漢方について相談できる病院検索 漢方について相談できる病院検索

ストレスからくる身体全体の不調を漢方で改善

公開日:2014.07.29
カテゴリー:症状別得意分野

私たちの生活とは切っても切れないストレス

 私たちが生活する環境には、さまざまなストレスが存在しています。病気や怪我、睡眠不足、不規則な生活などの身体的なものから、家庭や職場の対人関係のような精神的なもの、騒音や大気汚染、天気の変化などもストレス刺激です。このように私たちはストレスとは切っても切れない生活を送っています。
 ストレスと言うと悪者扱いされてしまいがちですが、必ずしも悪いものばかりとはかぎりません。ある程度のストレスがあったほうが、緊張感が保たれて仕事や勉強の能率が上がりますし、やり遂げたあとの爽快感や達成感を十分に感じることができます。
 ストレスが問題になるのは、大きなストレスが長期にわたって続いた場合です。人間の身体はストレスを受けた時、ホメオシスタス(生体恒常性)という機能が作動して、その時々に応じて身体を適応させています。一時的なストレスであればホメオシスタスに大きな影響はありませんが、過度のストレスが長く続くと、自律神経系のバランスが崩れてストレスに対するホルモンの防御力が限界を超えたり、免疫系の働きが低下するなどの状態に陥ります。これらの作用が重なりあった結果、ホメオスタシスがバランスを失い、心身のさまざまな病気を招くことになるのです。

さまざまなストレス
身体的 病気、けが、過労、睡眠不足、不規則な生活など
物理的 暑さ、寒さ、気圧の変化など
環境的 騒音、大気汚染、住環境など
精神的 家族や親しい人の死、不幸など
社会的 仕事・役割に対する責任、ノルマ、多忙、不況、戦争など
人間関係 職場、家族・親戚、地域など

身体全体の症状を良くする漢方でストレスからくる不調を改善

 漢方の考え方の基本は「心身一如」。心の問題も身体の症状もひとつと考え、治療をしていこうというものです。この考え方は、ストレスから病気が生じるメカニズムと合っているため、漢方を大いに活用することができます。
 西洋医学では臓器別に異常を探し出し、治療を行います。原因が明らかな病気には大変効果的ですが、ストレスに関連した症状のように、原因がひとつに絞れない、あるいは、はっきりしないようなケースでは、治療が難しくなってしまいます。たとえば、胃潰瘍という病気に対して薬を処方し、胃潰瘍を治すことはできます。しかし胃潰瘍の一因になっている、あるいは悪化させている「ストレス」まで解決することはできません。
 一方、漢方では身体全体を診ることを基本にしています。心身のアンバランスが不調の一因になっていると考えて、身体全体を良い状態にすることで各々の症状も治してしまおうというのが漢方です。そのため、原因が特定しにくく、病態との関わりがはっきりしない、ストレスから生じる症状の治療には大変有効なのです。
 ストレスと関連する病気のために、西洋薬を飲んでいる方が漢方薬を併用することは、ある意味、理に叶った治療です。何故なら漢方薬は、併用している西洋薬の副作用を軽減したり、西洋薬で対症療法をしながら、体質を改善する根本療法が可能だからです。
 2種類以上の薬を併用する際に問題となるのは、それぞれの薬の効果が十分に現れなかったり、逆に薬効が増強されすぎてしまうなど、思わぬ現象が生じることです。漢方薬と西洋薬の併用では、このような心配はほとんどありませんが、なかには併用を避けたほうが良いケースもあります。まずは医師に相談し、適切な処方を受けることをおすすめします。

