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漢方を活かす食養生 No.11 夏バテの食事指導

公開日:2020.04.24
カテゴリー:漢方ニュース
 食養生とは、健康を保ち長寿を全うするために、日常よく使う食材の性質や働きを知り、健康のために効果的な食生活を送ることです。食養生では、食物を体を冷やす順に寒、涼、平、温、熱で表す「五性」という考え方と、酸味、苦味、甘味、辛味、塩味に分ける「五味」という考え方に基づいて食材をとらえます。
 ここでは、食養生を実践するためのレシピや、食養生と漢方の関係について、水嶋クリニック院長で東洋医学研究所所長の水嶋丈雄先生が解説します。

 食養生の観点から患者さんへの食事指導例などをお送りしている本シリーズ。今回のテーマは「夏バテの食事指導」です。

 細胞外液の不足による脱水症状がおこることで、体内に熱がこもり、だるさや口渇などを訴える夏バテには、細胞外液とミネラルの補充が必要です。それらを補うための食材を使った、食事指導について解説します。

 50代の女性が、高血圧と更年期障害で2014年から当院を受診していました。

 顔のほてりや多汗、胃部の不快感、不眠などを訴えていましたが、血圧降下剤と加味逍遥散(かみしょうようさん)でよいコントロールができていました。2016年の6月に、畑仕事が終わってから汗がひどく、体がだるいと感じていましたが、そのまま夕食を摂って就寝しました。就寝中も夜中にひどく汗をかいたといいます。朝になり「目がまわり、体が動かない」と家人に訴え、すぐに救急車で近くの総合病院に搬送されました。搬送時、呼吸促迫があり、血圧は110/80mmHg、脈拍72、不整脈はなし、意識ははっきりしていて脳にも異常はなく、「過呼吸症候群でしょう」といわれ、点滴をすると少しよくなったので帰宅しました。

 しかし、体は動くようになったのですが、だるさが取れず、汗も多く食欲もないということで、次の日に当院を受診されました。

 夏になり、両足がだるく、口が渇くと訴えられました。舌は乾燥していて、便通は軟便、脱水もひどく、下半身は触ると跡が残るようなむくみがありました。まずは清暑益気湯(せいしょえっきとう)を処方し、ミネラル水を飲むよう勧めました。

 夏バテには、細胞外液の不足による脱水の状態があり、もちろん細胞内液まで不足すると点滴治療が必要になりますが、体内に熱がこもっている状態です。そのため、食事は細胞外液を補充する食品とミネラルが必要です。有名なのは、夏バテにはうなぎです。さらに葛(クズ)の根、これは葛根湯(かっこんとう)で有名ですが、体液の補充に有用です。そのほかにも玄米や豆乳などの穀類や豆類、山芋、トマト、ゆり根、きくらげ、しめじ、桃、ビワ、柿、梅、リンゴ、すもも、すいか、みかんなどの野菜類や果実類、スッポンやナマコ、どじょう、うなぎなどの魚介類。さらに、はちみつ、砂糖、お茶も細胞外液を増やす働きがあります。むくみがある人には、こうした食材は摂らないほうがよいのではといわれますが、薬ではなく食品なので脱水でない場合に食しても問題ありません。そこで、以下のような食事指導を行いました。

アボカドと青背魚のワサビ風味

材料
アボカド 1個
サバの刺身 100g
レモン汁 大さじ2
薄口しょうゆ 大さじ2
根わさび 少々
サラダほうれん草 適量
作り方
  1. アボカドは皮と種を取り、1cm角に切り、レモン汁、薄口しょうゆをまぶしておく。
  2. 食べやすい大きさに切ったサバとサラダほうれん草を加え、根わさびをすりおろして全体を混ぜる。
  3. ※詳しい作り方は文献1)に記載されています。

 食欲のないときには、アボカドやわさびが有用で、どちらも細胞外液を増やして脱水を改善する効果があります。さらに、もう一品。

葛粉のおやつ

材料
本葛粉 10g
250ml
和三盆 大さじ1(砂糖でも可)
作り方
  1. 葛粉を鍋に入れ、水を少しずつ加えながら粒々がなくなるように滑らかにする。
  2. 火にかけ、木ベらでかき混ぜながら、とろっとさせる。
  3. 器に盛り、上に和三盆をかける。
  4. ※詳しい作り方は文献1)に記載されています。

 葛粉は葛根湯の材料で特に脱水には有効です。もちろん、料理の仕上げにとろみを出すために片栗粉の代わりに用いてもよいでしょう。また、甘酒も脱水を予防する効果があります。

 これらを自宅で続けていただいたところ、脱水の症状は改善。足のむくみも取れ、だるさもなくなりました。

文献
  1. 水嶋丈雄ほか. 食べて元気になる 漢方ごはん. 信濃毎日新聞社, 2008, p.37-39.

(本記事は医療関係者向けサイト漢方スクエアに掲載された記事を元に、一般読者向けに再編集しております)

水嶋丈雄(みずしま たけお)先生
医療法人 水嶋クリニック 院長/NPO法人 東洋医学研究所
医療法人水嶋クリニック院長、NPO法人東洋医学研究所所長。
1981年大阪医大卒。1978年より麻酔科兵頭教授に師事、鍼灸治療を学ぶ。1998年長野県佐久市内に水嶋クリニック・東洋医学研究所開業。2010年WHO伝統医学部門委員、日本東洋医学会評議員、2012年日本プライマリケア学会認定医、2014年厚労省保険部会外部諮問委員。著書に『花粉症・アレルギーを自分で治す70の知恵』(主婦の友社)、『鍼灸医療への科学的アプローチ』(三和書籍)など多数。

食べて元気になる 漢方ごはん
解説:水嶋丈雄
料理:横山タカ子
撮影:山浦剛典
発行社:信濃毎日新聞社(https://shinmai-books.com/)

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