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めまいがなかなか治らないのはなぜ?めまいの専門医・五島史行先生に聞きました Vol.1 めまいのメカニズム

[病気と漢方] 2020/03/19
 めまいは非常に多くの人が悩んでいる症状です。病院へ行って検査をしても「異常がない」と言われ、めまい止めを処方されているという方も多いと思います。しかし、なかなかよくならないめまいに対して「本当は何か違う病気なのでは?」「めまい止め以外にももっと効く薬があるのでは?」と感じ、さまざまな情報を自身で調べているという方もいらっしゃるのではないでしょうか。めまいには、漢方薬が大きな効果を発揮してくれる場合があります。今回は東海大学耳鼻咽喉科准教授の五島史行先生に、めまいのしくみについてお伺いしました。

メニエール病は全体の10%程度

 めまいの症状に悩んでいる方は、非常に多くいらっしゃいます。めまいによるふらつきは、体験した患者さん自身しか、その苦しみは理解できないものです。めまい止めを処方されて服用しているものの、なかなか改善せず、ふらつきに耐えながら日常生活を送っている人も少なくないと思います。繰り返すめまいのために医療機関を受診された患者さんの中には、「メニエール病」と診断された方もいるのではないでしょうか。メニエール病は、めまいが起こる病気としてよく知られていますが、実際にはこの病気の方は少なく、めまいで悩む方の約10%程度といわれています。めまいの原因で最も多いのは、内耳に原因がある良性発作性頭位めまい症です。めまいに悩む方の約40%がこの良性発作性頭位めまい症だといわれています。その次に多いのが、前庭神経炎と心因性めまいで、それぞれ約15%、片頭痛が原因のめまいが約7~8%となっています。

 では、めまいはなぜ起こるのでしょうか。私たちは、目、耳(前庭)、足裏、という3つの感覚器から入ってくる情報を小脳で統合することで体のバランスをコントロールしています。目を使って見て今自分がどこにいるのかを感じ、耳にある前庭や平衡感覚器で頭の働きを感知し、足裏の感覚でどのように動いているのかを感じます。特に小脳は、目、耳、足裏という3つの感覚器からの入力を統合して、自分が動いているときに周りの景色が動いて見えないように、頭と目の動きを制御しています。この3つの感覚器のうち、どこかひとつでも異常をきたすと、めまいを感じることになります。

バランス制御の仕組み

最近増えている片頭痛関連めまい

 めまいの中でもっとも多い、良性発作性頭位めまい症は、耳に異常がある場合に起こるものです。耳の奥にある内耳という部分には三半規管という場所があり、その中はリンパ液で満たされています。リンパ液は、頭を動かしたときに反対方向に動くようにできており、この動きで内耳は頭がどの方向に動いたのかを察知し、脳にその情報を送ります。しかし、三半規管の中に耳石膜からはがれた耳石が迷入すると、それによってリンパ液のながれが影響を受け、脳は情報の違いを処理できなくなり、回転性のめまいを起こすのです。ですから良性発作性頭位めまい症は、朝起きたときや寝返りをうったとき、また振り向いたときや、何かを拾おうとして腰をかがめたときなど、頭を動かしたときにぐるぐると回るような回転性のめまいが起こり、少し休んでじっとしているとめまいはおさまります。「良性」と名前がつく通り、症状自体は危険なものではありませんが、年齢が高くなるにつれて発症しやすいことがわかっていて、転倒やケガなどの原因になることもあります。

 また、最近増えているのが、片頭痛による片頭痛関連めまいです。ふだんは何ともないのですが、時々めまいの発作があり、耳鳴りや、耳が聞こえにくいといった耳の症状が一緒に起こったり、めまいの前後に頭痛が起こることもあります。なかなか治らない難治性のめまいをもつ患者さんの中には、この片頭痛関連めまいの方がかなりの割合でいることがわかってきました。患者さんの中には、今、症状がないために、自分が若い頃、頭痛持ちだったということを忘れている方もいらっしゃいます。この片頭痛関連めまいは、若い人にも多くみられます。小さな頃によく頭が痛くなった経験はなかったか、思い出してみましょう。メニエール病と診断されているものの、なかなかよくならないという場合、片頭痛関連めまいではないか、疑ってみる必要があります。この場合、片頭痛の治療を行うことで、めまいがよくなることがあります。

 めまいに悩む方の多くが、医療機関を受診すると、めまいの原因がわからなかったとしても、めまい止めを処方されます。しかしながら、めまい止めによる治療ではなかなかよくならない場合もあります。次回は、めまいの治し方について解説していきます。

五島史行(ごとうふみゆき)先生
東海大学耳鼻咽喉科准教授

慶應義塾大学医学部卒業、同大学大学院医学研究科修了後、ドイツ・ミュンヘン大学生理学教室に留学。東京医科大学生理学第二講座へ国内留学後、日本大学医学部附属板橋病院心療内科研究員、日野市立病院耳鼻咽喉科部長、国立成育医療研究センター病院非常勤医師、独立行政法人国立病院機構東京医療センター耳鼻咽喉科めまい外来医師、東京医療センター臨床研究センター平衡覚障害研究室室長を勤めたのち、2019年より現職

めまいがなかなか治らないのはなぜ?めまいの専門医・五島史行先生に聞きました

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