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子どもの病気で使われる漢方薬とは

公開日:2017.11.28
カテゴリー:漢方ニュース

 小児の身体は日々成長・発達していますが、治療に対しては速やかに反応しやすいものです。また生理的にも大人への成長過程であり、薬効の異なる複数の生薬から成り立つ漢方薬は、複数の機能系に対して幅広く対応できる点で優れています。一方、漢方薬の処方にあたって小児は大人の縮図ではないことを念頭に置く必要があります。

 小児の病気の特徴としては、血液以外の体液、主に水分が代謝異常を起こした「水毒」に関連することが多い点が挙げられます。これは小児の場合、成人よりも体重に占める水分量が多いためです。水毒に関連した嘔吐、下痢、頭痛、めまいなどには五苓散(ごれいさん) がよく用いられます。これにより短時間で血色が良くなり、少量ずつの水分摂取が可能となることが多く見られます。腹痛には桂枝加芍薬湯(けいしかしゃくやくとう) 小建中湯(しょうけんちゅうとう) が、慢性的な下痢には人参湯(にんじんとう) 真武湯(しんぶとう) が有効です。便秘に対しては小建中湯が非常に有効なことが多いですが、十分な効果が得られない場合には桂枝加芍薬大黄湯(けいしかしゃくやくだいおうとう) を少量併用することも検討します。

 呼吸器系の病気では、急性上気道炎、感冒に対しては麻黄湯(まおうとう) 桂麻各半湯(けいまかくはんとう) 桂枝湯(けいしとう) 葛根湯(かっこんとう) を症状に応じて使用します。気管支炎や気管支喘息には五虎湯(ごことう) 麻杏甘石湯(まきょうかんせきとう) 、小青竜湯や小柴胡湯(しょうさいことう) を、単独または併用で使うほか、症状が落ち着いたら柴朴湯(さいぼくとう) で体質改善を目指します。

 皮膚の病気では、乾燥しているか惨出液が出てジクジクしているかといった皮膚の状態、陰証か陽証か、虚証か実証かに応じて処方します。乳児期には治頭瘡一方(ぢづそういっぽう) 桂枝加黄耆湯(けいしかおうぎゃくとう) 、小建中湯、補中益気湯(ほちゅうえっきとう) 、幼児期には柴胡清肝湯(さいこせいかんとう) 、補中益気湯、抑肝散(よくかんさん) などを使用することが一般的です。また、学童期には十昧敗毒湯(じゅうみはいどくとう) 、柴胡清肝湯、温清飲(うんせいいん) 消風散(しょうふうさん) などが使われます。

(2017年6月開催 第68回日本東洋医学会学術総会「漢方入門講座 小児の漢方治療(あおやまクリニック 青山重雄先生)」をもとにQLife漢方編集部が執筆)

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