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半夏瀉心湯(はんげしゃしんとう)

公開日:2021.03.30

構成生薬

作用の特徴

胃腸や口腔内の激しい炎症ならびにお腹がゴロゴロなる下痢のときに有用

対象となる症状

解説

 半夏瀉心湯(はんげしゃしんとう) の「瀉心」とは、「みぞおち付近のつかえを解消する」という意味で、胃腸炎や消化不良、嘔吐、二日酔いなどの消化器疾患に幅広く用いられます。また最近では、がんの化学療法時に起こる下痢や口腔粘膜炎の解消にも用いられます。
 半夏瀉心湯は、胃腸や口腔内の激しい炎症と、腸管の心身症的症候という2つの異なる病態に使われます。
 胃腸炎は、食べ物によるもの、細菌によるもの、薬物によるものなどが中心で、特に症状が激しいものに対して用いられます。半夏瀉心湯の服用により下痢便は迅速に普通便になります。

 腸管の心身症的症候というのは、心因性の下痢のことで、下痢型の過敏性腸症候群がその典型です。この場合は、半夏瀉心湯1~2週間を服用し、様子を見ます。効果が出ると「行動範囲が劇的に広がった」「世界が変わった」と話す患者さんもいらっしゃいます。

 口腔粘膜炎の場合は、半夏瀉心湯1包を少量の熱湯で溶かし、水を加えて約50mlに薄めたものを用意します。それを数回に分けて口に含み、口内炎のある場所や舌になじませるようにしてから飲み込みます。時間をかけて飲み込むことで、炎症の起きている部分に半夏瀉心湯がなじみます。

エビデンス情報

下痢

 イリノテカンによるグレード3以上の遅発性下痢のグレードの改善や、発生頻度の減少が報告されています1)。半夏瀉心湯の黄芩の成分のひとつであるフラボノイド配糖体のパイカリンには、イリノテカンによる腸管障害の原因であるβ-グルクロニダーゼを阻害する働きがあるためだと考えられています。

口腔粘膜炎

 口腔粘膜炎は、痛みなどの症状を引き起こすプロスタグランジンE2という物質が感覚神経に作用することで誘発されます。半夏瀉心湯は、プロスタグランジンE2産生を濃度依存性に抑制することが報告されており、痛みを早期に減弱させる効果が期待できると考えられます2)

参考

  • 1) Mori K, et al. Cancer Chemother and Pharmacol 2003; 51(5): 403-406
  • 2) Kono T, et al. Integr Cancer Ther 2014; 13(5): 435-445

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