呉茱萸湯(ごしゅゆとう)
公開日:2023.01.25
カテゴリー:外来でよく使われる漢方薬
監修:井齋偉矢先生(日高徳洲会病院院長/サイエンス漢方処方研究会理事長)
構成生薬
- 大棗(たいそう)
- 呉茱萸(ごしゅゆ)
- 人参(にんじん)
- 生姜(しょうきょう)
作用の特徴
三叉神経の炎症を鎮めることで片頭痛が治まる
対象となる症状
片頭痛
解説
呉茱萸湯(ごしゅゆとう)は、中国・後漢時代に医師である張仲景によって記された『傷寒論』『金匱要略(きんきようりゃく)』に収載された漢方薬です。片頭痛の治療薬として昔からよく使われてきました。
呉茱萸湯が三叉神経の炎症を鎮め、頭蓋内の血管を収縮させることで片頭痛が治まるといわれています。片頭痛治療に用いられるトリプタン製剤は、痛みの発作が起きてから服用しても効果はほとんど期待できませんが、呉茱萸湯は発作が起きている最中に服用しても効果が期待できます。
呉茱萸湯は、発作時の頓服として服用する場合と、片頭痛が起こり始めて間もない人に対し片頭痛そのものの治癒を目指す場合の両方で有用です。後者の場合は一定期間服用します。
日本頭痛学会の「慢性頭痛の診療ガイドライン2013」において、呉茱萸湯を含む漢方治療の推奨グレードは、「B(行うよう勧められる)」とされています。
エビデンス情報
慢性頭痛に対する呉茱萸湯の有効性
慢性頭痛患者に対し、第一段階で呉茱萸湯を91例に投与、53例のレスポンダーのみを対象に二重盲検ランダム化比較試験を実施しました1)。呉茱萸湯群は、プラセボ群と比較して、頭痛発症頻度を改善し、鎮痛薬の内服回数を減少させた。頭痛以外にも生理痛や肩こりに関しても呉茱萸湯群で改善傾向が見られました。
- 参考
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- 小田口浩ほか. 医学のあゆみ 2005; 215: 1137-1140