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膝の痛みを無くしたい、日本舞踊の先生

[外科医が使って知った漢方薬の魅力「意外と効くもんだ」] 2011/05/17

膝の痛みを無くしたい、日本舞踊の先生

 もともと両側の変形性膝関節症(膝の軟骨が磨り減ってしまい、歩くときや階段を降りるときに膝に痛みがでる疾患)という診断を近所の整形外科で受けていた77歳の女性。膝の痛みに関しては、「痛いときに飲むように」と非ステロイド性消炎鎮痛剤(NSAID)を処方されている。また膝へのヒアルロン酸注射を定期的に受けている。
 この患者さんは日本舞踊の先生をしている方で、膝以外は非常に元気である。整形外科の先生には良く診てもらっており不満はないのだが、日本舞踊を教えるにあたってもう少し良くなりたいというので漢方薬を試すことになった。
 エキス剤の防已黄耆湯(ぼういおうぎとう) を1日3回(1日7.5g)食前に100ccくらいのお湯に溶かして飲んでもらった。防已黄耆湯を始めて2週間で「膝の痛みが軽くなってきた」と言ってもらえたので、そのまま続けてもらうことにした。
 その後1か月、2か月と内服を続けていくと、膝の痛みが無くなってしまった。初めに防已黄耆湯を飲んだのは12月であった。関節の痛みの多くは冬の寒い時期に悪化するものだが、この患者さんは12月以降一度も膝のヒアルロン酸注射を受けていないし、NSAIDの内服も全くしないで済んでいるとのこと。実際、膝の腫れや熱感は感じられなかった。
 通常、変形性膝関節症の患者さんには、内服・注射以外に大腿四頭筋(ももの前面にある筋肉)の筋力訓練(筋トレ)を指導している。この筋トレは非常に簡単であり、かつ有効なことが多い。まず椅子に座ってゆっくりと膝を伸ばす。膝がピンと伸びた状態になったら膝が反るようにももの前側に力を入れ、ゆっくりと5つ数える。5つ数えたらゆっくり足をもどす。この運動を食後やテレビを見ているときに1日何回でもやってもらう。3か月ほど続けてやってもらうと少しずつ大腿四頭筋の筋力が増し、膝の痛みや膝の不安定な感じが楽になってくることがある。筋トレだけで膝痛が全く無くなることは稀なことだが、ヒアルロン酸注射の回数を減らすことができたりする。
 この患者さんにも筋トレのやり方を指導した。月1回外来に来ては「一生懸命に筋トレやってるよ」と言っていた。
 膝の痛みが無くなったのは、防已黄耆湯の効果のみならず本人の努力の賜物であろう。
 残念ながら防已黄耆湯のみで膝の痛みが完全に取れることは少ない。そのため「もっと良くなりたい」という方にはエキス剤の越婢加朮湯(えっぴかじゅつとう) を少量から加えるようにしている。少量から加える理由は、越婢加朮湯に含まれる生薬の麻黄によって“ドキドキ”や“ムカムカ”が出ることがあるためである。

堀口定昭(ほりぐち さだあき) 愛世会愛誠病院・下肢静脈瘤センター

2002年帝京大学医学部卒業、2008年より愛誠病院にて血管外科医として勤務しながら整形外科と漢方を学ぶ。
血管外科の外来で漢方薬を使うようになってから、本格的に漢方を学ぶようになり、2010年より血管外科と漢方内科を兼務。
日本外科学会専門医、日本脈管学会専門医。
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