら、薬(抗不安薬、抗うつ薬、睡眠薬など)で症状を軽くし、それから自律訓練法や行動療法などで、セルフコントロールの訓練をします。これはストレスに対する抵抗力を身につける手段です。セルフコントロールがうまくできるようになったら、薬を減らしたり中止するようにします。薬を中止することに不安を感じる人が多いのですが、そういう場合は漢方薬を使うと効果的です。漢方薬は副作用も少なく、長期に使っても依存性の心配がないので、西洋薬の減量や中止には頼もしい存在になります。
ストレス病に使われる漢方薬には、柴朴湯(さいぼくとう)、桂枝加竜骨牡蛎湯(けいしかりゅうこつぼれいとう)、柴胡加竜骨牡蛎湯(さいこかりゅうこつぼれいとう)、加味帰脾湯(かみきひとう)、黄連解毒湯(おうれんげどくとう)など、多くの種類があり、不安、イライラ、不眠、疲労感などの症状や体質にあわせてどれを使うかが違ってきます。心療内科などでも積極的に漢方薬を使う医師が増えているので、相談してみるといいでしょう。
くらしの中の予防法
- 偏見を持つべからず
- 攻める(怒鳴る、説教する)べからず
- 初期サインを見落とすべからず
- 励ますべからず
- 自分の価値観をおしつけるべからず
- 重大な決定(契約、転職、退職など)をさせるべからず
- 休養を妨げるべからず
- 医療情報を勝手に得ようとするべからず
- 復職後、一度に加重を与えるべからず
- 再発はないと思うべからず
芦原睦,他:産業ストレス研究(Job Stress Res)10:103-7,2003より引用