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【六君子湯】食欲不振改善機能、消化管ホルモン・グレリンへの効果/論文の概要

公開日:2010.08.06
カテゴリー:特集・漢方の実力

論文の概要

<論文タイトル>
漢方薬・六君子湯は、ヒトおよびマウスの血漿(けっしょう)グレリン濃度を増加する
The traditional Japanese medicine rikkunshito increases the plasma level of ghrelin in humans and mice.
Matsumura T, Arai M, et al. J Gastroenterol. 2010; 45: 300-307.
目的
上部消化管症状の治療に幅広く用いられている六君子湯が、健康成人およびマウスのペプチドホルモンやサイトカインに与える影響を明らかにする。
方法
  • ヒト:21名の健康成人を対象に、六君子湯を7.5g/日を2週間投与し、血漿中のペプチド(およびホルモン)の変化を検討した。
  • マウス: 1群4匹の4群(計16匹)に、0、0.7、1.1、1.4%のいずれかの濃度の六君子湯を懸濁した飲水を2週間自由に摂取させ、血漿ペプチドおよび胃のグレリンmRNA発現量の変化を検討した。
結果
  • ヒト:対象者は男性19名・女性2名、平均年齢は34.7±6.2歳、BMIは22.3±2.0 kg/m2であった。服薬コンプライアンス不良のため、1名を解析から除外した。いずれの対象者にも有害事象は認められなかった。六君子湯投与開始後0、2、6週の血漿アシルグレリン濃度は、それぞれ6.7±2.8、11.7±4.0、10.5±4.4fmol/mLであった。2週時と6週時の血漿アシルグレリン濃度は、0週時に比べ有意に高値を示した(p<0.01、paired t test)。血漿中のインターロイキン4、インターフェロンγ、G-CSFの量は、六君子湯投与後に有意に減少した(p<0.01)。
  • マウス:組織学的検討からは、いずれのマウスにも肝障害や腎障害は認められなかった。週あたりの摂食量や体重については差がなかった。血漿アシルグレリン濃度は、飲水中の六君子湯濃度に比例して増加しており、定量的RT-PCR法を用いて検討した胃のグレリンmRNA発現量も上昇していた。
結論
六君子湯は、健康成人およびマウスの血漿アシルグレリン濃度を増加させた。さらにヒトでは、この変化は六君子湯投与終了後、少なくとも4週間継続した。また、マウスでは、六君子湯投与により胃のグレリンmRNA発現量が増加した。

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