よく使われる処方1 精神症状が主な場合
憂うつ、不安、不眠 半夏厚朴湯(はんげこうぼくとう):のどのつまり感
香蘇散(こうそさん):胃腸が弱い人の神経症
柴胡桂枝乾姜湯(さいこけいしかんきょうとう):動悸、息苦しさ、神経過敏
加味帰脾湯(かみきひとう):倦怠感、無気力
イライラ、怒りっぽい 抑肝散(よくかんさん):不眠(中途覚醒)
黄連解毒湯(おうれんげどくとう):のぼせ、赤ら顔
よく使われる処方2 胃腸症状が主な場合
胃痛、胃もたれ、
食欲不振
六君子湯(りっくんしとう)、四君子湯(しくんしとう):胃もたれ、吐き気
半夏瀉心湯(はんげしゃしんとう):みぞおちのつかえ、下痢、不眠
柴胡桂枝湯(さいこけいしとう):胃痛、頭痛、肩こり
安中散(あんちゅうさん):胃痛、胸やけ
人参湯(にんじんとう):冷えが強い、下痢
便通異常、腹痛 桂枝加芍薬湯(けいしかしゃくやくとう):交代性便通、渋り腹
小建中湯(しょうけんちゅうとう)、黄耆建中湯(おうぎけんちゅうとう):急な腹痛、易疲労
大建中湯(だいけんちゅうとう):腹部膨満感、手術後の腸管通過障害
よく使われる処方3 頭痛、めまい、月経関連症状など
頭痛、めまい、肩こり 葛根湯(かっこんとう):緊張型頭痛、風邪の初期
呉茱萸湯(ごしゅゆとう):片頭痛、嘔吐
苓桂朮甘湯(りょうけいじゅつかんとう):のぼぜ、下から突き上げる感じ
月経関連症状、
更年期障害
加味逍遙散(かみしょうようさん):冷えのぼせ、便秘傾向、月経前のイライラ、眼の症状
当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん):冷え症、むくみ、立ちくらみ、色白
桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん):お血、冷えのぼせ

プロフェッショナルの【眼】

西洋薬での対処療法よりも、体質を改善する漢方薬が有効

東京女子医科大学医学部教授/東京女子医科大学東医療センター精神科部長
山田和男 先生

 私たちの身体は、身体の働きを調整する「自律神経系」、ホルモン分泌をつかさどる「内分泌系」、そして外部から侵入する異物から身体を守る「免疫系」の3つの働きのバランスを保つことで、健康を維持しています。
 しかし、過度のストレスが長く続くと、これらのバランスが崩れ、さまざまな症状が起きてきます。
 まず自律神経系のバランスが崩れた場合、ストレスを感じると体は交感神経が優位になり、緊張状態が続きます。そのため、頭が冴えて寝られなくなる、末端の冷えやのぼせ、便秘や下痢などの消化不良などが起こります。
 そして、内分泌系では、ストレスホルモンと呼ばれる「コルチゾール」が長期にわたって分泌されることで、胃潰瘍などを引き起こす要因となります。
 さらに免疫系のバランスが崩れると、身体を守る働きのスイッチがオフになってしまうために、風邪を引きやすくなるなど抵抗力が弱まってしまいます。
 ストレスによって何らかの反応が身体に表れた場合、それは心身全体のバランスが崩れているということになりますから、西洋薬での対処療法よりも、体質を改善する漢方薬が有効なのです。漢方薬は、いわば「面の皮を厚くする」もの。症状を抑えるだけでなく、ストレスに対して強い心身を作り、こうした反応が出にくくなるようにしていくものです。
 生活に少し支障をきたすなと感じるようであれば、まず漢方薬の服用をして体質改善を試みるとよいでしょう。ただし、服用しても効果が改善できなかったり、症状がひどくなった場合は、違う病気が隠れていることもあります。その時は専門医を受診し、適切な診察を受けるようにしてください。

記事の見出し、記事内容、およびリンク先の記事内容は株式会社QLifeとしての意見・見解を示すものではありません。
記事内容・画像・リンク先に含まれる情報は、記事公開/更新時点のものです。掲載されている記事や画像等の無断転載を禁じます。

外部サイトへ移動します

リンク先のウェブサイトは株式会社QLifeが運営するものではないこと、医療関係者専用であることをご了承ください。