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集中治療の現場でも漢方薬が使われている~第45回日本集中治療医学会学術集会より

[漢方ニュース] 2018/03/13

抑肝散投与群で危険行動などの「不穏再発」が抑えられた可能性

 病院の集中治療室(ICU)では、患者さんは症状による苦しさ以外に、のどの渇きや身動きのしにくさ、気管チューブの挿入による話しにくさなど、大きなストレスを感じているといわれています。こうしたなか、淀川キリスト教病院救急科の原悠也先生は、ICUの患者さんに抑肝散(よくかんさん) を処方したところ、不穏(興奮する、落ち着きがなくなる)状態の再発防止に有効だった、と第45回日本集中治療医学会学術集会で発表しました。

 抑肝散は虚弱体質で、神経がたかぶる神経症や、不眠症、小児夜泣きなどに有効とされています。また、認知症の周辺症状である興奮やうつ、異常行動などの行動・心理症状(BPSD)を改善する効果があるとの報告も数多くあります。

 原先生の研究グループは、ICUに入室し、危険行動を抑制するための抗精神病薬が投与されている患者さんを、抑肝散を投与した集団(抑肝散群)と投与しなかった集団(非抑肝散群)に分け、不穏再発と判断された患者さんの割合を比較しました。すると、直近の抗精神病薬投与から48時間以内では抑肝散投与群が53.3%、非抑肝散投与群が84.1%、72時間以内では抑肝散投与群が53.3%、非抑肝散投与群が88.6%と、抑肝散投与群で不穏の再発割合が明らかに低いことが分かりました。

 さらに、不穏の再発有無に何が関係しているかを調べるため、年齢、性別など4つのファクターでデータを調べなおしたところ、抑肝散投与が関係しているとの結論を得ました。

 抑肝散は、含まれている生薬が、神経伝達物質で、興奮に関与するセロトニンとグルタミン酸に影響を及ぼすことが、動物実験などでわかりつつあります。今回の研究では、時間の経過とともに抑肝散群で不穏再発の割合が減っていることから、原先生は「(作用が出るまでに時間がかかる、抑肝散に含まれる生薬の釣藤鈎の)作用が安定し、両群で差が認められたのではないか」との推測を示しています。(村上和巳)

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