かぜ
公開日:2010.05.28
カテゴリー:病気と漢方
監修:北海道漢方医学センター附属北大前クリニック院長 北海道大学名誉教授 本間行彦
かぜは万病のもと しっかり対処を
顔が青白く、ぞくぞく寒気を感じるかぜと、熱が出て汗をかき、顔が赤くボーッとするかぜ。「かぜ」とひとくちに言っても、その種類はさまざま。症状も、くしゃみや鼻水、せきが出る、のどが痛む、腹痛や下痢、などいろいろです。かぜの原因のほとんどが、ウイルスによる感染。
ちょっとした体調の崩れをきっかけに、かぜをひくことが多いのです。
かぜは、ひき始めから数日経過し、こじれてくると、症状も変化していきます。1週間以上たっても、まだ微熱、せき、寝汗、食欲がないなどの症状がつづく場合は、こじれて長びいた証拠。「かぜは万病のもと」と言いますが、特に高齢者は、かぜがもとでいろいろな重い病気が起こるので注意しましょう。
漢方薬にできることは
「かぜ」は漢方の得意分野の一つ。特に高齢者のかぜは体力が低下して起こることが多いので、漢方の治療が力を発揮します。
西洋薬は熱を下げる、せきをおさえるなどの対症療法が主ですが、漢方薬ではそれよりも、からだが本来もっている免疫力・抵抗力をたかめて、かぜをなおすことに重点をおいています。
ひき始めのかぜに使う葛根湯(かっこんとう))をはじめ麻黄湯(まおうとう)、小青竜湯(しょうせいりゅうとう)、麻黄附子細辛湯(まおうぶしさいしんとう)、麦門冬湯(ばくもんとうとう)(せき)、竹じょ温胆湯(ちくじょうんたんとう)などの漢方薬が使われます。ひき始めやこじれたかぜなど、かぜの時期や、同じウイルスによるかぜでも体質や体の反応が異なるので、それらに合った漢方薬を選ぶことが大切です。
くらしの中の予防法
- カルシウムやビタミンをとる
- カルシウムやビタミンが足りないと、かぜをひきやすくなります。とくに、ビタミンCには、ウイルス感染を予防し、治療する力があります。
- たんぱく質をとる
- 消耗した体力を回復させ、抵抗力がつきます。肉、魚、卵、大豆製品などを多くとりましょう。
- 体を温める食事と水分をとる
- お粥やうどんなど、胃に負担をかけずに体を温める食べ物をとり、発熱で消耗した水分を補給しましょう。