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露仙堂クリニック 柳堀厚院長

[外来訪問] 2016/11/09

~漢方薬の新時代診療風景~
 漢方薬は、一般に知られる処方薬(西洋医学)では対処が難しい症状や疾患に対して、西洋医学を補完する使われ方も多く、今後の医療でもますます重要な役割を果たすと考えられます。
 近年、漢方薬の特性については科学的な解明が進んだこともあって、エビデンス重視の治療方針を取る医師の間でも漢方薬が使用されることが増えています。
 漢方薬を正しく理解して正しく使うことで、治療に、患者さんに役立てたい。日々勉強を重ねる、身近な病院の身近なドクターに、漢方活用の様子を直接伺いました。ドクターの人となりも見えてきます。

メンタル面の症状が増えている

 婦人科疾患は他科と比べて漢方薬が適応されるケースが多く、婦人科・内科を診療する当院では、漢方治療をメインに据えています。来院される方で特に多いのが、月経前症候群(PMS)、更年期障害、不妊症です。
 PMSでは、5年ほど前は頭痛やめまいなど身体的な症状が多かったのですが、最近ではお子さんを産んだばかりの若い方や、子育てをしながら親の介護もしている方など、心の症状を訴える人が増えています。イライラや気分の落ち込みには、加味逍遙散や抑肝散をよく処方します。また、PMSより月経前の気分の悪化が激しい月経前不快気分障害(PMDD)の患者さんも来院されます。
 PMSだけでなく、漢方治療をする患者さんのうち3分の1ほどの方がメンタル関連の症状を訴えています。明らかに精神的疾患がある方は心療内科などを紹介しますが、そこまでではない場合には「漢方薬を使ってみますか?でも私の方でメンタルクリニックに行った方が良いと判断したらお話させていただきますよ」と勧めています。あまり自分が診すぎてから他院へ紹介すると患者さんをがっかりさせてしまうので、どの段階で紹介するかという線引きは、常に私の中で課題となっています。

初診は急がずじっくりと

 初診の方は、まず婦人科、内科それぞれの問診表に加え、漢方治療を望まれる場合は漢方問診表に該当する症状を記入いただいています。また、更年期の方には、更年期障害問診表と気鬱スコアを用意し、書ける分だけ書いてもらいます。これで大体の当たりをつけてから、漢方治療の場合は望診・聞診・問診・切診の四診により病状を判断します。西洋医学で診察する場合を含め、初診には時間をかけます。スタッフからはしばしば急ぐように言われますが、自分のペースで急がずやらせてもらっています(笑)。
 とくに更年期障害の方は、他の診療科に関連する症状が多いため検査による他の疾患の否定と、個々人の環境が異なるためその人にあった治療法が重要です。更年期障害の方は、家庭のことや介護などすごく頑張っているのに、誰にも理解されていないことが多いです。話をしているうちに泣いてしまう方もいますが、感情を表に出すと皆さんすっきりとするようです。そうすると、薬に抵抗のある方でも漢方薬だと飲んでくれたり、次回からの診察も非常にスムーズになります。

煎じ薬とエキス剤の使い分け

 当院では漢方治療の場合、エキス剤の他に煎じ薬を処方しています。服にたとえると、エキス剤は既製服、煎じ薬はオーダーメイドにあたります。煎じ薬は煎じる手間など患者さんにも負担がかかるのですが、それぞれの人や症状に合わせた処方ができるメリットがあります。当院で煎じ薬を利用するのは患者さんの2割に満たないほどですが、子宮筋腫のように煎じ薬の方が効果が高いと考える場合、そちらを勧めています。
 当院では、子宮筋腫を漢方薬で治療する場合は、血液が滞った状態と考え(お血)、血液の巡りをよくして筋腫を小さくします。使用する方剤は桂枝茯苓丸、折衝飲、きゅう帰調血飲、八味丸などの煎じ薬に、よく苡仁、大黄、三稜、莪朮などを加味します。血行が悪く漢方薬が子宮筋腫に到達しないようであれば、他の鍼灸院と連携し鍼灸治療を併用します。
 エキス剤の組み合わせは、生薬の数が十数種類など多いもの同士は効果がわからなくなってしまうこともあります。しかし、生薬が4種類の四逆散と5種類の半夏厚朴湯の組み合わせは、当院でもメンタル面の症状によく処方します。これからの漢方治療は、煎じ薬をいかに扱うか、またエキス剤をどう組み合わせて有効に使うかが主流になっていくのかなと思います。
 私の家は十数代に渡ってずっと産科医でした。昔の漢方医と比べると知識も経験も足りませんが、今後も患者さんの悩みに応えられるよう勉強し、漢方を幅広く使っていきたいと思います。

露仙堂クリニック

医院ホームページ:http://www5a.biglobe.ne.jp/rosendo/index.html

京成線「勝田台駅」または東葉高速鉄道「東葉勝田台駅」のA3出口(北口)より徒歩3分。京成線沿いに進み最初の十字路の角と分かりやすい位置にあります。詳しい道案内は医院ホームページから。

診療科目

婦人科、内科

柳堀厚(やなぎぼり・あつし)院長略歴
1985年 東邦大学医学部卒業 東邦大学第一産婦人科学教室入局
1987年 小川赤十字病院(埼玉)勤務
1991年 東邦大学医療センター佐倉病院産婦人科教室助手(現在 客員講師)
1997年 薬丸病院(千葉)勤務 昌平クリニック非常勤
1999年 5月 露仙堂クリニック開業
1991年日本東方医学会(谷美智士先生)中医学講座、鍼灸学講座受講
(1993年より秋葉哲生先生に師事)


■所属・資格他

日本産科婦人科学会 認定医、日本東洋医学会 専門医・指導医、東方医学会、和漢医薬学会、日本女性医学学会(旧更年期学会)、日本性感染症学会、避妊教育ネットワーク所属

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