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防風通聖散(ぼうふうつうしょうさん)

公開日:2022.02.21
カテゴリー:外来でよく使われる漢方薬 監修:井齋偉矢先生(日高徳洲会病院院長/サイエンス漢方処方研究会理事長)

構成生薬

作用の特徴

脂質代謝異常を正常化する
がんこな便秘に用いる

対象となる症状

解説

 防風通聖散(ぼうふうつうしょうさん) の本質は、脂質代謝異常を正常化することにあります。そのため、脂質代謝に異常をきたすほど内臓脂肪が多い人には、内臓脂肪を減らすことで減量・便秘に効果を示します。
 しかしあくまでBMI30以上で、かなりの便秘がある人のメタボ対策に向けて、という限定された場合でのみ使うことができる漢方薬です。また、下剤としては強力なため、一定以上の便秘でないと飲み続けることはできません。
 防風通聖散は、いわゆる「痩せ薬」として知られており、最近では若い女性の間でもダイエット補助薬として話題になっています。しかし、BMI30未満の人が服用しても期待通りのダイエット効果を得ることはできないばかりか、肝機能障害や間質性肺炎などの副作用が懸念されます。

エビデンス情報

防風通聖散がBMI25以上の肥満を改善させる効果

 問診、血液検査、心電図で、心疾患や重篤な肝・腎疾患を持たず、下痢のない55〜65歳の肥満者(BMI≧25)を対象に、二重盲検ランダム化比較試験を実施しました。8週間後の投与終了後に防風通聖散投与群67例とプラセボ群45例で解析したところ、プラセボ群では0.1kgの体重減少に対し防風通聖散投与群では0.8kgの体重減少を示し、有意差を認めました1)。なお、防風通聖散投与による体重減少は、試験前の血圧や血清総蛋白が高い方がより効果を示すことが示唆されました。

耐糖能異常を有する日本人肥満女性での防風通聖散の有効性と安全性

 血糖値が正常より高い状態にあり、肝腎疾患、心疾患、代謝内分泌疾患、精神疾患、悪性腫瘍がない肥満女性(平均BMI36.5)81例を対象に、1,200kcalの低カロリー食と運動療法に防風通聖散を併用した群とプラセボを併用した群で24週間の二重盲検ランダム化比較試験を行いました2)
 ウエスト周囲径は開始前より両群ともに12,24週とも低下しましたが、防風通聖散投与群ではプラセボ群と比較し24週で有意な減少が見られました。
 両群で体重減少、皮下脂肪量、血圧および中性脂肪、総コレステロールの低下を認めましたが、防風通聖散投与群ではプラセボ群ではみられなかった内臓脂肪量の低下やLDL/HDL コレステロール値、尿酸値、耐糖能異常に対しても改善を認めました。

参考

  • 1) 許鳳浩ほか. 東方医学 2012; 28: 37-59
  • 2) Hioki C et al. Clin Exp Pharmacol Physiol 2004; 31: 614-619

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