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子どもの成長と漢方薬(2)子どもと漢方薬Q&A

公開日:2022.03.28
カテゴリー:病気と漢方

前回は子どもの発達障害の改善に役立つ漢方薬を、たんぽぽこどもクリニック院長の石川功治先生に教えていただきました。先生いわく「漢方薬は、発達障害以外の子どもの不調や病気の改善にも有効」とのことですが、漢方薬を使ったことのない保護者も多く、疑問を持つケースも多いようです。そこで今回は、子どもが漢方薬を使う際に保護者からよく聞かれる疑問について石川先生に伺いました。

子どもにこそ漢方薬が向いている

クリニックを受診した子どもの不調の改善に漢方薬を積極的に使う理由について、石川先生は「最近の子どもの病気が多様化、複雑化しているため」と説明します。
「成長途上の子どもは、周囲の刺激などから受けたストレスによって心にも体にも不調が生じることが少なくありません。そうなると症状が多様化、複雑化し、西洋薬だけでは対応できないケースも出てきます。漢方薬は、複数の構成生薬が複合的に作用し、全身のバランスを整えることで、症状を改善します。例えば、『なんとなく調子がよくない』というお子さんが漢方薬を飲むと、便秘やおなかの調子が整ったり、イライラが改善されたり、元気になったりなど、全身の症状改善がみられることがあります。子どもにこそ、漢方薬が向いていると私は考えています」(石川先生)

子どもと漢方薬Q&A

小児に漢方を使う際の気になる疑問を、石川先生に伺いました。

Q1.漢方薬で子どものどんな病気が治せますか?

A1.漢方薬は複数の生薬で構成されていて、一剤で多様な症状に対応できます。そのため、皮膚の異常、ぜんそく、鼻炎、胃腸の異常といった身体症状のほか、夜泣き、かんしゃく・イライラ、めまい、倦怠感、不眠といった精神症状まで、さまざまな症状の改善が可能です。

Q2.漢方薬はどこで処方してもらえますか?

A2.医療用漢方製剤は、医療機関ならどこでも処方が可能です。医療機関では、原料を煮出して飲む煎じ薬よりも、エキス剤と呼ばれる、分包された保険診療適用の医療用漢方製剤を利用することが多いです。医療用漢方製剤のほかに、薬局で販売されていて、医療用漢方製剤よりも生薬含有量が少ないOTC医薬品もあります。

Q3.どれくらいの期間、服用すればよいですか?

A3.まずは1~2週間を目安に服用します。その間、続けて服用しても症状の改善がみられない場合は、別の薬に変えたり、薬を追加したりして様子を見ます。前回紹介した発達障害のような慢性的な症状を改善する場合、効果が現れるまでに1か月以上かかるうえ、症状が改善するまで飲み続けるため、服用期間が長引くこともあります。

Q4.副作用はないですか?

A4.漢方薬にも副作用はあります。漢方薬の種類にもよりますが、皮膚の発赤やかゆみ、動悸、食欲不振、悪心、嘔吐などの症状が生じることもあるので、服用後しばらくは様子を見ておきましょう。そして心配な症状があれば、すぐに医療機関に連絡しましょう。

Q5.子どもに漢方薬を処方してくれる病院の選び方を教えてください

A5.まずはホームページや看板に漢方診療をしていることが明記されている医療機関を選びましょう。さらにいうと、子どもの場合は脈やお腹などに症状が現れやすい傾向があるため、脈を診る脈診や、お腹をさわって診断する腹診を行っている先生のいるところがよいでしょう。

Q6.西洋薬と漢方薬を一緒に服用しても大丈夫ですか?

A6.西洋薬と漢方薬の併用は、医療の現場ではよくあることです。同じ医療機関で処方されたのであれば、お子さんの症状に応じた処方なので、一緒に服用しても問題はありません。ただし、別々の医療機関で西洋薬と漢方薬をそれぞれ処方されている場合は、一緒に服用すると問題が生じることもあるので、医師や薬剤師に確認してから服用しましょう。

Q7.子どもが漢方薬のにおいや味を嫌がります

A7.漢方薬のにおいや味が好きではないというお子さんは珍しくありません。嫌がる場合はアイスクリームや好きな飲み物などに、漢方薬を混ぜて飲ませましょう。最初は嫌がっていたお子さんも、漢方薬を飲んで症状が改善されることがわかれば、自ら服用するようになっていきます。また、1回の服用分を一度で飲みきれないときは、1日3回を1日4~5回にするなど、飲む回数を分けても大丈夫ですし、食前に飲み忘れてしまった場合は食後に飲んでも構いません。

漢方薬を活用して、子どもの病気や不調の改善を

漢方薬は一剤で多様な症状に効果があったり、体だけでなく心の症状の改善にも役立ったりと、発症の原因が複雑な子どもの不調に有効なケースが多く見られます。「味が気になる場合はアイスや甘い飲み物に混ぜて飲んでもよい、食前に飲み忘れても食後に飲めばよいなど、利用しやすい面もあります。お子さんの不調改善や健康管理に、漢方薬をぜひ役立てていただきたいと思います」(石川先生)

石川 功治(いしかわ こうじ)先生
たんぽぽこどもクリニック 院長

医師。医学博士。獨協医科大学医学部卒業、大学病院・総合病院での勤務を経て、獨協大学医学部大学院を修了し、医学博士を取得。1999年、医療法人社団泰慎会たんぽぽこどもクリニックを開設。子どもを取り巻く環境の変化に合わせた医療の提供に取り組む。

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