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昼以降に活動レベルが上がる夜型生活のうつ患者に苓桂朮甘湯が有効

公開日:2016.07.29
カテゴリー:漢方ニュース

朝に起きられず、食欲もない“フクロウ型”は要注意

 うつ状態、うつ病と診断される患者さんで、いわゆる夜型生活に由来する不定愁訴に悩む方には、漢方薬の苓桂朮甘湯(りょうけいじゅつかんとう)が有効な場合がある、と久留米大学医療センター・先進漢方治療センター教授の惠紙英昭先生が第67回日本東洋医学会学術集会で発表しました。

 惠紙先生は、先進漢方治療センターの2016年5月の診療実績を紹介。426人が受診し、このうち過半数の58%、247人が精神科で占められ、うつなどの気分障害領域患者はこのうちの23.5%である58人でした。「うつ病などの精神疾患関連で漢方薬に対するニーズが少なくありません。患者さんの傾向としては、軽症から中等症で、向精神薬の減量を希望している、西洋薬で副作用が出やすい、西洋薬の中断による苦しい離脱症状を経験している、などがありました」(惠紙先生)

 うつなどの気分障害領域患者の58人に対し処方された漢方薬(複数処方あり)は、桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)と桂枝茯苓丸加薏苡仁(けいしぶくりょうがんりょうかよくいにん)が最も多く14人、次いで苓桂朮甘湯で12人、補中益気湯(ほちゅうえっきとう)、抑肝散(よくかんさん)、抑肝散加陳皮半夏(よくかんさんかちんぴはんげ)が続きました。

 そうしたなかで惠紙先生は、朝に起きられず・食欲もなく、昼以降に活動レベルが上がるフクロウ型体質の人の場合、意欲低下も含む倦怠感、めまい、頭痛、肩こりなどを訴えることが多く、うつと診断されやすいとの見解を示しました。

ノイローゼ、めまい、動悸、息切れ、頭痛などに使われる苓桂朮甘湯

 苓桂朮甘湯は茯苓(ブクリョウ)、桂皮(ケイヒ)、蒼朮(ソウジュツ)、甘草(カンゾウ)という4種類の生薬から構成され、茯苓、桂皮、蒼朮はいずれも水分を排出する作用が、茯苓、桂皮、甘草には動悸の鎮静効果が、桂皮には血行改善や末梢循環改善、軽度強心作用などがあり、ノイローゼ、めまい、動悸、息切れ、頭痛などに使われています。また、苓桂朮甘湯を処方する患者さんの漢方医学的な特徴としては、胃上部でポチャポチャと水の音がする振水音があることが挙げられています。
 
 惠紙先生は、産後うつと診断された28歳女性の症例を紹介。産後に意欲低下、憂鬱、倦怠感、朝に起きられず、夕方以降活発になり、産後うつと診断。向精神薬と睡眠導入薬を投与され、その副作用を訴えていました。苓桂朮甘湯を処方した結果、不定愁訴は2週間程度で改善、さらに補中益気湯を併用して1か月の経過観察を行ったところ、復職するまでに回復しまいた。

 惠紙先生は、精神科では向精神薬処方が中心となり、患者さんの身体症状をうつ症状の一環としてしかとらえない傾向があると指摘。「うつの診断では漢方医学的な心身両面からの診断が必要」と訴えました。

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