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【婦人科専門医が解説】更年期女性特有の症状に得意な漢方とは

公開日:2017.12.20
カテゴリー:症状別得意分野

女性であれば誰でも迎える体の変化・更年期障害

 一般的に、更年期とは、閉経の前後それぞれ5年ずつを指します。日本人女性の平均閉経年齢は50~51歳くらいなので、45~55歳くらいの時期、加齢に伴う卵巣機能の低下によって、卵巣から分泌される女性ホルモン(エストロゲン)の減少から起こる身体の症状と精神的な症状が相互に影響し合って発症するのが更年期障害です。程度の差はありますが、女性であれば誰でも迎える体の変化なのです。

 更年期障害の主な症状は、のぼせ、発汗、冷え、動悸、めまい、耳鳴りなどの血管運動神経症状、肩こりや腰痛、関節痛などの運動器官の症状、皮膚の衰えや頻尿、性交痛など「体の症状」と、不安感やイライラ、憂鬱感の増幅、不眠、記憶力や集中力の低下といった「精神的な症状」です。多岐にわたる症状のため、いくつもの科を受診しても改善されず、病名がつかずに周囲からの理解が得られず、苦しい思いをしている人が多くいらっしゃいます。数年間と長期にわたる場合もあります。また「几帳面で責任感が強い性格」や「ストレスを受けやすい環境」の方は、更年期障害の精神的な症状が、より現われやすいので注意が必要です。

更年期障害の検査と診断

 更年期障害の検査と診断には、更年期にみられるホルモン変化を確認し診断します。診察では、内診、超音波検査とともに、血液検査によってホルモン量を測定し、エストロゲンが減少し、卵胞刺激ホルモンが増加しているかを診ます。そして、症状に合わせてホルモン補充療法を行ったり、漢方薬、精神安定剤、抗うつ剤などを処方したりします。漢方薬は、効果が現れるまで時間がかかりますが、比較的副作用も少なく、体質改善といった面から期待ができるため、ホルモン治療が行うことができない方にも使いやすいと思われます。

基本は生活習慣の見直しから

 更年期障害は、病院での治療と合わせて「食生活の改善」や「ストレスの解消」などでの、症状の緩和が期待できます。特にビタミンEはホルモンバランスを整える作用があり、食事からしっかり摂取することが重要です。充分な睡眠、適度に身体を動かして冷やさないようにする工夫や自律神経やホルモンバランスを整える意識など体質改善は有効です。自分の身体について、じっくり知ることやいたわる意識も更年期の備えになるかもしれません。女性には必ず訪れる身体の変化ですので、更年期の症状になる前から、信頼できる、かかりつけ婦人科専門医を探すこともよいかもしれません。

月経不順にこの漢方

桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん) 体力が中等度の人。症状としては「頭痛」「肩こり」「便秘」「ほてり」のある人に。
加味逍遙散(かみしょうようさん) 体力が中等度・虚弱の人。症状としては「イライラしてしまう」「気分の変動が激しい」「気分の落ち込み」のある人。月経前にイライラしがちな人に。
当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん) 体力が虚弱の人。症状としては「貧血」「冷え性」「むくみ」「疲れやすい」「月経が遅れがち」「トイレが近い」症状がある人に。

中島由美子先生
平レディースクリニック 院長
(社)日本産科婦人科学会 産婦人科専門医

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