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知っていましたか? 同じ漢方薬でも、メーカーごとに中身が“ちょっとだけ”異なるものも

[漢方ニュース] 2018/10/22

もとになった書物により、若干の違いが

 日本病院薬剤師会関東ブロック第48回学術大会で、浜薬科大学漢方薬学科漢方天然物化学研究室教授の榊原巌先生が、製造販売企業によって成分量などに違いがある医療用の漢方エキス製剤について講演しました。

 補中益気湯(ほちゅうえっきとう) を例に挙げると、日本国内での医薬品に関する品質規格書である「日本薬局方」に規定された補中益気湯(ほちゅうえっきとう)には成分組成の異なる6パターンが存在していると榊原先生は指摘します。具体的には、(1)黄耆(おうぎ)、柴胡(さいこ)、升麻(しょうま)の分量の違い、(2)蒼朮(そうじゅつ)と白朮(びゃくじゅつ)のいずれかの使用の違い、(3)生姜(しょうきょう)と乾姜(かんきょう)のいずれかの使用の違い、3点があります。榊原先生は、これらの違いは「内外傷弁惑論」、「脾胃論」、「漢方処方分量集」といった方剤の出典に起因すると説明しました。こうした出典の違いによる成分量の違いは、十全大補湯(じゅうぜんたいほとう) 加味逍遥散(かみしょうようさん) 乙字湯(おつじとう) 神秘湯(しんぴとう) 麦門冬湯(ばくもんどうとう) などでも確認できた、と榊原先生。さらに、蒼朮と白朮について、製造販売企業によって出典では白朮となっているものの蒼朮を使用しているケース(その逆も含む)があることや産地によって成分分布が異なることがあった、と指摘しました。

 そもそも漢方薬は生薬を煎じて服用するものでしたが、現在は顆粒状の漢方エキス製剤が一般的に使用されています。この二つの形態で含まれている成分が同等であるかについて、榊原氏は1985年に当時の厚生省(現・厚生労働省)が出した薬務局審査課(現・医薬生活衛生局審査管理課)長通知「医療用漢方エキス製剤の取り扱いについて」(薬審120号通知)が根拠になっていると紹介しました。通知では漢方処方ごとに煎じ薬との同等性を比較する指標成分を2種類以上の設定するよう製造販売企業に義務付けています。例えば生薬の麻黄の場合、その成分であるエフェドリンが指標成分となっています。

 そのうえで製造販売企業は標準湯液と呼ばれる標準の煎じ薬を規定。一般的には各漢方方剤の1日分の生薬をその20倍量の水で30分以上煎じ、水分が半量になった段階で生薬を濾したものとされています。エキス製剤の場合は、指標成分量が標準湯液内の量の70%以上が含まれていれば、煎じ薬と同等の品質とみなされます。

 榊原先生は、日本薬局方に規定された6種類の補中益気湯はいずれも正規のものである、としたうえで、「厳密な意味では成分的には異なる品質であることを理解すべきであり、どれが良いかは患者さんによって異なる」と締めくくりました。(村上和巳)

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