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漢方薬の副作用を知って医師や薬剤師と適切なコミュニケーションを~芍薬甘草湯の副作用~

公開日:2019.04.25
カテゴリー:漢方ニュース

芍薬甘草湯を服用している患者さんの血清カリウム値などを調査

 一般的に、副作用が少ないといわれている漢方薬。とはいえ、軽度なものも含めれば、どのような薬にも副作用はつきものです。もちろん、漢方薬であっても副作用は存在します。ですから、自分の服用している薬の副作用を知り、医師や薬剤師の先生と適切なコミュニケーションとることが、適切な治療につながるといえます。

 三重厚生連三重北医療センターいなべ総合病院薬剤部の服部真奈先生は、芍薬甘草湯(しゃくやくかんぞうとう) を処方されている患者さんの血清カリウム値の調査から、「芍薬甘草湯を高用量で服用している患者さんでは、低カリウム血症の副作用が出やすい傾向があるため、定期的に血清カリウム値を確認することが望ましい」と、第28回日本医療薬学会で提言しました。

 芍薬甘草湯は芍薬(しゃくやく)、甘草(かんぞう)の2種類の生薬から構成される漢方薬です。急激におこる筋肉のけいれんを伴う疼痛、筋肉・関節痛、胃痛、腹痛などに使われます。ふくらはぎの筋肉がけいれんする「こむらがえり」でよく処方されます。

 芍薬甘草湯に含まれている甘草は、過剰に摂取したり長く服用すると、血液中のカリウム濃度が低下する低カリウム血症を起こしやすいことが知られています。低カリウム血症の症状は手足のだるさ、脱力感、筋肉痛など。こうした症状に早期に気づき、原因となっている薬の量を調整するなどの対処することで、これらの症状は改善します。

血清カリウム値を測定された患者さんは、全体の5割以下

 服部先生らは2018年1月1日~3月31日の3か月間に、いなべ総合病院で芍薬甘草湯を処方された患者さん216人について、血清カリウム値などの状況を調査しました。

 芍薬甘草湯を処方されていた患者さんの主な受診診療科は、整形外科が76%で最多。血清カリウム値が測定されていた患者さんは全体の41.4%で、このうち63.7%が内科で測定されていました。また、3人に低カリウム血症が認められました。

 芍薬甘草湯の標準的な1日投与量は7.5gで、患者さんの状況に応じて適宜増減が認められています。今回、血清カリウム値を測定されていた患者さんを、1日の投与量別に群分けして比較したところ、低カリウム血症を認めた3人とも、芍薬甘草湯の1日投与量は7.5gでした。

 この結果を受けて服部先生は、「当院で芍薬甘草湯を処方されている患者さんのうち、血清カリウム値が測定された割合は5割以下と少なく、この点に対する意識は低いと考えられる」と述べ、芍薬甘草湯を処方されている患者さんに対して、定期的な血清カリウム値測定を医師などに働きかけることなども検討していきたいとしています。

 芍薬甘草湯は漢方薬のなかでもポピュラーな薬剤です。服用している患者さん自身も、副作用として低カリウム血症があることや、その症状を知っておくとよいでしょう。(村上和巳)

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