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健康維持に役立つ漢方薬とは?“健康を守る~運動・漢方・笑い”

公開日:2010.11.25
カテゴリー:漢方ニュース

第13回市民公開漢方セミナー 「いつまでも健康でいたい」、「長生きをしたい」と考えるのは誰しも同じこと。では健康を維持する秘訣とは一体何なのでしょうか。一般の方を対象にした、日本漢方生薬製剤協会主催「第13回市民公開漢方セミナー」が2010年10月に開催されました。
 集まった400人ほどの皆さんが熱心に耳を傾けたのは、漢方医学研究所・松田医院の院長、松田邦夫先生(元日本東洋医学会会長)のお話。漢方薬との付き合い方を含め、健康維持の工夫に関するわかりやすい説明が、繰り広げられました。

漢方医学で健康と長生きを目指す

漢方医学研究所・松田医院の院長、松田邦夫先生

漢方医学研究所・松田医院 院長
松田邦夫先生

 漢方エキス製剤が普及し、今では多くの大学病院や街のクリニックで、さまざまな種類の漢方薬が保険診療にて処方されるようになりました。日経メディカルの調査によると、約8割の医師が漢方薬を使用しています。(※)
 漢方医学とは、松田先生の考えでは「健康と長生きを目指す医学」。そして長生きを楽しむためには、薬を服用するだけではなく、「西洋医学との協調」「食養生(しょくようじょう:食事療法)」「適度な運動」「心の安らぎ」が重要とのことです。

※本サイトでも詳しい調査を行っています。

漢方薬にもエビデンスが報告されるようになってきた

 漢方薬を利用するメリットは、西洋医学と漢方医学の両方の良い面を利用することができるということ。西洋医学と漢方医学とで相乗効果が期待できることもあります。例えば、開腹手術後の症状改善に大建中湯(だいけんちゅうとう) が効果的であるという研究結果や、機能性ディスペプシア(胃腸症)の症状改善に六君子湯(りっくんしとう) が効果的という西洋医学的なエビデンス(※1)が、あります。
 漢方薬を使う際に重要なことは、自分に合った漢方薬を知ること。漢方薬はその人の体質に合った薬を処方される、オーダーメイドな治療法です。漢方薬を飲んで、もし胃腸障害が起こったら、その漢方薬は体質に合っていないといえます。また、漢方薬も薬ですので副作用があり(※2)、むくみや血圧上昇、肝機能障害などが起きる場合があります。高齢者や心臓病や腎臓病の方は特に注意をして使わなければなりません。
 なお漢方薬は、ほとんどの西洋薬と併用できます。ただし利尿剤や気管支拡張剤や鎮痛解熱剤など一部の薬には注意する必要がありますので、漢方薬を服用するときは、十分な知識のある医師のもとで定期的にチェックをしてもらうようにしましょう。

※1 参照:『六君子湯の食欲不振改善メカニズムの1つは、消化管ホルモン・グレリンへの効果』
※2 参照:『主な副作用と注意の仕方を確認しましょう』

健康の秘訣は、正しい生活習慣と西洋薬や漢方薬との付き合い方

 健康で長生きをするには、やはり西洋医学は大切です。定期的な健康診断を受けることや、メタボリックシンドロームに気をつけるなど。そこに、体調管理に適している漢方医学をプラスすると、もっと良くなります。そして忘れてならないのが、健康維持に一番重要なベースは食事や運動などの生活習慣ということ。
 メタボリックシンドロームになると内臓脂肪が溜り、動脈硬化や糖尿病のリスクが高まります。動脈硬化や糖尿病はいずれも初期は自覚症状がありませんので知らぬ間に悪化しやすく、様々な合併症を引き起こします。生活習慣を改善し食事療法や運動療法をすることが大切です。松田先生によると、「生活習慣の改善の話をすると、『面倒だから、動脈硬化も糖尿病もよくなる薬を処方して欲しい』という患者さんがいますが、それは間違っています。食事療法や運動療法だけで不十分なときに漢方薬を選択肢として考えてほしい」とのこと。
 選択肢とは、具体的には防風通聖散(ぼうふうつうしょうさん) 大柴胡湯(だいさいことう) 。どちらも腸管の脂肪吸収を抑制する作用があります。ただ、漢方薬だけでは、高脂血症、高血圧、糖尿病への対処は難しいそうで、西洋薬での対処がどうしても必要な場合があるとのことです。「必要なときに必要な薬を飲まないと手遅れになる」と忠告していました。

 ところで先生の持論として、食事や運動以外の生活習慣の一つとして、笑いも健康維持に欠かせないそうです。笑いはストレスを和らげ、笑うことにより体内の免疫システムが活性化するという研究報告もあるそうです。
 健康維持は一朝一夕で実現するものではなく、日々の生活習慣で運動や食事に気をつけ、必要に応じて上手に漢方薬と西洋薬を取り入れること。病気になる前の段階から、医師に相談して、一緒に健康維持を考えてもらうのもいいかもしれません。

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