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がん治療における口内炎対策で注目を浴びる漢方薬・半夏瀉心湯

公開日:2015.11.25
カテゴリー:漢方ニュース

第53回日本癌治療学会学術集会レポート「半夏瀉心湯のエビデンスとは」

 第53回日本癌治療学会学術集会が、国立京都国際会館・グランドプリンスホテル京都で2016年10月29~31日に開催。「がんと生きる」をテーマとしたさまざまな発表と討論が9,900人以上の参加者によって行われました。
 30日、「がん治療のQOL改善のために~注目されてきた口内炎対策として漢方薬の価値」と題したシンポジウムを開催。漢方薬は、一般の口内炎には使われていますが、がんの化学療法による口内炎に対する有効性と安全性のエビデンスは確立されていませんでした。半夏瀉心湯(はんげしゃしんとう)が口内炎対策として有効であるエビデンスが、臨床と基礎研究それぞれの立場から示されました。

 半夏瀉心湯は、腹部の炎症性疾患に伴う諸症状に用いられ、吐き気、胸やけ、みぞおちのつかえ、げっぷ、下痢、食欲がないなどの症状を緩和します。これまで、抗がん剤の副作用による口内炎には、粘膜保護剤やステロイド軟膏、抗生物質などが用いられ、痛みが強い場合には、氷などによる口腔内の冷罨や局所麻酔薬の塗布などが行われていました。半夏瀉心湯の薬効は粘膜障害抑制作用と細菌に対する抗菌作用によることが明らかとなり、構成する7つの生薬のうち、黄ごん(おうごん)や黄連(おうれん)が効果を発揮することが解明されています。

 「半夏瀉心湯の7種類の構成生薬が、それぞれの役割を果たし、口内炎治療に働きます。漢方薬が合剤である必然性であり重要性がここにあります。すべての生薬の役割がきっちりとわかっているのが半夏瀉心湯です。本当に効果があるかどうかを臨床から、基礎研究でもさらに研究を進めて欲しいと考えています」と今回のシンポジウムの司会を勤めた愛知医科大学病院臨床腫瘍センターの三嶋秀行先生はいいます。

サイエンスがすすむ漢方医学

 当日行われた講演は以下の6演題。がん治療における口内炎対策として、半夏瀉心湯の有効性と安全性が二重盲検無作為化臨床試験によって明らかになり、その有効性について、臨床と基礎研究の両面で示されました。

【講演1】大腸癌化学療法誘発口内炎に対する半夏瀉心湯の二重盲検無作為化第II相臨床試験
【講演2】半夏瀉心湯による頭頸部癌のCCRTを起因とする口内炎の緩和と治療完遂率の改善
【講演3】頭頸部癌患者の化学放射線治療に伴う口内炎に対する半夏瀉心湯の抑制効果
【講演4】半夏瀉心湯のラジカル障害抑制機序の解明 ~ラジカル消去にかかわる生薬の役割~
【講演5】口内炎増悪因子である細菌に対する半夏瀉心湯の抗菌作用
【講演6】口内炎に対する半夏瀉心湯の鎮痛作用 ~作用機序と活性成分の検討~

 もう1人の司会者である、国立がん研究センター研究所がん患者病態生理研究分野長の上園保仁先生は、シンポジウムを最後のメッセージとして次のようにまとめました。
 「今回は、漢方薬にサイエンスをという大きなテーマでした。歴史があるのにサイエンスが追いついていない。やっとスタートラインに立ったところです。まだまだ分からないことが多いです。伝統薬である漢方薬を科学的に解明していくことの重要性を感じてもらえればと思います」

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